エグゼクティブ・コンディショニング (クロスメディア・パブリッシング(インプレス) )

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 表紙に英語があふれている。メーンの写真は外国人。ビジネス・エリート向けの本だと推測が付く。タイトルも『エグゼクティブ・コンディショニング』(クロスメディア・パブリッシング)。副題も「最高の仕事パフォーマンスが持続する!」「一流が通う疲労回復ジムのメソッド」とハイクラス感が漂う。東京・六本木あたりのタワマンに住んでいるような人は、どうやって心身の調子を整えているのか。そんな下世話な関心もあって手に取ってみた。

「抗重力筋」が劣化

 本書は【序章】「体調:最高のコンディションとは」、【1章】「睡眠:安心して眠る」、【2章】「運動:重力に逆らう」、【3章】「呼吸:意識を操る」、【4章】「食事:食事を革新する」、【終章】「習慣化:よりよい自分に変わっていく」に分けてコンディショニングの極意を説いている。一言で言えばコンディショニングとは「準備」であり、「あなたの健康状態を最高の状態でキープするために行う、事前準備」と規定している。

 睡眠、運動、呼吸、食事が大切というのは、当たり前だろう。それぞれの効用と注意点が縷々記されている。このなかで誰しも極端に欠けることになりがちなのが運動だ。とにかく、やるのが面倒臭い。つい億劫になる。そこで目に留まったのが、本書が推奨する「5秒スクワット」だ。これならできそうだと思う。

 本書は、不調の原因の多くは、体を動かさないことによる「滞り」にあるという。たしかに毎日の通勤程度しか運動していないと、じわじわと体力が衰えていく。そこで本書は「重力に逆らう」ことを提案する。例えば「つま先立ち」。これがスムーズにできない場合、地球の重力に逆らって体を支えようとする太もも、ふくらはぎなどの「抗重力筋」が劣化しているということになる。全身の筋肉の約70%は下半身の筋肉と言われているので、下半身の黄信号だ。つまり、「つま先立ち」ができないということは「老化」のメルクマールというわけだ。

基本は共通している

 そこで下半身の筋肉を鍛える必要がある。そのために最も効果があるのが「スクワット」だという。

 ・太ももの「大腿四頭筋」という非常に大きな筋肉(抗重力筋の一つ)を使える。 ・血流を促すターミナルポイント(股関節)を刺激できる ・どこでも誰でもできる ・代謝アップ効果が期待できる

 このように、多数のプラスがある。特に本書が推奨するのが一回を5秒かけて行う「5秒スクワット」。何しろ「5秒」というのがうれしい。運動は面倒だという人も、自宅で簡単に取り組める。イラスト付きで紹介されているので、ぜひ参照してほしい。

 本書と類似の話は先日、BOOKウォッチで紹介した『階段を「下りる」人はなぜ寝たきりにならないのか?』(小学館集英社プロダクション)にも書いてあった。要するに「転ぶ」というのは下半身の筋肉の衰えによるものであり、日常の動作で下半身を鍛えるには「階段を下りる」のが効果的という説明だった。

 本書の最終章で強調されている「習慣化」も、同じくBOOKウォッチで『理想の人生をつくる習慣化大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を紹介したばかり。こうして振り返ると、健康や生活改善に関する基本は共通しているようだ。問題はそれができるかどうか。

 本書の著者「ZERO GYM」は「疲労回復専用ジム」。本書ではエグゼクティブ指導実績をもとに「朝の目覚めが爽快になる」ためのコンディショニングを説いている。何しろ「5秒」から始められるのでトライしやすい。

書名:  エグゼクティブ・コンディショニング
サブタイトル: 最高の仕事パフォーマンスが持続する! 一流が通う疲労回復ジムのメソッド
監修・編集・著者名: ZERO GYM 著
出版社名: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
出版年月日: 2019年5月31日
定価: 本体1380円+税
判型・ページ数: 四六判・240ページ
ISBN: 9784295403005


(BOOKウォッチ編集部)