チリ戦の0−4の悪夢から、わずか3日後――。ウルグアイ戦の日本代表は見違えるようなプレーを披露し、2−2で引き分けた。

 もちろん、この夜のヒーローは、2ゴールを決めた三好康児(横浜F・マリノス)だ。だが、チリ戦で左サイドを突かれ続けて少し気の毒なパフォーマンスに終わったサイドバック、杉岡大暉(湘南ベルマーレ)のプレー向上も讃えられるべきだろう。


2試合連続で先発フル出場の杉岡大暉

「このアウェーの雰囲気のなか、勝ちたかったですが、引き分けたことにすごく手応えがあります。守備面に関しては全員で連動して、身体を張ってやれました」(杉岡)

 連戦の疲労もあったのか、攻撃面での関与は少なかった。だが、ウルグアイの攻撃をしのいだあとの59分、日本が見せた一気呵成のカウンターに杉岡も連動し、質の高いクロスを供給。スピードの乗ったボールにウルグアイのGKフェルナンド・ムスレラ(ガラタサライ)は遠くに弾くことができず、こぼれ球を三好が押し込み2−1とした。このシーンを、杉岡が振り返る。

「シンプルに(中島)翔哉(アル・ドゥハイル)くんにボールを預けて、2対1(の数的優位)ができたので、本当に『ここだ』と思った。翔哉くんは僕をオトリに使うことが多かったんですけれど、あの場面では僕の状態もよかったので、しっかり使ってもらった。いいところに速いクロスを入れることができた。そして、いいところに(三好の前にボールが)こぼれてよかったです」

 今回のウルグアイ戦では、「2対1」の数的優位を左サイドで作ったことから日本のゴールが生まれたが、初戦のチリ戦では逆に左サイドで「1対2」の劣勢になり、日本代表が苦しむ要因となっていた。チリのサイドアタックに翻弄されたのは決して杉岡だけの責任ではないが、彼にとっては少しほろ苦いA代表デビューマッチとなった。

 ウルグアイ戦まで中2日。組織を修正するには、本当に短い時間だった。それでも、杉岡は試合前日の練習でヒントを掴んだようだった。

「チリ戦では、あまり(左サイドの連係が)整理できてない部分があったのは事実です。昨日(6月19日)の練習でしっかり整理できたことがよかった。ボールがある場所に応じて、どうポジションを取るとか、そういうところを流れのなかで細かく確認できたかなと思います。

(同じ左サイドの)翔哉くんとも声をかけて、中を締めたり、かなりいい守備ができました。しっかりボールにいけた場面が多かったので、そこは改善できたなと感じました。やっぱり(チリ戦では)試合中に、自分たちでもっと会話して改善していければよかったと思います」

 このようにして、左サイドは杉岡&中島の関係が向上したのみならず、CB冨安健洋(シント・トロイデン)やMF板倉滉(フローニンゲン)も迷いなくカバーに入っていた。

 また、杉岡は相手のキックモーションから動きを予測して、タイトにマークするよう心がけていたのだという。その結果、ウルグアイの右サイドハーフのナイタン・ナンデス(ボカ・ジュニオルス)や途中から出てきたジョルジアン・デ・アラスカエタ(フラメンゴ)と白熱した攻防を見せた。

 ルイス・スアレス(バルセロナ)と並ぶウルグアイの二大看板、エディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)ともマッチアップする機会が、杉岡にあった。この時、彼は世界を肌で感じたという。

「普通に競るだけじゃ、無抵抗かのようにボールを収められてしまいました。ボールが来る前の駆け引きをもっとやらないといけない。ボールが普通に来てから当たりにいっても、ブロックされたり、ファウルを取られたりした。オフ・ザ・ボールの駆け引きをやらないと、好き放題やられてしまうなと」

 サイドバックは時間も空間も生まれやすいポジションだから、杉岡が安定してボールを持つことができれば、もっと日本に余裕が生まれただろう。だが、慌てて蹴ってしまうシーンも散見された。

「後半、ボールを奪ったあとにつなげないことが多かったですし、縦パスの成功率もかなり低かったと思う。それに比べると、岡崎(慎司/レスター・シティ)さん、柴崎(岳/ヘタフェ)さん、(中島)翔哉くんといったA代表に何回も選ばれている人はマイボールにするし、しっかり縦パスをつなげる。相手との差もそうでしたが、A代表に選ばれ続けている人たちとの差も、この試合で感じました」

 同年代では、冨安がA代表の中心選手に育った。

「(冨安は)カバー能力がありますし、奪ったボールをつなぐのも落ち着いてやれる選手。同年代ながら尊敬する部分があります」

 チリ戦とウルグアイ戦で、多くの日本代表初キャップが生まれた。そのなかで、2試合連続で先発出場を果たしたのは、杉岡ただひとり。しかも、彼は現在、コパ・アメリカでフル出場継続中だ。

 荒削りな面があるのは否めないが、実戦で露になった課題をすぐに克服し、トライする姿勢は魅力的だ。この姿こそ、多くの東京五輪世代にオーバーエイジを加えてコパ・アメリカのメンバーを編成した森保一監督の、目論見どおりではないだろうか。

 ウルグアイ戦の引き分けによって、6月24日(日本時間6月25日・8時)のエクアドル戦は日本代表にとって消化試合ではなくなり、グループリーグ突破をかけた真剣勝負となる。エクアドル相手に勝ちに行くことを前提に、時間帯とスコアによってはプランを変えていく駆け引きも交えながら、ベスト8進出を目指して戦う。このような試合のなかで、若い選手たちはさらなるレベル向上を図ってほしい。