浜辺美波さん

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 今「期待の若手女優を選ぶなら?」という質問をしたとき、必ず名前が挙がるのが浜辺美波さんでしょう。特に、今年春以降の活躍は目覚ましいものがあります。

 ドラマでは「大奥 最終章」(フジテレビ系)や「世にも奇妙な物語’19 雨の特別編」(同)に出演、映画では主演を務める「賭ケグルイ」が公開されました。時代劇に現代劇、漫画の実写化と幅広くこなしています。

 また、5月31日放送の「さんまのまんま35年目突入SP」(関西テレビ・フジテレビ系)、6月2日放送の「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)といったバラエティーにも呼ばれ、天然ぶりが話題に。プロ野球パ・リーグ開幕戦の始球式も務めました。NTTドコモ「星プロ」シリーズや味の素「Cook Do」、花王「ビオレ」のCMでも親しまれ、集英社文庫のキャンペーン「ナツイチ」のイメージキャラクターにも起用されています。

東宝映画で経験を積める「東宝シンデレラ」

 この活躍には、今年3月に高校を卒業したことが関係しています。2011年、当時10歳で「第7回東宝シンデレラオーディション」のニュージェネレーション賞に輝き、キャリアを重ねてきたものの、勉強との両立には苦労してきました。最近のインタビューでも「勉強自体はすごく好き」「試験も楽しかった」と言いつつ、学校の試験や行事とオーディションが重なることで、仕事のチャンスを失うことが残念だったと振り返っています。

 昨年8月に18歳になるまでは「22時の壁」という深夜労働の制限もありました。この春、彼女はこう語っています。

「社会人になると、すべての時間をお仕事にあてられるのがとてもうれしいです」(「日経エンタテインメント!」)

 とはいえ、いくら時間ができても、オファーがなければ仕事はできません。この活躍は“女優・浜辺美波”に対する業界からの信頼の表れでもあるわけです。では、その信頼がどこから来ているのかといえば――。まずは、彼女が先述の通り「東宝シンデレラ」出身ということが挙げられます。

 同オーディションはこれまで、人気と実力を兼ね備えた女優を輩出してきました。現在、第1回グランプリの沢口靖子さんはドラマ「科捜研の女」(テレビ朝日系)第19シリーズに主演、第1回ファイナリストの斉藤由貴さんはドラマ「長閑の庭」(BSプレミアム)に出演しています。第5回グランプリの長澤まさみさんは主演映画「コンフィデンスマンJP」が公開中です。

 また、浜辺さんと同期で、第7回グランプリの上白石萌歌さんは大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」に第2部から出演します。同年、審査員特別賞を受賞した上白石萌音さんは、アニメ映画「君の名は。」(2016年公開)でヒロインの声を担当し、注目を浴びました。

 女性芸能人の登竜門としては、オスカーの「国民的美少女コンテスト」や、ホリプロの「タレントスカウトキャラバン」もありますが、「東宝シンデレラ」は映画会社・東宝が主導し、出身者は俳優事務所の東宝芸能に所属して東宝映画で優先的に経験を積むことができます。それ故、女優の育成にも定評があるわけです。

「女優は人生をかけるに値する職業」

 そして、何より特筆すべきは彼女の実力です。現代のトレンドともいうべき、アニメや漫画の実写化に強く、スペシャルドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(2015年、フジテレビ系)や映画「君の膵臓をたべたい」(2017年公開)では高い評価を得ました。

 この2作では、ピュアではかない彼女の魅力が発揮されましたが、前出「賭ケグルイ」では監督をして「賭け狂った時の迫力は相変わらずとんでもない」「自分で作ったセリフをまくし立て(中略)それがちゃんとつじつまが合っている」と言わしめています。

 とかく難しいとされる実写化モノでの幅広い芝居は、よく言われる、彼女の“透明感”から来ているのかもしれません。ヘンな色がついていないから、何にでもハマれるのです。では、その透明感の源泉はといえば、もちろん容姿も関係しています。色白の肌に目力の強さ、研ぎ澄まされたような美少女ぶりは他の追随を許しません。

 しかし、それ以上に重要視したいのが性格です。例えば「早い出発の日でも、何時間か前に起きて完璧な朝ご飯を食べて、そこから仮眠する」「目的の駅より1つ手前の駅で降りて歩く」といったルーティンをひたすら守るそうです。その、ひたむきでストイックなところが、中途半端な色には染まらないという透明感にもつながっているのでしょう。

 将来についても、こんな発言があります。

「私にとって女優は人生をかけるに値する職業だと思っているので、ずっと続けていきたいです(中略)私自身、決断は速いけど一度決めてしまうとなかなか譲らないので、頑固な性格だと思います」(「週刊SPA!」)

 18歳でここまで言い切れる人はそういません。社会人になり、仕事に集中できるようになった今、彼女は朝ドラにも本格的に挑戦したいと言います。そういえば、2017年7月から出演している英語番組「ボキャブライダー」(NHK・Eテレ)は、初代の葵わかなさんが連続テレビ小説「わろてんか」のヒロインに決まったため、引き継いだものです。また、「東宝シンデレラ」の先輩たちも朝ドラでさらなる飛躍を遂げました。

 この夏にも、主演の連ドラとヒロインを務める映画があります。“女優・浜辺美波”はこれから何十年にもわたって見る者を楽しませてくれることでしょう。彼女のシンデレラストーリーから、ますます目が離せません。