ワコムが目指す1つのデジタルペンで、どのタブレットもPCも使える世界! そして「書けるスマホカバー」にも期待

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ワコムは、プロのイラストレーターや漫画家にも利用されている世界的な「ペンタブレット」メーカーだ。最近では、デジタルペンの技術を、スマートフォンやタブレット、2in1PC、パソコンなどのメーカーにもOEMで提供している。

これまでデジタルペンは、メーカーごとに仕様が異なるため、ペンの共用はできなかった。
しかし今、「デジタルペンの共通化」を図る取り組みが進んでいるという。


■もうデジタルペンは、1本でOK! 機種が違っても使える「Bamboo Ink / Plus」
「Bamboo Ink / Plus」は、Windows Ink対応のデジタルペン。
・Bamboo Ink 5,500円(税別)。2019年6月27日より発売
・Bamboo Ink Plus 1万1,500円(税別)の見込み。2019年8月に発売予定

「Bamboo Ink」は、
・プロトコル手動切り替え
・4096レベルの筆圧検知
・本体サイズは長さ145×直径9.5mm
・重さは19g(バッテリーを含む)
・電源は単6乾電池(寿命約15カ月)

「Bamboo Ink Plus」は、
・プロトコル自動切り替え
・ペンの傾きを検出が可能(一部の機種)
・4096レベルの筆圧検知
・本体サイズは長さ153×直径10mm
・重さは16.5g
・電源はリチウムポリマー電池(連続駆動時間は約10日、充電は3時間)

Windows 10搭載のタブレットや2in1PC、ノートPCでも、タッチ操作に対応した製品が増えている。
しかし付属のデジタルペンは、専用仕様のため、ほかの機種で使うことができない。
これは、デジタルペンで採用されているペン・プロトコルが、メーカーによって異なるからだ。

こうした不便な状況を踏まえ、ワコムがマイクロソフトと推進しているのが「ユニバーサル・ペン・フレームワーク(UPF)」という取り組みだ。UPFは、デジタルペンの互換性拡大を促進することが目的だ。複数のプロトコルに対応したデジタルペンがあれば、機種ごとにペンを交換する必要がなくなり、利便性と生産性を向上できる。

この取り組みの第一弾として登場したのが「Bamboo Ink / Plus」なのである。


「Bamboo Ink / Plus」は、
・マイクロソフト・ペン・プロトコル(MPP)
・ワコムアクティブ静電気結合方式(AES)
この2つの方式に対応することで、上記に対応している機種であれば、ペンを取り替えることなく、利用することができる。

代表的な対応機種には、
・Microsoft Surface Go
・Microsoft Surface Pro 4
・Yoga Book C930
・ASUS ZenBook Flip S UX370UA
・LG gram 2in1 14T990, 14TD990, 14TB990, 14TG990
これらのほかにも、Acer、DELL、HP、FUJITSU、VAIOなどの製品に対応する。

なお対応機種については、ワコムのWebページ「Bamboo製品の互換性について」にて、順次公開されている。


「Bamboo Ink Plus」


「Bamboo Ink」は、ボタンの長押し(2秒)でプロトコルを切り替えることで、異なる方式のタブレットでも利用することができる。

8月に発売される「Bamboo Ink Plus」は、この切り替えが自動となる。
さらに一部の対応デバイスではペンの傾きを検出できるため、精細なイラストが描ける。

「Bamboo Ink / Plus」いずれも4096レベルの筆圧検知を備え、書き心地もタブレット付属の純正ペンとは異なる。ユーザーにとっては、ペンの選択肢が増えることになる。
これはクリエイターなどにとっては、かなり大きなメリットだろう。

発売前の「Bamboo Ink Plus」を実際に使ってみた。
プロトコルの切り替えは、少しタイムラグがあり、一呼吸待つ印象だが、実用上はそう問題はないと思われる。それより複数のタブレットやタッチ式のノートPCを使っている人であれば、デジタルペンを持ち替える必要がなくなる。

「Bamboo Ink / Plus」はデジタルデバイスと双方向での通信できるため、このようなプロトコルの切り替えが実現できたという。


「Bamboo Ink Plus」であれば、異なるタブレットを自動で認識して、そのまま使うことができる



■メモできる「書けるスマホカバー」と手書きメモを転送する「Bamboo Slate」
「書けるスマホカバー」は、まだコンセプトモデルながら、実にユニークな製品だ。
右側の電子メモパッドに手書きしたメモやイラストが、スマートフォンに転送されてるのだ。

コンセプトモデルでは、メモパッドに手書きした内容がリアルタイムでスマートフォン画面に表示された。
実際の使い心地だが、電子メモパッドはブギーボードのような書き心地だった。紙で書いたメモを、あとからスキャナーでデジタル化していた人には便利なグッズだ。


メモパッドに手書きした内容がリアルタイムでスマホの画面に表示される「書けるスマホカバー」


動画のように、右側の電子パッドに書いたメモが、リアルタイムにスマートフォンへ保存される。コンセプトモデルだが、スムーズにデータ転送されているのがわかる。



「書けるスマホカバー」のベースとなっているのは、すでに発売されている「Bamboo Slate」だ、
「Bamboo Slate」は、紙に書いたメモやスケッチをデータ化するデジタルガジェット。
「書いて学ぶ」ことが必要な学校や塾などの教育現場、医療現場での利用を想定した製品である。

「Bamboo Slate」では、紙に書いたメモやアイデアはリアルタイム、あるいはボタンを押すだけでタブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイスに転送することができる。タブレットに保存されたデータは、「Wacom Inkspaceアプリ」で編集したり、ファイルをチームで共有したりすることができる。

万が一、モバイルデバイスを忘れても、最大 100 ページ分の内容を保存できる。あとでモバイルデバイスと同期できるので、「Bamboo Slate」だけ持ち歩いて会議に出席するといった使い方も可能だ。



紙に書いたメモやアイデアを、ボタンを押すだけでタブレットやスマートフォンに転送できる「Bamboo Slate」


「Bamboo Slate」は紙を必要とするが、「書けるスマホカバー」は電子メモパッドなので、繰り返し使える。ペーパーレス化を図れるうえ、携帯性にも優れている。

動画のように、「Bamboo Slate」は紙に書いたメモをリアルタイムでタブレットに転送できる。



ワコムは今後、デジタルペンをベースとしたソリューションの普及を推進して、デジタルペンとデジタル・インクが文具として当たり前になる時代へ向けて業界をリードしていく構えだ。

Bamboo製品の互換性について


ITライフハック 関口哲司