最近は若い人でもコレステロールや中性脂肪の高い人が増えている。そういう人のほとんどは血液の流れが悪い。中でも、血流の澱みによって起きる血栓症は、動脈より静脈に多いといわれる。

 飛行機などで同じ姿勢で座っていると発症する急性肺血栓塞栓症などは、血液が心臓から吐き出される動脈よりも、心臓に戻る静脈のほうが血流がゆっくりしていて、血栓ができやすい。

「血液の成分のほとんどは水分です。夏に大量の汗をかいた後に、利尿作用のあるビールや度数の高いお酒ばかり飲んでいると、血液が固まりやすい成分に変わってしまう。水分が抜けた分だけ血小板をはじめとした血液凝固成分の濃度も濃くなるからです。ですから、夏場にダイエットする人も注意が必要です。人間は1日に1〜2㍑程度の飲み水が理想といわれていますが、それ以外に食べ物からも摂っています。ダイエットで食べない人は、その分、水分を多く摂らなくてはなりません」(健康ライター・深見幸成氏)

 人間の血液凝固能力には日内変動がある。いつが固まりやすいのか?

「これは就寝してから長時間、体を動かさない早朝が、一番血液が固まりやすいといわれます。また、甘い物や肉類を過食したり、ストレスを感じたり、興奮したり、激しい運動をした後も血栓ができやすいことが分かっています。薬もピルやステロイドを使っている人は、注意が必要です」(同)

 もちろん、血管に圧力がかかり続ける高血圧、食事前後で血糖値が大きく変動する糖尿病、血液中に抗リン脂質抗体が増える膠原病などのほか、歯周病や風邪の人も血栓に罹りやすいといわれる。

 また、血栓ができやすいということは、脳梗塞のリスクが高まることも意味する。

 ろれつが回らない、言葉が出なくなる、顔に歪みが出る、片方の手足に力が入らないなどの症状が表れた場合、すぐに救急車を呼ぶようにしたい。または近くの内科、循環器科の医師などに相談することが大事である。

 命を脅かす血栓には、くれぐれもご注意を。