“絵を描かない監督”高畑勲の演出術に迫る

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“絵を描かない監督”高畑勲の演出術に迫る

昨年4月5日に死去した日本アニメーション界の巨匠・高畑勲監督の回顧展「高畑勲展――日本のアニメーションに遺したもの」の記者内覧会が7月1日、会場となる東京国立近代美術館で行われた。

本展は、“絵を描かないアニメーション監督”高畑勲の演出術に注目し、制作ノートや絵コンテなど1000点を超える作品資料を展示しながら、高畑監督の作品世界をひも解いていく。会見には、同館館長の加藤敬氏、本展を担当する同館主任研究員の鈴木勝雄氏が出席。鈴木氏は、本展に関して「もともとの始まりは、高畑さんと一緒に展覧会を作ろうとしていた」「高畑さんの生前から準備をしていた」と明かし、「高畑さんが亡くなられたことによって大きく変わりました。これは高畑さんの追悼展でもあります。回顧展でもあります」と開催の経緯を述べた。

「パンダコパンダ」のレイアウトなど初展示資料が多数

さらに鈴木氏は、本展の大きな見どころを紹介。高畑監督の遺品から発見された初期の企画メモ「ぼくらのかぐや姫」、「パンダコパンダ」の宮崎駿によるレイアウト、高畑&宮崎による「アルプスの少女ハイジ」のオリジナル絵コンテなど初公開資料が多数あり、1000点を超える展示物のうち「正確な数は明らかではないが、おそらく半分は今回初めて展示されるもの」と説明する。

展示ブースでは、高畑監督の軌跡を4つのチャプターにわけて紹介していく。チャプター1「第1章 出発点 アニメーション映画への情熱」は、東映動画(現・東映アニメーション)在籍時に携わった「安寿と厨子王丸」(1961)、「狼少年ケン」(63〜65)、劇場長編アニメ初監督作「太陽の王子 ホルスの大冒険」(68)などを取り上げ、チャプター2「第2章 日常生活のよろこび アニメーションの新たな表現領域を開拓」は、東映動画を去った高畑監督が、盟友・宮崎駿、小田部羊一、近藤喜文さんらととともに手がけ、新境地を開拓したアニメシリーズ「アルプスの少女ハイジ」(74)、「母をたずねて三千里」(76)、「赤毛のアン」(79)を掘り下げる。

「火垂るの墓」ブース

チャプター3「第3章 日本文化への眼差し 過去と現在の対話」は、85年にスタジオジブリが設立され、高畑監督が「火垂るの墓」(88)、「おもひでぽろぽろ」(91)、「平成狸合戦ぽんぽこ」(94)で発揮した「日本の風土や庶民の生活を活写」「日本人の戦中戦後の経験を現代と地続きのものとして語りなおす話法の創造」などの演出術にフォーカス。チャプター4「第4章 スケッチの躍動 新たなアニメーションへの挑戦」は、アニメーション表現の探求者であり続けた高畑監督が、「ホーホケキョとなりの山田くん」(99)、「かぐや姫の物語」(2013)でたどり着いた新たな表現スタイル「人物と背景が一体化したアニメーション」を解説する。

「高畑勲展――日本のアニメーションに遺したもの」は、7月2日〜10月6日に開催。当日券は一般1500円、大学生1100円、高校生600円(中学生以下無料、障害者手帳を提示の方とその付添者1人は無料)。音声ガイドは中川大志が担当している。