夏競馬が開幕する。オープニングを飾るのは、3歳馬によるGIIIラジオNIKKEI賞(6月30日/福島・芝1800m)だ。

 3歳馬の重賞というと、波乱の匂いがプンプンする。なにしろ今年は、牡牝混合の3歳重賞全17レースのうち、1番人気は2勝、2着3回、3着1回、着外11回と、かなり信頼度が低い。というか、”1番人気は馬券に絡まない”と決め打ちしてもいいぐらいの状況だ。

 そして、このラジオNIKKEI賞自体、ハンデの重い馬、つまり実績馬の成績が今ひとつ。1番人気も過去10年で2勝と、ひと筋縄では収まらないレースとなっている。そうした状況を踏まえて、日刊スポーツの木南友輔記者はこのレースの狙い目についてこう語る。

「3歳世代限定戦で唯一のハンデ戦。斤量57kgを背負わされた馬は厳しく、かといって、明らかに力の劣る軽ハンデの馬もなかなかこないんですよね。ですので、狙いは斤量54kg〜56kgの馬だと思います」

 舞台が小回りの福島という点もポイントとなり、デイリー馬三郎の吉田順一記者は、コース適性のある血統について、こんな見解を示す。

「コーナー4つの小回りコースでは、必然的に各馬の仕掛けが早く、上がりがかかりやすくなるためか、切れるタイプより、スピード持続力のある血統が活躍しています。種牡馬で言えば、過去3年の福島・芝1800mでは、ハービンジャーやハーツクライ、メイショウサムソン、ステイゴールド、ヴィクトワールピサなどが上位を占めています」

 ただし、このラジオNIKKEI賞に限っては、過去10年でディープインパクト産駒が4勝、ディープインパクトの子となるディープブリランテ産駒1勝と、好成績を残している。馬券検討においては、その点も考慮する必要があるだろう。

 そこで吉田記者はまず、前走でオープン特別(リステッド競走)の白百合S(5月26日/京都・芝1800m)を勝ったレッドアネモス(牝3歳)に注目する。



ラジオNIKKEI賞で一発が期待されるレッドアネモス

「牝馬であり、近5走の戦績が9着→4着→15着→4着→1着とムラ駆け傾向にあって、実績よりは人気しないタイプでしょう。ただ、成績が芳しくなかった冬場は、多少皮下脂肪をため込んでいて、余裕残しのシルエットでした。また、精神的に起伏の大きいヴィクトワールピサ産駒ということもあって、当時は馬が完全に自信をなくしていたと思います。

 そこから、季節が変わった今は復調気配にあります。距離を延ばしたスイートピーS(4月28日/東京・芝1800m)で4着と善戦すると、前走の白百合Sでは今までにない切れ味を発揮しました。これは、心身のバランスが取れてきた証拠です。

 小回りに対応できる器用さや自在性があって、馬場も不問のタイプ。好調期間中の牝馬&ヴィクトワールピサ産駒とあれば、買いの一手でしょう」

 吉田記者はもう1頭、レッドアネモスと同じ友道康夫厩舎の管理馬であるサヴォワールエメ(牝3歳)も推奨する。

「いかにも短距離向きのダイワメジャー産駒といったシルエットとフットワークですが、道中で力みが少ない分、自分のペースでなら距離はこなせます。現に、2走前は500万下(現2勝クラス)の芝2000m戦を勝ち上がっています。

 前走の白百合Sは、単騎逃げでペースを落としすぎたのが最後に堪(こた)えた印象。主導権を握りつつも、適度に上がりがかかる舞台が合っています。よほどパワーがいる極悪馬場にならない限り、多少の重い馬場は歓迎のクチ。器用さを生かして、自らのペースでレースを引っ張れば、巻き返しは十分に可能でしょう」

 一方、木南記者はダービー出走を果たせなかった馬に期待を寄せる。

「アドマイヤスコール(牡3歳/父ディープブリランテ)です。東京・芝1800mの未勝利戦を勝ったあと、GIII東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)で勝ち馬からコンマ6秒差の8着と善戦。続く500万下のセントポーリア賞(1月27日/東京・芝1800m)で2着と好走しました。

 さらに、距離を延ばしての500万下・水仙賞(2月23日/中山・芝2200m)は快勝したのですが、ダービートライアルのGII青葉賞(4月27日/東京・芝2400m)では好位2番手から失速。やや距離が長かった印象です。今回は実績のある距離に戻って、前目でしぶとく立ちまわれるのではないでしょうか」

 加えて、木南記者は大穴候補2頭の名前を挙げた。

「青木孝文厩舎の2頭、ウインゼノビア(牝3歳/父スクリーンヒーロー)とダディーズマインド(牡3歳/父トーセンホマレボシ)です」

 前者はGIオークス(13着。5月19日/東京・芝2400m)、後者はGI皐月賞(9着。4月14日/中山・芝2000m)の出走を果たしている。

「ウインゼノビアは、今年初戦がGIIフローラS(4月21日/東京・芝2000m)とやや遅い始動で、およそ4カ月半ぶりのレースでした。前走のオークスは明らかに距離が長かったですし、ここ2走の敗因は明らかです。そして今回は、休み明け3戦目で、距離も短縮されるので、主戦の松岡正海騎手のトーンが上がっています。

 ダディーズマインドは、他馬の回避によって皐月賞出走が叶いましたが、先手を争って好時計の決着を演出。それで、自身も9着と粘りを見せました。あの先行力は、今回のメンバーであれば、上位クラスです。

 ここには、皐月賞でともにレースを引っ張ったランスオブプラーナ(牡3歳)も参戦してきますが、同馬は皐月賞で18着。GIII毎日杯(3月23日/阪神・芝1800m)を勝っているため、トップハンデとなる57kgの斤量を背負わされます。それに比べて、ダディーズマインドは斤量54kgですから、かなり恵まれていると思います」 大荒れとなっている今年の3歳重賞戦線。実力伯仲の現状を鑑みれば、下半期もその流れは続いていきそうだ。その皮切りとなるラジオNIKKEI賞では、ここに挙げた5頭の中に波乱を演出する馬がきっといる。