中島がまったくパスを出さなかったわけではない。58分のゴールシーンでは、左サイドをパスで崩している。そういうセンスはあるのだから、得意のドリブルを生かすためにも“見せ球のパス”を有効活用してほしい。
 
 6月9日のエルサルバドル戦後、久保について訊かれた長友もこんなことを言っていた。
 
「ドリブル一辺倒の選手だったらやりやすいですよ。そういう選手なら自分の間合いで勝負できる自信があって、絶対にやられない。ただ、建英みたいな選手は……。常に味方と“つながっている”からマークするのが難しい。中にいる味方へのパスコースを切ると、それを察知して縦に仕掛けられたり、縦を切ったら、今度は違うスペースを使われる」

 プレーの選択肢が豊富なほうがそのアタッカーと対峙したDFはやりにくいということなのだろう。

  仕掛けないと始まらないというスタンスは理解できる。ただ、その仕掛け方にも工夫がいるはず。1対1の局面で精神的にも上回るには、対峙する相手を迷わすことは大事だ。繰り返すが、今、中島にもっとも必要なのはドリブルを生かすための“見せ球のパス”だろう。技術だけでサッカーは勝てない、駆け引きも重要なのである。
 
文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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