台所で使う、ボウル。うちにはステンレス製、大中小3個あり、直径293ミリの大の出番はあまりないが、中小は常時稼働している。

 最近ふと気になったのが、「ボウルって、どこまで使っていいものなんだ?」ということ。メインの使い方として、野菜を洗ったり、卵をといたり、ひき肉をこねたりするわけですよね。

 それと同じ道具で「ふきん」を洗うのは、ありか、なしか。私は今まで、特に深く考えることなく洗ってきた。さすがに雑巾は洗わないけど、台ふきん程度なら、ボウルを使って洗っても問題ないだろうと。事実、問題は何もない。

 ここでうちのふきん事情を書いておくと、無印良品の「落ちワタ混ふきん」を愛用している。もともと使っていたのは私だが、何事にも極端な妻が「もうぜんぶこれでいい」と、大規模に取り入れた。  

 台所、洗面所の手拭き、台拭き、食器拭きを、数十枚用意したこのふきんで統一し、寝る前にその日使った分を、ハンカチ、手ぬぐい、タオルなどと共に洗濯機でまとめ洗い。温風乾燥して除菌。別に手洗い手しぼりでもすぐ乾くふきんなのに……、と思うのだが、そこはもう妻にまかせた。

 だが、雑巾を洗うことはないと書いたが、ちょっと雑巾的に使うこともあるのが、台ふきんというものなのだった。

 子供が床にこぼしたみそ汁。大人がこぼした酒。流しの前にちょっとたれた水滴。そういうものをササッと拭く。日常的に「台ふきんで床を拭くことはよくある」わけである。  

 こまめに掃除する習慣が身についてきたためか、今まで気にしてなかったのに、「床を拭いたふきんを洗ったボウルで、餃子の中身をこねていいものか……」という迷いが生じた。ダメな気がした。  

 そこで、ネットや実店舗で「台所用洗い桶」のリサーチを開始。様々な素材のものがあり、どれもけっこうでかい。却下し、他のジャンルを検討して目に留まったのが、風呂用の洗い桶だった。

「たらい」の小さいの、と思えば、手洗い洗濯にピッタリである。ただ、銭湯にあるケロリンの黄色い湯桶なんかだと、かわいいけれど台所には似合わない。  

 注目したのはアルマイト製の湯桶である。鈍い金色のこれなら、鍋やおたまもあるし、台所との親和性は高そうだ。「前川金属 昔なつかしアルマイト湯桶 22cm」840円。送料別。もちろん風呂場では使わず、台所専用とする。

 昔なつかし、といっても、私は初めて見た製品である。実家に昔、銀色のアルミの、ボコボコの洗面器はあったけど。

 これが、とてもかわいい。ふきんも喜んでいるが、ボウルで水戻しされる切り干し大根やヒジキも、このすみ分けを喜んでニコニコしているような……。そんなメルヘンな気持ちが湧いてくる、昭和ノスタルジー度の高い、いい金物である。

よしだせんしゃ
マンガ家 1963年生まれ 岩手県出身「ビッグコミックオリジナル」で『出かけ親』、「ビッグコミックスピリッツ」にて『忍風! 肉とめし』を連載中。妻はマンガ家・伊藤理佐さん。本連載の単行本『ごめん買っちゃった』(光文社)、最新刊『出かけ親 1』(小学館)が発売中

(週刊FLASH 2019年6月11日号)