1点が足りず、グループリーグ敗退となった日本。しかし若いメンバーで善戦はした。(C)Getty Images

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 あと1点が足りなかった。
 
“招待国”として南米の覇権を争うコパ・アメリカに出場した日本は、勝てばグループ3位で決勝トーナメントに進出、しかも準々決勝で開催国のブラジルとガチンコ勝負をできる権利を手にできる状況だったが、グループリーグ最終戦のエクアドル戦は先制しながら1-1のドロー。3戦して2分1敗の成績で大会を去ることになった。
 
 序盤、日本はエクアドルの前からの激しいプレスに苦しんだ。日本が4-4-2(FWは縦関係)のシステムを組んだ一方、エクアドルは中盤を逆三角形にした4-3-3で、日本のビルドアップを封じにきたのだ。
 
 相手の3トップは、日本の最終ラインとGKの川島永嗣までプレッシャーをかけ、インサイドハーフのふたりは、日本のボランチ、柴崎岳と板倉滉をマーク。CB冨安健洋が「試合前のスカウティングではあそこまで(前から)くるという予想はしていなかったです。今日は(CBで組んだ)ナオくん(植田直通)のほうが空いていたので、ナオくんから上手く(パスを)入れてもらってという話はしていました。ただなかなか上手くいきませんでした」と振り返ったように、後方でのミスが続き、相手にチャンスを与えてしまった。
 
 それでもボランチの板倉の「相手の中盤の2枚が僕と(柴崎)岳くんのところに食い付く形だったので、自分で受けることも考えつつ、相手を引きつけて、その奥の(久保)建英だったり、(中島)翔哉くん、オカさん(岡崎慎司)のところが空いていたのは見えていたので、そこを上手く自分が相手をどかしてパスコースを作ろうと意識しました」との説明どおり、相手のハイプレッシャーにかからないように中盤2列目の中島や三好康児、1.5列目の久保、CFの岡崎が相手の守備網のギャップを突いてボールを引き出し、攻撃を構築した。
 
 15分に生まれたゴールもその形からだった。相手選手の間に上手くポジションを取った久保が後方からボールを引き出すと、前方の中島へ。中島のスルーパスに飛び出した岡崎はGKに先にクリアされたが、そのこぼれ球を中島が押し込んだ。
 
 ただ、「前半の途中からプレスがかからない状況になって、特にサイドに入った時になかなか対応にいけなかった。相手も中盤で人数をかけてきて、自分が後ろに吸収されすぎていたかなとも感じました」(板倉)と、日本はリード後に上手く相手の反撃をいなすことができず、35分にセットプレーの流れから同点に追い付かれた。
 
 後半、エクアドルはシステムを4-2-3-1に変えて勝負を仕掛けた一方、前半に飛ばしすぎた影響か運動量が落ち、日本はより自由に動けるようになる。中盤にスペースが生まれ出し、オープンな展開となった。

 ゲームに動きが出始めたなか、森保一監督は、66分にFW上田綺世、82分にMF安部裕葵、88分にFW前田大然を投入して前線を強化。チャンスを作り出すが、試合終了間際の久保の得点もオフサイドと判定されノーゴール。痛みわけで、ともにグループリーグ敗退という結果に終わった。
 
 試合後、冨安は失点シーンを「隙を見せてしまった」と悔い、再三のチャンスを逃した上田は「チームを救えなかった」と後悔の想いを口にする。
 
 今大会の日本は、“招待国”として参戦したため、選手を“拘束する力”を持たず、東京五輪世代を中心に、参加12か国で最も若い22.3歳というメンバー構成となった。加えてぶっつけ本番に近い形で臨んだだけに、3戦で2分1敗という成績も、内容的には善戦と評価することはできるだろう。
 
 ただエクアドル戦で、勝利を手にできなかったのは、勝負どころで“1点を決め切る力”と“1点を守り切る力”を欠いたためだ。それは2-2のドローだった第2戦のウルグアイ戦にも当てはまる。今後、東京五輪でのメダル獲得、そして2022年のカタール・ワールドカップでのベスト8進出を目指すためには、こうしたゲームをモノにする勝負強さが必要となる。ブラジルでの悔しさを糧にできるかが重要だ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)