ソフトバンク『アニュアルレポート2013』より

 各企業の2019年3月期決算が発表されるなか、東京商工リサーチは「役員報酬1億円以上開示企業」調査を発表した。これまでのところ、役員報酬ランキング1位から4位までをソフトバンクグループが独占している。

 1位は32億6600万円のロナルド・フィッシャー副会長、2位が18億200万円のマルセロ・クラウレ副社長、3位は12億3000万円の宮内謙取締役となった。

 1位のロナルド氏に与えられている報酬はあまりに莫大で、6月19日に行われたソフトバンクグループの株主総会でも、「ロナルド・フィッシャー取締役の報酬が高すぎる」という指摘があった。

 
 しかし孫正義会長兼社長は「欧米ではもっと高額な報酬が支払われている。大事なのは我々の会社の価値増大に貢献したかどうかだ」と応じている。

 孫氏にここまで言わせるロナルド氏の実績とはいったい何なのか。これは、アメリカにおけるソフトバンクの投資戦略の歴史をたどるとわかってくる。

 ロナルド氏はコロンビア大学でMBAを取得後、ソフトウェアを扱う会社を渡り歩き、1985年、自身が「インタラクティブシステムズ」という会社の社長を務めているタイミングで、孫氏と出会う。

 米国で事業拡大を考えていた孫氏がロナルド氏の事業に興味を示し、両者は販売パートナーの契約を交わす。孫氏との関係は続き、1995年、ついにソフトバンクはロナルド氏を招聘する。

 ソフトバンクが公開している『アニュアルレポート2013』の中で、ロナルド氏は当時をこう振り返っている。

《1995年、ソフトバンクは米国での事業拡大を図り、テクノロジー業界で確固たる地位を築くことを目指しました。そこで行ったのが、世界最大のPC見本市『コムデックス』の運営会社と、PC&テクノロジー雑誌の最大の発行元であったZiff-Davis Publishing Companyの戦略的買収です。

 この買収により、ソフトバンクは短期間で、米国のテクノロジー業界の中心に躍り出ました。そして同時に、業界の最新の情報を発信する中心的存在にもなったのです》

 世界最大のパソコン見本市「コムデックス」を800億円で、世界最大のパソコン系出版社「ジフ・デービス・パブリッシング」を1800億円で買ったことが、アメリカ進出の基礎となった。

 さらに、この流れで、ソフトバンクは当時まだ小さな会社だった「ヤフー」の存在を教えられる。創業者のジェリー・ヤン、デビッド・ファイロと面会したロナルド氏と孫氏は、すぐに打ち解け、出資を決めた。ソフトバンクは米ヤフーの筆頭株主になり、ヤフージャパンの共同設立に合意。

 その後もロナルド氏が主導して、膨大な数のインターネット企業への投資を行い、ソフトバンクは日米両方で勢力を拡大していくことになる。

 ヤフージャパンを作り、ソフトバンクを育て上げたロナルド・フィッシャー氏。そうと知れば、33億円の報酬も納得できるだろう。