アウェイだった場所をホームに変える日は、そう遠くない。内田真礼、5周年のその先へ

声優デビューして5年目の春、ソロアーティストとしてのスタートを切った。しかしその活動は、順風満帆とは言えなかった。

数曲を歌っては限界を迎える喉と体力、そしてキャラクターソングとは違うオリジナル曲にどう向き合うかという困惑。さまざまな壁が目の前に立ちはだかった。

横浜アリーナで行われたフェスに出演した際は、アウェイな空間に気後れしてしまった。

自信が持てず、くすぶっていたあの頃の自分に、「5年後に日本武道館でワンマンを成功させるよ」と教えてあげたら、どんな顔をするだろう?

アーティストデビュー5周年を迎えた内田真礼には、苦楽を共にしてきた最強の仲間がいる。バンドメンバー、制作スタッフ、そしてファンのみんなとステージを乗り越えるたびに、夢は広がっていく。

アウェイだった場所をホームに変える日は、そう遠くない。

撮影/西村 康 取材・文/照沼健太
スタイリング/有紗 ヘアメイク/小野寺里沙(AICON)

デビュー2年目、最初のワンマンライブで涙した理由

2019年4月23日で音楽活動5周年に突入。おめでとうございます!
ありがとうございます!!
5周年の記念ムービーでは、内田さんの楽しそうな笑顔が印象的でした。
ずっと笑ってますよねぇ。
ですが、デビューからきょうに至るまでの5年間は、楽しいことばかりではなかったと思います。
そうですね。2014年4月のデビュー当時はどう歌っていいのかもわからないし、キャラソンとの違いもわからない手探り状態で。リリースイベントでも1回につき2曲歌うステージを全3回終えるころには喉がダメになってしまうようなところからのスタートでした。

私にはメインのお仕事として声優活動があるので、そちらが忙しくなると何ヶ月も音楽に触れられない時期がありました。たまにCDをリリースするけれど、上達もせずにうまく歯車が回らない……そんな感じで、最初の1年は点と点みたいな音楽活動をしていたのですが、ワンマンライブを始めてからそれが変わりました。
最初のワンマンライブは、2016年2月の中野サンプラザですね。
はい。そこで今のライブチームやスタッフと出会えたんです。それからずっと一緒にやってきて、今では「いいチームだよね」と言えるような関係になりました。

その出会いから実際はまだ3年くらいなんですよね。信じられないなぁ(笑)。
最初のワンマンライブでは涙を流す瞬間もありました。
終わるのが嫌だったんです。「ライブが終わっちゃう。私の音楽活動も終わりになっちゃうかも」と思っていたので。
えっ!?
「楽しいことはもう終わりで、音楽活動を引退して……」というようなことを思っていたんですよ(笑)。

今となっては「なんでそんなこと思っていたんだろう?」と感じますけど、いろいろ考える時期だったんでしょうね。26歳くらいのときかぁ。

でも「そのままでいいんだよ」と受け入れてくれたチームがいて、そこからたくさん楽しい時間を過ごして、気付いたらここがホームになっていました。

どんなことがあっても、絶対に死守したい場所

音楽活動のターニングポイントを挙げるとすると?
2017年2月の代々木第一体育館での2回目のワンマンライブだと思います。それまでは私にとって、ライブ=リリースイベントだったので、代々木第一体育館でのライブは荷が重すぎる、と感じていて……。

でもチームのみんなでライブをやりきって、すごく一体感が生まれたんです。そしたら「もっといろいろなことをやりたい」と欲が出てきて。ポジティブな悩みが増えました。
“ポジティブな悩み”というのは素敵ですね。
それを全部ひとつずつ乗り越えてきて、気付いたら5周年になりました。だから間違いなく最初よりずっと歌を好きになっているし、ライブも楽しめるようになっていますね。
アーティスト活動について、“内田真礼として”ではなく“内田真礼チームとして”お話されることが多いですよね。
私は、ひとりで何かをするのが苦手というか、みんなが幸せな顔をしていたらそれでOKというところがあって。私のチームに来た人が笑顔で楽しくいられることを目標にしていたりもします。

どんなことがあっても、ここは絶対に死守したい場所。ここがあれば、私もみんなも前を向ける、あしたからも頑張れる。座長としてそういう場所にしたいんです。
これまで音楽プロデューサーの冨田明宏さんやスタッフの方々からもらった言葉で、心に刻んでいるものはありますか?
冨田さんは常にたくさんの言葉をくれるんですよ。「内田くんとこの活動ができて僕は幸せです」、「君が頑張っているからこそ、僕は他の人に内田真礼がスゴいと堂々と言える。誇りに思っています」と。冨田さんの言葉は、私にとってとても大きな力になっています。

バンドマスターの黒須克彦さんも「MAAYA BANDはバックバンドの域を超えているよ」と言ってくれて、それもすごく嬉しいですね。バンドで集まるといつも次のライブの話になるんですよ。「次はあれをやろう! これもやろう!」って。

ファンのみんなの愛情があるから、私は歌えるんだ

スタッフやバンドメンバーと同じように、ファンの存在に助けられることもあるのかなと思います。内田さんにとってファンの方々はどんな存在ですか?
私のファンの方々って、私のことを太陽を見るような目で見てくれるんです。先日のFCイベント「LIVE IS LIKE A SUNNY DAY ♫」のライブ中に客席に降りたんですが、みんな目をキラキラさせながら、そばで見守ってサイリウムを振ってくれていました。

私の曲にはみんなの声がないと成立しないものがたくさんあります。みんなの愛情があるから私は歌えるんだと強く感じました。
まさにその光景を会場で見ていたのですが、内田さんとファンのみなさんの絆を感じました。
きっと、嘘をつかないでやってきたからだと思います。私は自分ができないところや、ダメなところも、あまり隠すことなく出してきたから。

武道館ライブのときには、あの空間すべてが私の家みたいな安心感がありました。本当にハッピーな空間が生まれていましたね。

私ももっと恩返ししたいと思っています。
内田さんのTwitterのフォロワーは約57万人(5月末時点)。Twitterはファンとコミュニケーションが取れる貴重な場所だと思いますが、投稿する際に気をつけていることはありますか?
ネガティブなことは書かないことですね。どんなときもそこは“聖域”というか、見ていて楽しいことだけにすると決めています。

SNSって、何を書いてもいいからこそ、そこは律していきたいですね。
声優として参加した作品の放送後や、新曲リリース後にはエゴサーチもしますか?
します! この前のFCイベント後もハッシュタグでたどって見ましたし、前後のツイートやリプライも見ていますよ。
なんと!
どういうこと言っているのか気になるし、素直に嬉しいので(笑)。お手紙をいただいたりすることに近い感じですね。
エゴサーチをするかしないかは、人によって大きく分かれますよね。
中には嫌だなと感じるものもありますし、ダメージを受けるときもありますが、気にしないようにしています。SNSとの付き合い方としては「気にしない」が正解かなと。

でも私は、私のことを知ってほしいですし、見てほしいタイプなんですよ。制作物があると早くみんなに見せたくて仕方ない。「いいのできたよー!」って(笑)。

それに対して「見たよ」「聴いたよ」という反応がすぐ返ってくるのはすごく嬉しいです。だから私は、SNSをやっていてよかったと思います。

夢がつながった新曲『鼓動エスカレーション』

9thシングル『鼓動エスカレーション』について伺っていきます。この曲を最初に聴いたときの感想は?
気持ちがふわっと上がるような、パワーを与えてくれるような曲だと思いました。
作曲は初のタッグとなるTom-H@ckさんです。
そう、今回が初めてなんですよ。TomさんとはOxT(Tom-H@ckとオーイシマサヨシによるユニット)でご一緒させていただいたりはしていたのですが、現場でお会いしたとしてもオーイシさんとお話しすることが多くて、Tomさんはいつも無口なイメージでした(笑)。だから今回のレコーディングで、すごくフランクに話してくださって、しかも褒めてくださったのが嬉しかったです。
歌うのが難しそうだとも感じましたが、いかがですか?
難しいですね。Tomさんにも「難しいです」と伝えたんですけど、「難しい曲しか書けないんです」って言われました(笑)。
(笑)。この曲はTVアニメ『ダイヤのA actII』のエンディング曲でもあります。野球好きの内田さんとしてはテンションが上がったのでは?
はい!『ダイヤのA』は大好きな作品です。アニメの1期も観ていました。エンディング曲だった三森すずこさんの『グローリー!』という曲も好きでライブでカバーさせてもらったこともありますし、「『ダイヤのA』の歌を歌いたい」とずっと前から言っていたので。夢が叶いました!
『ダイヤのA』の面白さというと?
彼らの青春の1ページを覗けるところでしょうか。高校球児の寮生活や、彼らがみんなで作り上げている空気感は、女子からは見えない部分なので。野球を題材にした作品は数多くありますが、『ダイヤのA』は野球のプレーをしっかり描いている作品だから、一緒に熱い瞬間を過ごせるのも魅力です。「野球っていいな!」と胸がときめきます。

『鼓動エスカレーション』はエンディング曲ということもあり、試合が終わった後に爽やかな蜂蜜レモンを食べているようなイメージで聴いてもらえれば嬉しいです。

球場に通い始めて4年。野球にハマった理由

そもそも内田さんが野球を好きになったきっかけは何ですか?
もともとおじいちゃんが巨人ファンで、家のテレビには巨人の試合がいつも映っていて、もはや生活の一部でした。それで、中学生のときに福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)の試合を観て、新垣 渚選手に「カッコいい!」とときめいたのがきっかけです。
そこからのめり込んでいったわけですね。
でも、その頃は選手が好きで見ているだけだったので、ルールもよくわかっていませんでした(笑)。

ルールを覚えて本格的に野球を観るようになったのは大人になってからです。福岡に仕事で行ったのをきっかけに試合を観に行ったら、球場のエネルギーに圧倒されて。そこから球場に通い始めて4年くらいですね。
どれくらいのペースで観戦しているんですか?
月1で行けたらいいなという感じですね。行けないときはTV放送を観たり、「パ・リーグTV」や「DAZN(ダゾーン)」に登録しているので、移動中や空き時間にスマホで試合を観たりしています。
福岡まで観に行くんですか?
はい。ホームゲームで観たいので。4月は2回行きました。これが楽しくて、シーズン中の春から秋まではすごく元気です!!
オフシーズンの冬は、プロ野球ファンにとってツラいものなんでしょうね(笑)。
そうですね。冬は寒いし、野球もやってないので(笑)。
2018年9月には福岡ヤフオク!ドームで、セレモニアルピッチで投球するなど、仕事にもつながってきていますよね。
本当に! 好きが仕事になるなんて、こんな幸せなこともあるんですよね。ただ内田真礼がホークス好きというだけで、選手と対談させてもらったり、セレモニアルピッチで新垣さんにキャッチしてもらったり。なんでこんなに夢が叶うんだろうって感じです。
当初はあまり野球が好きだと公言していなかったそうですね。
野球は無難な趣味ではない気がしていて、あまり大きな声では言わないほうがいいのかなと思っていたんです。
「政治とプロ野球の話は争いの元」とよく言いますもんね。
そうです!(笑)やっぱりいろいろあるんですよ。私が何か言うことで嫌な気持ちにさせてしまったり、争いを生んだりしたくないので。

でもSNSを始めて「野球を観に行ったよ!」とか、楽しかったことを伝えるのはアリかなと思うようになりました。
公言するようになってから、内田さん経由で野球好きになったファンもいるのでは?
そうなんです。女の子も含めて、ホークスファンになった人もいて。私をきっかけに野球を好きになってくださるなんて幸せなことですよね。みんなで応援できるのも嬉しい。
ずばり聞きます。内田さんが考える、野球の魅力とは?
チームプレーですね。ピッチャー、内野手、外野手、監督、そして控えの選手も含めて、全ての人がひとつの球を追いかける。その熱さを私はすごく感じていて、彼らを見ていると「自分も頑張らなくては」と思えるんです。

そして私が球場で野球を観るのが好きなのは、応援する人たちの存在も大きいです。外野席で応援団の人たちが必死に旗を振って応援しているんですけど、そこまで入れ込む趣味はなかなかないと思うんですよ。
たしかに。
球団と応援している人たちの思いが一致していることに感動して、泣きそうになるんです。選手が引退したり、他のチームに移籍してしまうこともあるけど、そんな移り変わりも含めて、一瞬の輝きを求めてみんながひとつの場所に集まっている。そこにジーンと来てしまいますね。

“真礼チーム”であの横浜アリーナの舞台に立ちたい

最後に今後の活動についてお聞きしたいのですが、5周年を迎えた今、次の5年について考えていることはありますか?
5年後となると34歳か……。まだ想像もつかないですけど、ライブが好きなので続けていたいですね。そして「5年前より今のほうがいいね」と言えるようでありたい。

あと個人的にやりたいことがあって。ライブの最後に、みんなでジャーンと音を合わせて鳴らして終わるやつあるじゃないですか?
ボーカルがジャンプして、着地と同時にジャーンってやるやつですね。
あれを上手にやりたいんです。私は頭の中でカウントを取ることができなくて、バンドメンバーとアイコンタクトをして「せーのっ」と合わせてやっているのですが……。

いずれは「せーのっ」と言わずともジャーン!とやれるようになりたい。いろいろなアーティストさんのライブを観て勉強したいと思っています(笑)。
ファンのみなさんにも今後注目してほしいポイントですね(笑)。
あとは、ずっと言っていることですが、横浜アリーナのステージに立ちたいです。
どうしてですか?
400人規模でのリリースイベントしかやっていなかった頃に、横浜アリーナでのフェスに出させてもらったんですね。そのときに「きょうのステージは、いつもは見れない景色だよ」と言われて。
おお……。
その後ステージにあがったら「敵地に来て怖いんですけど、頑張ります」というようなことを言ってしまったんです(苦笑)。実際、それくらいアウェイな感じだったのですが……。

武道館みたいな大きな会場でライブをできるようになった今も、ふとあのときの気持ちを思い出すんです。だからこそ、あの「敵地」と感じてしまった場所に、真礼チームで、ファンのみなさんを連れていきたいなと。

それが叶ったら、次はどうしようってくらい大きな目標ですね。
その次は……やっぱりヤフオクドームじゃないですか?
ふふっ。その思いでやっていきたいです!
内田真礼(うちだ・まあや)
12月27日生まれ。東京都出身。2010年、声優デビュー。2012年に『さんかれあ』(散華礼弥)、『中二病でも恋がしたい!』(小鳥遊六花)と立て続けにヒロイン役を演じブレイク。その後も数多くの作品でメインキャラクターを担当。声優業と並行して、2014年4月にアーティストデビュー。2019年元日に日本武道館で行われた単独ライブの映像を収録したBlu-ray&DVD『take you take me BUDOKAN!!』が発売中。

CD情報

9thシングル『鼓動エスカレーション』
TVアニメ『ダイヤのA actII』第2弾エンディングテーマ
7月10日リリース!


左から初回限定盤(CD+DVD)、通常盤(CD only)

【初回限定盤】(CD+DVD)
1,750円+税
【通常盤】(CD only)
1,250円+税

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、内田真礼さんのサイン入りポラを抽選で2名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年7月9日(火)12:00〜7月15日(月・祝)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/7月16日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから7月16日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき7月19日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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