今年2月、東京・参議院議員会館で開かれた集会に参加した強制徴用訴訟の原告の遺族(資料写真)=(聯合ニュース)

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【東京聯合ニュース】韓国大法院(最高裁)が昨年10月、日本による植民地時代に強制徴用された被害者への賠償を日本企業に命じる初の確定判決を出してから悪化の一途をたどる韓日関係を円満に回復させる糸口がつかめない状況が続いている。

 大法院の判決に関連し、韓国政府は韓国と日本の企業による自発的な拠出金で財源を確保し、被害者に慰謝料を支払う案を日本に提案したが拒否された。

 これまで日本側は大法院の判決が1965年に締結された韓日請求権協定の規定に反すると反発してきた。

 しかし、韓国政府は司法の判断に介入せず、被害者中心の解決策を模索するとの立場の下、歴史問題と経済・安全保障問題を切り離して対応する外交路線を堅持してきた。

 日本側は韓日請求権協定に規定された紛争解決手続きを踏むことで韓国政府に圧力をかけ、両国の外交関係は崖っぷちに追い込まれた。

 大法院の判決から8カ月が経過した後に韓国政府が日本側に対し差し出した最初のカードが韓日の企業による拠出金を財源とする慰謝料支給の案だ。

 韓国外交部の当局者は19日、「日本側がこうした案を受け入れる場合、日本政府が要請した韓日請求権協定第3条1項の協議手続きの受け入れを検討する用意がある」と述べた。

 同当局者の発言は、韓国政府の提案に対し日本側が前向きな反応を示した場合は請求権協定に規定された3段階の紛争解決手続きを最初の段階に戻し、根本的な解決策を模索する用意があることを示唆したものだ。

 日本政府は1月、請求権協定に基づき韓国側に2国間協議を要請し、30日以内に回答するよう求めたが韓国側が回答しなかったため先月、仲裁委員会の設置を要請した。韓国側が仲裁委員会設置にも応じなかったため、第三国を選定して仲裁委員会を設置することを改めて要請した。日本政府のこうした動きは国際司法裁判所への提訴に向けた足掛かりにするためのものとみられる。

 日本の菅義偉官房長官が19日に行った記者会見からも日本側の反応を読み取ることができる。菅氏は日本側の要請に韓国が応じなかったことに遺憾の意を表明しながら「仲裁に応じるよう、引き続き強く求めていきたい」と述べた。日本政府の立場は特別な変化要因がない限り維持される可能性が高い。

 北朝鮮核問題への対応などで韓日との連携が弱まることを懸念する米国が韓日関係の改善を求める可能性があるとの見方も出ているが、今のところ具体的な動きはみられない。

 結局、強制徴用訴訟問題は紛争当事者の韓日両国の政府の手を離れ、日本が意図する国際法廷での争いへと向かう様相を帯びつつある。ただ、日本政府が国際司法裁判所に提訴しても韓国政府が応じない場合、訴訟は成立しない。