商社の就職人気ナンバーワンは伊藤忠商事。

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金融業界の就職人気ランキングのトップは日本生命。写真は大阪市中央区今橋にある日本生命本店ビル (写真:soraneko/PIXTA)

大学4年生(2020年卒)の就職・採用活動は、7月を前にしてほぼ終盤戦になっている。今は、中小企業が採用活動を行っているほか、内定を得ている学生が、もっといい企業がないかと、就職活動をする「第2ラウンド」に入っている。

一方、すでに3年生向けの夏のインターンシップ募集が本格化しており、毎週末には、各就職情報会社がインターンシップセミナーといった合同企業説明会を開催している。

金融業界のトップは日本生命

学生は、どんな企業があるかという、リサーチの段階かもしれないが、企業を見つける前に、「行きたい業界」を選ぶのがセオリーだろう。ではその行きたい業界にはどんな企業があって、どこが人気なのか――。4月12日の配信記事「2万人の就活生が選んだ『就職人気ランキング』」で、2020年卒生の間で人気になっている企業を紹介した。今回は、それを業界別に分けてランキングした。


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ランキングは、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の調査を基にしている。同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録している学生のうち2万2028人(うち文系1万8424人)が回答した結果だ。調査期間は2018年10月1日から2019年3月31日までとなっている。

業界別にランキングを見ていこう。

金融業界のトップは日本生命保険(総合4位)、2位は大和証券グループ(総合5位)という順になった。現在、メガバンクを中心に人員や採用数の削減を進めており、そうした影響で、金融の人気が下がっているといわれる。確かに、3位のみずほフィナンシャルグループ(総合7位)や4位の三菱UFJ銀行(総合12位)が、一昨年まで総合ランキング首位の座に居続けていたが、昨年、首位の座を全日本空輸(ANA)に明け渡した。

しかし、それでも金融業界の人気はまだまだ残っており、総合ベスト10のうち、3社が金融業界だ。

マスコミは、1位博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ(総合11位)、2位ジェイアール東日本企画(総合15位)と、広告代理店が上位を占めている。ただ、広告代理店の最大手・電通は2015年に起きた、新人女性社員の過労死事件が、なお学生の脳裏には残っているようで10位(総合56位)にとどまっている。

自動車・機械・電気機器といったメーカー系企業を集めた業界区分のトップはソニー(総合70位)になっている。理系学生の人気が高いが、それでも総合70位という順位だ。トップ100に入ったのもソニーだけで、2位トヨタ自動車(総合109位)、3位日立製作所(総合118位)でさえも人気上位100社に入らないというのが現状だ。

一方、メーカーでも食品業界の人気は高い。業界人気ランキング1位の明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)(総合2位)を筆頭に、トップ100に12社がランクインしている。最近、理系に進学する女子が増えているが、そうした女子学生の就職志望先として食品メーカーが志向されている。

旅客はエアラインに軍配

旅客(航空・鉄道)業界は、1位全日本空輸(ANA)(総合1位)、2位日本航空(JAL)(総合3位)と、エアラインの人気が高い。男子の人気もあるが、キャビンアテンダントを含めて女子の人気がかなり高いことが要因で、男子の人気が中心の鉄道業界との差につながっている。

通信・IT・ソフトウェア業界の1位に立ったのは、ソフトウェア開発や業務システム開発を手がけるSky(総合21位)だ。合同企業説明会への出展など、採用広報活動を積極的に行っており、それが多くの就活生の目に留まり、人気にもつながったようだ。2位は東日本電信電話(NTT東日本)(総合60位)、3位伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)(総合64位)と続く。

商社は、1位伊藤忠商事(総合6位)、2位丸紅(総合10位)と、総合トップ10に2社がランクイン、ここでは上位10社を紹介しているが、すべてがベスト100圏内に入っており、商社の人気の高さがうかがえる。

流通は、1位そごう・西武(総合66位)、2位ニトリ(総合124位)、3位イオン(総合156位)という順で、建設・住宅・不動産業界は、1位住友林業(総合34位)、2位三井不動産(総合80位)、3位大東建託グループ(総合87位)という結果になっている。

まずはこうしたランキングから、企業の名前を把握して、どんなビジネスをしているのかをぜひ調べてもらいたい。




■調査について

調査主体:文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所
調査対象:2020年春入社希望の「ブンナビ!」会員(現大学4年生、現大学院2年生)
調査方法:文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ!」上でのWebアンケート、文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙アンケート、文化放送キャリアパートナーズ就職雑誌同送ハガキアンケート
*投票者1名が最大5票を有し、志望企業を1位から5位まで選択する形式

調査期間:2018年10月1日〜2019年3月31日
回答数:22028(うち男子8360・女子13668/文系18424・理系3604)
総得票数:67262票

「就職」を重視する学生は「企業イメージ(企業価値)」よりも「仕事イメージ(仕事価値)」に重点を置くとの仮説の下で、ランキングを算出。
就職者誘引度は、学生が企業イメージと仕事イメージのどちらを企業選択時に重視したかという回答によって算出。企業イメージのみで投票した場合は就職者誘引度0、仕事イメージのみで投票した場合は100とし、得票平均値を就職者誘引度としている。
総得票数×就職者誘引度=就職ブランド力とし、就職ブランド力を基にランクを計算。
社名はアンケート上の名称で、1採用窓口=1社名を基準にしている。グループで採用が一本化されている場合は「○○グループ」等で表記。