前回王者チリに挑んだ先発メンバーたち。後半は岡崎慎司のほか、安部裕葵、三好康児という若いメンバーが交代出場し、果敢に攻め入る姿を見せた。 (C) REUTERS/AFLO

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 クラブや選手たちはこの夏の期間に休む必要があると訴えているなか、今年も多くの公式戦が行なわれている。コパ・アメリカ、アフリカ・ネーションズカップ、トゥーロン国際大会、U-21欧州選手権、ゴールドカップ、そして女子ワールドカップが開催中もしくはこれから開幕する。

 これによって、私が住むイギリスではテレビのチャンネルが各大会の争奪戦となり、コパ・アメリカの日本対チリをライブで観ることは叶わなかったため、翌日に試合を観た。事前にチリが4-0で勝利したという結果は知っていた。だから、私は心の準備をしていた。日本代表が徹底的にチリにゲームを支配され、ひどくやり込められる姿を見なければならないと。

 ところが、その懸念は杞憂に終わった。私は日本のパフォーマンスに非常に感銘を受けた。たしかに、4失点を喫して敗北した。けれど私はこの目で、日本がチリという強豪を相手に臆することなく、果敢に戦う姿を見ることができたのだ。

 先発メンバーが平均年齢21.4歳という非常に若いチームは、南米で最も経験豊富なチームのひとつであり、前回大会王者であるチリに対し、多くのチャンスを生み出していた。日本の選手たちは相手を恐れていなかった。自由に楽しんでいるようにさえ見えた。

 その証拠に日本は、チリよりもずっと魅力的なサッカーをしていた。何度でもいうが、彼らは負けた。しかし、その敗北よりもずっと貴重なことを、この大舞台でプレーすることで学んだに違いないのだ。

 久保建英という選手をきちんと目にする初めての機会でもあった。彼は最後まで決して下を向くことなく、チームメートとともに自信を持ってプレーしていた。その姿は可能性に満ちており、とても印象に残った。

 ここ数週間以内に私は日本に行く計画を立てていて、FC東京の試合を観る予定も組み込んでいたが、レアル・マドリーへの移籍が発表されたいま、彼を間近に見る機会を逸した。そのことは残念に思っている。
 この敗北に対して、日本国内では批判もあるようだ。だが、私にとってはそれが不思議で仕方がない。なぜ若い選手たちにチャンスを与えることを、良しとしないのだろうか?

 アジアカップのように、日本が当たり前に勝てるような相手と試合を行なう舞台と、南米の強豪が集うコパ・アメリカは根本的に違う。したがって、滅多に来ることができない舞台で若い選手たちを起用することは、日本の将来にとって素晴らしい決断だったと思う。

 交代で見知った岡崎慎司が登場したときには、目を丸くした。彼はピッチでプレーしている何人かの選手にとっては2倍近い年齢だからだ。

 次戦はウルグアイが相手なので、チリ以上に苦戦するであろう。だが、それは選手たちにとって素晴らしい経験になることだろう。

 ここ数年にわたって、日本の友人やジャーナリストから、「次世代の日本人選手たちは“過去最高”からは程遠い」と聞かされていた。だが、チリ戦の彼らは、そんな評判をいい意味で裏切るプレーを見せてくれた。私は彼らの見せた戦いの姿勢に非常に感銘を受け、興奮した。次の試合も楽しみにしている。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。