伝説のプロレスラー・長州力がついに現役から身を引く−−。引退興行がおこなわれる6月26日は、プロレス界にとって歴史的な1日になる。若いころから長州を間近で見ていた真壁刀義(46)に、今だから語れる「長州秘話」を聞いた。

 新日本の看板レスラーである真壁は入門当初、長州の付き人を2年半ほど務めた。付き人時代の真壁は、つねに長州のそばにいた。

「長州さんは滑舌が悪いから、何を言っているのかわからないんですよ。聞き返せないから、会話はいつも一方通行。あるとき『コンビニでカーテン買ってきて』って聞こえて、『わかりました!』って返事をしたあと、すげぇ困って。

 さんざん悩んで、ベータのビデオテープを買ってったら、『なんだそれ!』って大激怒。結局、『ベータカロチン』入りの飲み物だったんです。賭けに出て、間違って、怒鳴られる、の繰り返しでしたね」  

 新日本の現場監督だった長州は、若手選手たちに、つねに緊張感を求めた。

「『練習しないヤツには、チャンスをやらない』が口癖。あまり練習しないヤツを見つけると、リングに上げて徹底的にしごいてました。

 周囲に対しての示しですね。ちょっとでもサボったらしごかれる。いまでも俺が練習するのは、『長州さんがどこかで見ているんじゃないか』っていう恐怖心があるから。

 一度だけ、2人きりになったとき『入ってきたばっかのときは、すぐ逃げ出すと思ってたけど、よく頑張ったな。いつかお前のプロレスで天下を取って、ほかのヤツらに見せつけてやれ!』って、握手してくれたことがありました。あの言葉は忘れないし、感謝しています」

 後楽園ホールでの引退興行では、タッグマッチの対戦相手に指名された。 

「長州力の首を取るのは、俺しかいない! 最後に、華々しく散らしてやりますよ。贈る言葉? 長州さんは、肉ばっかり食べるから、健康のために野菜を取ってください」

まかべとうぎ 
1972年9月29日生まれ 神奈川県出身 1996年2月、新日本プロレスに入門。「スイーツ真壁」として、バラエティ番組などに多数、出演。俳優、声優など、幅広い分野で活躍中

(週刊FLASH 2019年7月9日号)