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<米軍の無人偵察機が領空を侵犯したので撃墜したというイラン側に対し、アメリカは国際空域で違法に撃ち落とされたと反論。石油タンカー攻撃と同様、真相が見えないまま緊張だけが高まっている>

イランのジャバド・ザリフ外相は6月20日午後、ペルシャ湾上空で米軍の無人偵察機に本当は何が起こったのかを絵にして公表した。

オマーン湾とホルムズ海峡上の国際空域を飛行していたアメリカの無人偵察機「RQ-4Aグローバルホーク」がイラン革命防衛隊によって撃墜されたとするアメリカの言い分は「嘘だ」と言った。無人偵察機が実際にイランの領空内にいた証拠の一つとして、手描きの絵をソーシャルメディアに投稿した。

「午前1時14分、米軍の無人偵察機がアラブ首長国連邦の基地をステルスモードで離陸し、イランの領空を侵犯した。同機は午前4時5分、北緯25度59分43秒、東経57度2分25秒の地点で標的とされた」とザリフはツイッターに投稿した。「現に我々は、撃墜した無人偵察機の一部を『我が国の』領海内で回収した」

このツイートよりも前に、米国防総省は独自の地図を公表し、無人偵察機が撃墜されたのはイラン沿岸から約34キロの国際海域の上空だったと主張していた。米空軍のジョセフ・グアステラ中将はこの撃墜について「任務のいかなる時点においてもイラン領空を侵犯していなかった。米軍の偵察機にいわれのない攻撃」と称し、「偵察機がイラン上空で撃墜されたとするイランの報道はまったくの誤りだ」と主張した。


米中央軍が出した地図。無人機が撃墜された場所は、ホルムズ海峡近くに青い丸で示されている。米軍は無人機は国際空域を一度も出ていないと主張している U.S. CENTRAL COMMAND PUBLIC AFFAIRS

米・イランの緊張は悪化の一途

そして両国とも、RQ-4Aが炎に包まれて落下する様子とみられる映像を事件の直後に公開した。アメリカとイランは長年にわたって敵対関係にあるが、ドナルド・トランプ米大統領が2015年に締結されたイラン核合意を一方的に離脱を表明し、厳しい制裁を再開して以降、両国の関係はさらに悪化している。

イラン核合意ではイランと主要6カ国が、イランが核開発計画を大幅に縮小するのと引き換えに、対イラン制裁を緩和することで合意した。イランとアメリカ以外の署名国――中国、フランス、ドイツ、ロシアとイギリス――はアメリカの離脱後も同合意に留まっているが、アメリカのイランに対する経済制裁を止めることができない。経済的に追い詰められたイランは、このままなら核兵器にも使える高レベルのウラン濃縮を開始すると発表した。

イランは、核開発計画は平和利用のみが目的だと一貫して主張してきた。だがアメリカは、核合意に抜け穴があるためイランは武装組織を支援し、弾道ミサイルの開発も行っていると主張している。イランを脅威と見るイスラエルとサウジアラビアも同意見だ。

今回イランは、高空飛行を行っていたRQ-4Aを、国内で開発した中距離地対空ミサイル「Khordad3」で撃墜したと主張している。

トム・オコナー