5月下旬の取締役会で「オフレコ退任表明」を行った東京商品取引所の浜田隆道社長 Photo:REUTERS/AFLO

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株式や債券に加え、商品先物を一元的に扱う「総合取引所」の設立で3月下旬に基本合意した日本取引所グループ(JPX)と東京商品取引所(東商取)。残すは事務的な手続き中心かと思いきや、そうは問屋が卸さなかった。業界内で悪評高い東商取の浜田隆道社長へ反発が冷めやらず、同氏が「オフレコ」での退任表明を行うという前代未聞の事態に至るなど、むしろ大混乱の渦中にある。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

 5月下旬、東京商品取引所が開いた臨時取締役会は、異様な雰囲気が漂っていた。通常は役員らに加え、社内の事務方十数人が同席するのだが、この日は事務方が一切おらず、妙に会場ががらんとした状態。異論も出たが、19年3月期の決算内容を中心に議事はそのまま進行し、いったん取締役会を終えた。そして、東商取の浜田隆道社長は議事録にも残さない場とした上で「これはオフレコですが」と切り出し、赤字経営の責任を取るとして「市場移管の目途がついた段階で自主的に退任する」と表明したのだ。

「市場移管の目途がついた段階」とは、統合後に東商取の商品をJPX側に移す20年6月ごろのこと。しかし、東商取は19年3月期まで4期連続の最終赤字。15年から社長を務める浜田氏が責任を取って“公然”と早期の退任を表明してもよさそうなものだ。

 ではなぜ、異例のオフレコでの退任“内諾”表明となったのか。そこには、浜田氏に反発する業界と、あくまでOBをねじ込みたい経産省という対立する思惑が影響している。オフレコ表明はいわば、その落としどころだったのだ。

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