今回、コパ・アメリカでの選手起用を見ると柴崎と中島がOA枠の鉄板になり、他にはセンターバックに植田直通、GKには川島永嗣、FWでは岡崎慎司を起用している。
 
 そこで考えないといけないのがコパ・アメリカの結果だ。
 チリ戦は大敗を喫したが、ウルグアイ戦、とりわけエクアドル戦はOA枠の選手に必要な要素が見えた試合だった。
 
 2試合とも印象深かったのは、ともに多くのチャンスを作れていたことだ。コパ・アメリカのような大会で多くのチャンスを作ることは簡単ではないが、エクアドル戦では何度も決定機を作っていた。特に中島、久保、三好のユニットは昨年2連覇を達成した川崎フロンターレの家長昭博、中村憲剛、阿部浩之のユニットのように連動と連携を活かして個の力を最大限に発揮していた。2列目にはまだ、堂安律らもいるが、このユニットがベースになっていくだろう。
 
 小さな巨人たちが揃う最強のユニットが機能し、チャンスを作ることはできている。
 
 しかし最後に決め切れなかった。
 それが決勝トーナメント進出を逃した一因だ。
 試合後、森保監督も「決定機を決めて勝ち切るところが足りない」と語っていたが、その課題をどう解消するか。シュートはシューターの能力によるところが大きく、練習し、多くのゴールを重ねて自信をつけるしかない。そういう意味では経験があるFWの選手の方が計算できる。したがって残り1枚のOA枠はGKやDFの選手よりもFWの選手を考えていく可能性が高い。

 では、どんな選手が候補になりえるのか。
 例えばコパ・アメリカに行く前のエルサルバドル戦で2ゴールを挙げた永井謙祐は、その候補に入って来そうだ。タイプは、前田と似ているがロンドン五輪代表の時から死んだふりをしてDFからボールをかっさらったり、スピードだけではなく、シュートがうまく、決定力もある。南野拓実や鎌田大地もいるが、東京五輪世代で最近、売出し中の食野亮太郎のようにこれから輝く選手が出てくれれば構想が変わっていくかもしれない。
 
 いずれにせよ、おそらくOA枠は残り一枠。
 今大会では、チームの骨格がほぼ完成し、必要な選手が見えた。時間がない中、1年後に向けてのチーム作りはこれから本格化していくことになる。
 
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)