的確な配球で先制点に絡んだ柴崎(7番)は、守備でも効いていた。(C)Getty Images

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 ウルグアイ戦は、2−2のドローに終わったが次に繋がる好ゲームだった。
 
 負ければグループリーグ突破はかなり困難になっていただけに、「次勝てば」という状況でエクアドル戦に挑めるのは貴重な経験になるし、モチベーション的にも大きい。
 
 ウルグアイ戦は、三好康児が南米の雄相手に一歩も引かない気持ちの強さを見せて、2ゴールを奪った。コパ・アメリカについて、三好は「経験しに行く場ではない。戦いに勝ちにいくところ」と語っていただけに、その気持ちをプレーで見せ、結果を出したことは自信になっただろう。久保健英に続き三好が台頭してきたことで来年の東京五輪、これからの日本代表にとってもプラスになる。
 
 2ゴールを決めた三好は、このウルグアイ戦のMVPだ。
 しかし、攻守にわたって気の効いたプレーを見せてくれたのは、柴崎岳だった。
 
 三好の1点目は、柴崎が左サイドからの右サイドにいた三好に完璧なサイドチェンジをすることで生まれた。同サイドの中島に縦につける選択肢もあったが、三好の前に大きなスペースがあることを見抜き、ゴールへの可能性がより高い方を選択した。視野の広さとパス技術の高さを見せたすばらしいアシストだった。さらに柴崎は攻撃面でチリ戦よりも明らかに縦パスを入れる回数が増え、岡崎慎司、中島翔哉、安部裕葵、三好の4人をうまく使って攻撃を組み立てていた。
 

 守備では鼻が効いた守りを見せた。
 同点に追いつかれた直後の34分、杉岡大暉が出したボールが相手に引っ掛かって、その背後にいたスアレスにボールを出されそうになった時、カバーに回っていた柴崎がボールを奪い、決定機の芽を摘んだ。何気ないプレーだが、試合展開的にウルグアイが同点に追いつき、ひっくり返そうとしている中、冷静に対処できたのは経験がなせる術だろう。若いチームにあって柴崎の経験や気の利いたプレーは必要不可欠になっている。
 
 柴崎が代表で存在感を高めたのは、昨年のロシアW杯だった。
 全4試合にスタメン出場し、ベルギー戦では自陣から原口元気にロングパスを送り、先制点の起点になるなど、日本のベスト16進出に貢献した。その後、ヘタフェに戻り、さらなる活躍が期待されたが、ホセ・ボルダラス監督の守備的な志向によりなかなか試合に出場することができなかった。
 
 一方、日本代表では10月のパナマ戦で森保一監督のチームに初めて招集された。それ以降、アジアカップを経て、完全に主力のひとりになった。「ボランチは柴崎を軸に」という構想は、森保監督がロシアW杯でコーチとして帯同した際、柴崎のプレーや人間性を把握し、信頼していたので自然な流れだったのかもしれない。
 
 今回はリーダーとしての姿も板についてきた。
 森保監督のサッカーを理解し、どうチームを完成形に導いていくのか。その前提としてリーダーは選手に一目置かれる存在であることが求められるが、コパを戦うチームにおいて多くの攻撃が柴崎経由で進むことを見れば、誰が中心で指揮を揮っているのか容易に理解できる。また試合中における選手への声掛けは頻繁にしているし、試合終了後はいち早くセンターサークルに行き、相手選手と握手を交わすなど、あらゆる面でリーダーとしての自覚を感じることができる。
 
 今大会で気になるのは、柴崎のパートナーだ。チリ戦の中山雄太は失点に絡むなど精彩を欠き、ウルグアイ戦の相棒の板倉滉は攻守に中途半端で森保監督に「もっと前で絡むように」と再三、指示を出されていた。両者とも柴崎がゲームメイクをする中、自分が何をすればいいのか、もうひとつクリアになっていなかったようだ。