5G対応スマホや業務向けSTBなど!Interop Tokyo 2019の注目展示をまとめて紹介

千葉県・幕張メッセにて6月12〜14日までネットワーク関連の展示会「Interop 2019」(主催:Interop Tokyo 実行委員会)が開催されました。なお、同時に「Connected Media Tokyo」および「デジタルサイネージジャパン」、「ロケーションビジネスジャパン」、「APPS JAPAN」が併催開催されました。

コンシューマー向けというよりも法人向けソリューションや広告・ビッグデータ関連技術の展示が中心のイベントですが、法人・企業向けだからこそのモバイル関連アイテムの展示もあり、見逃すことのできない展示会となっています。

そこで本記事では会場内で発見したモバイル関連のアイテムや端末をまとめて紹介していきたいと思います。

【シャープの5G対応スマホプロトタイプ機展示】


実はシャープブースの出展内容を記したプレスリリースにはなかった5Gスマホの展示

デジタルサイネージジャパンのエリアに出展していたシャープのブースの中央付近に5G通信に対応したスマートフォン(スマホ)のプロトタイプモデルが展示されていました。


実験に実際に利用している実機のため、ケース内展示

説明員によると、本来は展示物リストにないものではあったとのことですが、5G通信で大容量の動画などのコンテンツを快適にダウンロード・ストリーミングで視聴できる機器としてわかりやすいものを展示したいという話から今回の5Gスマホの展示となったそうです。


筐体はAQUOS R3をベースにしたものを使用しているが、5Gモジュール搭載のためか本体に厚みがある



ここで電波出すと問題があるのでフライトモード

この場での実機によるデモは行われていませんでしたが、電波暗室内での5G接続による通信テストの様子がビデオ展示されていました。


説明員にいろいろと話を聞いてきましたが、5Gについては「初めは(モバイルルーターやUSBドングルなどの)データ通信端末やタブレットといったサイズ的に余裕がある製品が先に出てくるんじゃないかと思います。ただやはりスマホの方が注目してくれると思いますし、みなさんも期待していますよね」とのこと。

もちろん、5Gスマホを我々が手にする日が来る(国内でのサービスイン)はもう少し先の話にはなりますが、プロトタイプとはいえ、実際に手に収まるサイズのものを目にするとやっぱり期待しちゃいますよね!

【MAYA SYSTEMのminiPCI-Express接続のクラウドSIM通信モジュール】


ノートPCなどに搭載するminiPCIe規格の通信モジュール(参考展示)

国内にて「FREETEL」ブランドや「jetfon」ブランドのSIMフリースマホなどを展開しているMAYA SYSTEMのブースではノートPC(一部、小型ベアボーンなどのデスクトップPCも含む)などに搭載されているmini PCI Express(miniPCIe)スロットへ接続して利用する「クラウドSIM」(MAYA SYSTEMが提供しているSIMカード不要のネットワーク接続サービス)対応の通信モジュールが展示されていました。


miniPCIeモジュールの背面。ノートPCなどに内蔵して使用する

この端末は前述通り、PCのminiPCIeスロットへ接続するクラウドSIMの通信モジュールで、MAYA SYSTEMが販売している既存端末と同様にクラウドSIMの情報を遠隔から書き込むことで、LTE・UMTS(W-CDMA)・GSMからネットワークへ接続することができます。

特徴としては「搭載したノートPCなどに直接WAN接続の機能を持たせることができる」ことで、MAYA SYSTEMのクラウドSIMのサービスを併用することで、国を跨いだ移動をしても、クラウドSIMのサービスに対応している国であれば、手続きや設定の変更をすることなく、すぐにネットの接続利用が可能です。


通信機能の対応バンドや機能などもすでに発表されており、基本機能としては以下の通りとなります。なお、物理SIMカードスロット対応(クラウドSIMの他にもう1つSIMカードスロットが追加可能)とのこと。

サイズ縦51mm×横幅30mm×厚さ4.9mm
内蔵メモリー(RAM)1GB
内蔵ストレージ8GB
通信機能(対応周波数帯)4G:FDD-LTE(Band 1/2/3/4/5/7/8/9/12/13/17/19/20/26/28)
4G:TD-LTE(Band 38/39/40/41)
3G:W-CDMA/UMTS(Band 1/2/4/5/6/8/9/19)
2G:GSM(Band 2/3/5/8)
位置情報取得(GNSS)GPS・GLONASS・BeiDou
動作温度-30℃〜75℃

説明員によると、PCパーツとしての一般向けへの直接販売は予定していないということですが、法人への組み込み機器やショップやメーカー製PCのCTOやBTOのパーツとして選べるように売り込みをしていく予定であるということです。かなり具体的なスペックが公表されているので、近いうちにこのモジュールを搭載した端末が出てくるかもしれません。

【シグラボの5G通信対応Android STB「MC-BOX2」】


国内初の5G搭載STB端末「MC-BOX2」

街中の大型モニターや業務向けセットトップボックス(STB)端末などのデジタルサイネージ機器全般の開発・販売を行っているシグラボのブースでは国内初となる、5G通信モジュール搭載のSTB機器
「MC-BOX2」の試作品が展示されていました。

MC-BOX2は同社がすでに販売しているSTB端末「MC-BOX」の後継端末です。一般向けの端末とは違い、導入後の製品寿命(利用サイクル)の長い法人向け機器であり、5Gサービスが本格的に開始されたあとでも、そのまま対応できるように、と5Gによる通信が可能であることが特徴です。


前面側には通信状況やデジタル表示の時計などを表示するためのものと思われるLCDがある



あらゆる利用方法でのコンテンツ受信を想定してか、端子類は豊富

背面側には電源ボタンおよび電源コネクター用ジャック、3.5mmイヤフォンジャック、HDMI 2.0端子、USB端子(2.0×2基)、microSDカードスロット(最大128GBまで対応)、有線LAN端子が配置されています。


左側面にはSIMカード(nanoSIM:4FF)スロットが配置



両側面と底面側は放熱用のスリットが大きくとられており、この辺りはさすが法人用途向けといったところ

外部との通信手段に有線LAN・Wi-Fi(無線LAN)・モバイルネットワーク通信・Bluetoothに対応し、さらにUSB端子からコンテンツを受け取ることも可能で、広告コンテンツをあらゆる方法で受け取ることが可能です。今回展示されているMC-BOX2の試作機の基本スペックについては以下の通りとなります。

OSAndroid 7.1(開発コード:Nougat)
CPURockchip製RK3229(1.5Ghz×4:クアッドコア)
内蔵メモリー(RAM)2GB
内蔵ストレージ16GB
外部ストレージ最大128GBまでのmicroSD(TF)カードに対応
サイズ縦95mm×横幅160.3mm×厚さ18mm
通信機能モバイルネットワーク:5G/4G/3G/2G(対応バンド非公表)
Bluetooth 4.0
Wi-Fi:2.4G Single frequency/2.4-5.8G+BT4.0/2.4G-5.8G+BT4.0/2.4G-5.8G+BT4.0+AC

説明員の話では「まだこれからの状況を見てスペックは変わるかもしれない」とのこと。なお、シグラボが提供するサイネージのクラウド管理システムアプリ「envi」プリインストールされているということです。

日本国内向けとしてはまだ法人・個人向けどちらにも5Gでのネットワーク接続に対応したSTB端末はこれまでなかったため、非常に珍しいアイテムではないかと思います。

まだ、開発中であるということで、発売時期などは未定(少なくとも国内での5Gサービスが開始されて以降になるかと思いますが)ですが、今後さらに大容量化していく広告コンテンツを扱う端末として注目の1台かとではないでしょうか。

というわけで、会場内で見つけたモバイル関連アイテムたちをまとめて紹介してまいりました。個人向けの展示会ではないのでニッチなアイテムや試作品と出会える機会のある個人的にも非常に楽しい展示会でした。また、来年も取材へ行こうと思っておりますので、お楽しみに!

記事執筆:河童丸


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