300以上のGalaxyスマホ広告で「防水性に虚偽の、詐欺的な表現」。豪州消費者委員会がサムスンを提訴
オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)が、2016年以降のGalaxyスマートフォンに関する300以上の広告で消費者に「虚偽の、誤解を招くような詐欺的な表現をした」としてサムスンを訴えました。

サムスンの宣伝映像、SNSやテレビ、看板さらに商品パンフレットには、そのスマートフォンを持つ人がプールで潜ったり海でサーフィンをしていたりする様子が含まれ、あたかもそういった使い方ができるかのような印象を与えていますが、サムスンは商品の説明書きに「ビーチやプールでの使用は推奨されません」と矛盾した案内を記しているとのこと。サムスンの広告はたしかに、あるものではプールに潜った男性が水中でスマートフォンを使用している写真が使われており、また別の広告ではサーフィンをしている最中もスマートフォンを身につけておくことができるかのような印象を与えています。

しかし、この韓国メーカーは大々的に水深1.5mで30分の耐水性を有すると広告で示しているにもかかわらず、ウェブサイトには「ビーチやプールでの使用は非推奨」と小さく記載し、耐水性の説明も淡水(つまり真水)だけが対象だとしました。

ACCCのコミッショナー、ロッド・シムズ氏は7月4日「サムスンは顧客を誘引するために、実際には使用してはいけない状況でそれが使用できるかのような商品の紹介をした。オーストラリアの消費者法においては、企業は製品の機能を偽って消費者を誤解させてはならない」と述べています。ACCCいわく「商品の耐水性はオーストラリア国内では重要なセールスポイントで、購入意思決定に大きな影響を与える」とのこと。

対するサムスンオーストラリアは「製品の耐水性に関するマーケティングは妥当であり、保証およびオーストラリアの消費者法に基づくサムスンの義務にあわせ、無料の救済策を提供すると確信する」と述べています。しかしACCCは、サムスンは実際に商品の安全性を試験していないシチュエーションを広告で大々的に宣伝し、もともと耐水性を持たない商品よりも高価に販売しているとして、サムスンの主張も否定しました。

サムスンの広告といえば、以前にスマートフォン内蔵カメラ機能の宣伝にストックフォトの写真を流用し、撮影者兼モデル本人にバレるという失態を演じていたのが記憶に新しいところ。一方生産現場でも2016年、20〜30代の従業員約200人が化学物質との接触が関連するとみられる問題により、白血病やリンパ腫といった重病に罹患、76人が死亡しているとAP通信やBBCが告発していました。サムスンはこれを否定したものの、今度はフランス・パリ地方裁判所が、アジア諸国の工場において労働者を過酷な条件で働かせているとして今月、労働者に対する人権侵害疑いでサムスンのフランス法人を予備起訴しています。

サムスンはVision 2020と題する企業としてのあり方を示す宣言にて「世界で最も倫理的な企業のひとつ」になり「世界をリードするグローバル企業として責任を持って行動することを約束します」と述べています。