純丘曜彰 教授博士 / 大阪芸術大学

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南洋のリゾート地の寓話は、みなさんも聞いたことがあるでしょう。ビーチでくつろぐ金持ちが、島の若いウェイターに説教する、きみがもっとしっかり働いてカネを稼いだなら、きみだって、いつか私のように、年に数週間、この島に来て自然を満喫できるようになれるよ、と。しかし、自然を満喫するのに、カネが必要でしょうか。現代の我々は、カネが無いと人生を楽しめない、と信じ込まされている。でも、ほんとうは、カネと人生は、あまり関係が無いのかもしれません。

たいていのものは、使ったら、無くなってしまいます。でも、人生はちがいます。今日を使い切っても、明日には明日が与えられるのです。そして、人生はむしろ、使えば使うほど、しだいに増えて、豊かになっていきます。あなたが貧しいのは、カネがないからではありません。これまでずっと自分の人生をまともに使わず、毎日、平気でドブに流し捨ててきたからです。もっとも貴重な自分の人生を自分で大切にしない人が、どうして素敵な人生を得られるなどと思うのか、その方が不思議です。