<ジョージ・ソロスからウォルト・ディズニーの子孫までアメリカのメガ富裕層18人が、金持ちから税金をもっと取って格差是正に使って下さいと大統領候補に嘆願。潮目は変わるか?>

アメリカのスーパーリッチ18人が、最も裕福な1%の人間に対して「愛国的」富裕税を課すよう求めて署名した公開書簡が、インターネットで公開された。富裕層に「適度な」税金を課せば「アメリカの自由と民主主義」が強化できると書かれている。6月24日、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

署名したのは、11の資産家一族を代表する個人18名。投資家で慈善家のジョージ・ソロス、アビゲイル・ディズニー(ウォルト・ディズニーの兄ロイ・オリバーの孫)、フェイスブック共同創業者クリス・ヒューズのほか、ハイアットホテルズ創業一家の相続者で、社会的課題を解決する「インパクト投資」を行うブルー・ヘイブン・イニシアチブ共同創業者のリーセル・プリツカー・シモンズと、その夫の資産家イアン・シモンズといった名前が並ぶ。

「富裕層にもっと多くの税金を課す『道徳的・倫理的・経済的』責任をアメリカは負っている。富裕税による税収は、気候変動との戦いや、経済成長や、よりよい医療、そして機会と強さと民主的自由を強化するために使える。富裕税の創設は、私たちの社会の利益にかなう」

資産家たちは書簡の冒頭で、「アメリカの0.1%の富裕層に課税」することを支持する、と宣言。自分たちも含まれている、と述べた。書簡は2020年アメリカ大統領選挙の立候補者全員に宛てられているが、民主党の候補者に名乗りを上げたマサチューセッツ州選出の上院議員エリザベス・ウォーレンが提案する富裕税に具体的に触れている。

ますます下層が貧しくなる

「立候補者のなかでウォーレン上院議員が提案した案によれば、国内の最富裕層のうちの7万5000世帯に富裕税を課すだけで、数百万世帯がアメリカンドリームを手にするチャンスに恵まれることになる」と、書簡は記す。

多くの共和党員と保守派の識者は、富裕層への増税を批判しており、富裕層への課税は経済に打撃を与えて成長を鈍化させると主張している。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)による最近の分析から、アメリカの下層半分が保有する資産は過去30年間で約9000億ドルも減少している一方、トップ1%の富裕層では21兆ドルも増えていることが明らかになった。

ウォーレンは、5000万ドルを超す資産を保有する個人や世帯に富裕税を課すことで、こうした格差を是正しようと提案する。ウォーレンの予測によれば、中程度の富裕税を課すことで、今後10年間で約2兆7500億ドルの税収が見込める。そのお金で医療や教育に補助金を出す。学生ローンの支払いを免除する案も含まれる。

多くのエコノミストがウォーレンの提案を支持している。だが、富裕税を導入すれば、アメリカの富裕層は資産を海外に移して隠すだけだ、という声も根強い。

(翻訳:ガリレオ)


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ジェイソン・レモン