「刑務所に戻りたいから、苗穂イオンで無差別殺人して戻ると言っているので、近隣の住民や家族は気をつけてください」

札幌刑務所の刑務官の姉から連絡が来たと、SNSにこんな投稿があり、拡散されて警察や市民を巻き込む騒ぎとなった。

ある元受刑者の男性が今月13日(2019年6月)に出所すると、十数人の私服警察官が取り囲み、男性が公園のトイレへ入っている間、警察官らは外で待機し、男性が歩き出すと一斉に動き出す。このような映像が、同時にネットに次々と投稿された。

無差別殺人が予告されたショッピングモールは、出入り口が制限されるなど厳重な警備が敷かれ、市内の小学校は一斉下校となり、保育園の園外保育は中止となった。

警察官の行動確認の映像で信憑性

実際はどうだったのか。警察によると、この男性は出所前に「出所したら殴ってやる」とは言っていたものの、「無差別殺人」という言葉は口にしていなかった。警察は男性に警告したうえで、2日間ほど行動確認を行ったが、監視中に男性が暴れるようなことはなく、最終的に警察は男性が周囲に危害を与えることはないと判断した。

トイレに入った公園でこの男性を見かけた人は、「男性は困惑した表情で、『警察なんだ』『離れてくれない』『ついてくる』と言っていました」という。近隣住民は「最初はデマかと思いましたが、学校からも緊急メールが来たので、本当に気を付けなきゃと思いました」と話していた。

だれが言ったかわからない情報をリツイート

SNSのフェイクニュースに詳しい桜美林大学の平和博教授は、「最近、注目を浴びている無差別殺人という言葉や、実際に男性が警察官に囲まれているという動画といった『事実』が含まれることで、信憑性が高いと判断されてしまいました。家族や友だちに早く知らせたいという善意で、拡散してしまった」と解説する。

浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「誰が言ったかわからないようなことを、拡散希望といって回していくことが問題です。自分が確信を持てない情報を回していくことの恐ろしさは、リツイートする時に気を付けないといけません」