「コースの印象? 難しいですね。狭いですし、グリーンが小さいですし。(断崖も)怖いです。あそこ、平気で見に行ける人はなかなかいないでしょ。できれば、海が見えるホールはやりたくない(笑)。でも、景色は最高です。

(セカンドショットでの)マネジメントはないですね。グリーンに乗せることを考えて、それに集中するだけで精一杯。大きいグリーンで外してはいけないサイドというのはあるけど、これだけ(グリーンが)小さいと、ちょっとのミスで行ってはいけないところにいってしまいますから。それに、この小ささだと、グリーンを外さないようにと思っていても(全部は)無理なので、(グリーンを)外したときにどういうショットが必要か考えて、うまく対応できたらいいなと思っています」

 世界有数の名門コース、ペブルビーチ・ゴルフリンクスで開催された全米オープン(6月13日〜16日/カリフォルニア州)。大会前、同コースで初めてプレーする松山英樹はそう語っていた。

 そして大会本番、松山は持ち前の精度の高いショットで小さなグリーンをとらえ、バーディーを量産した。ただ一方で、フェアウェーを外したり、グリーンを外したりしたあとの、リカバリーに苦しんでボギーも増加。4日間通算2アンダー、21位タイに終わった。

「やっぱり上位で戦いたいという気持ちがありますから、結果的には残念ですけど……。まあ、いいところもあったし、悪いところもあったし、という感じですね。波に乗れそうなところで、自分にとって嫌なショットを打たなければいけなかったりして……、そういう意味では、精神的にも全然ダメだし、技術的にもまだまだ。

 嫌なショットというのは、シチュエーション。そういう(自分が嫌な)シチュエーションがすごく多くて、それを打てる技術が(自分には)なかったかな、と思いますね。あと、今週で言えば、ラフからのアプローチがまったくダメだった。ここまでダメな週もね……。(今の自分には)そこで対応できる力がない、というのはある」


全米オープンを21位タイで終えた松山英樹。photo by Getty Images

 初日は、悪くなかった。10番スタートの出だしでボギーを叩くも、11番でバーディーを奪ってすぐに取り返し、14番ではイーグルを奪取した。最終的に「69」の2アンダーで回って、首位と4打差の16位タイでの発進となった。

「(10番は)ボギーで収まってよかった。ダブルボギーにしていたら、流れが変わっていたと思う。ティーショットも悪くはなかったですし、パッティングも悪いところもあったけど、次のホールに引きずらなかったのはよかった。(もう少しスコアを伸ばせた?)あまり欲張っても仕方がないですから」

 2日目はバーディーが先行するも、直後にボギーを叩くなど、苦しい展開となった。結果、3バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの「73」。通算イーブンパーと、ふたつスコアを落として、順位も32位タイに後退した。

「ここは傾斜地からのショットが多い。つま先下がりとか、つま先上がりとか。そういうところ、たとえばつま先下がりでドローを打ちたいシチュエーションとかで、なかなか思うようなスイングができなかった。そういうのは、他のメジャーでもあるし、他の大会でもあることなんですが、それがより多く感じました。

 また、流れが悪かったのもあるんですが、ちょっとしたことで、これだけスコアを崩してしまっている。明日はいい方向に(流れを)持っていけるようにしたい。いい流れでプレーできれば、5アンダー、6アンダーは出せなくもないと思うので、そういう流れを作る連続バーディーを取るとか、できればいいですね」

 そして3日目、前半はいい流れだった。1番でバーディーを奪ったあと、3番でボギーを喫するも、4番、5番、6番と3連続バーディー。ムービングサタデーに猛チャージなるか、と一気に期待が高まった。しかし後半、3つのバーディーを奪ったものの、11番でダブルボギー、13番、17番でボギーを叩いて、トータル「70」。1つスコアを伸ばすにとどまった。

「前半はいいプレーができたんですけど、後半になって、11番のミスパットから流れが悪くなってしまいました。(11番の3打目は)アプローチを(ピンに)寄せるというより、(グリーンに)乗せるので精一杯。ティーショットでフェアウェーを外したとき、または(セカンドショットなどで)グリーンを外したとき、今日はちょっと”つらい位置”にある一日でしたね」

 最終日も、出入りの激しい1日となった。5番でバーディーを奪うも、6番でトリプルボギー。後半も、4つのバーディーを決めながら、ボギーも2つ叩いた。結局、3日目と同じく「70」のラウンドとなって、トータル2アンダー、21位タイでのフィニッシュとなった。

「このフィールドで(トータル)19バーディーは取っているほうだと思う。でも、それだけ取った感じはないですね。ボギー、ダブルボギーも多く、今日はトリプルボギーもありましたから。

(プレーの状態は)少しずつよくなってきていると思う。そう思いたい、というのもあるんですが、ショットが荒れているなかでも、徐々にやることがまとまってきているのかな、というところまでは来ている。だいぶスイングが変わって、距離が出てきていて、調整しないといけない部分もあるんですが、方向性もよくなってきて、バーディーチャンスにもつけられるようになってきていますし。あとは、自信を持てるところまでとことん練習することかなと思います。

 パッティングも、いいところも、悪いところもありましたけど、まずは今取り組んでいることをしっかりと続けていきたい。練習内容でも多少なりとも変わると思うので、いい方法をもっと見つけて、さらに自分の状態を上げていけるようにしたいと思っています」

 日本人初のメジャー制覇への期待がかかる分、21位という結果は残念ではあるが、松山は今回、全米屈指の難コースを初めてプレー。それも、メジャー大会という舞台でアンダーパーであれば、申し分ない成績である。

 まして、4日間の通算バーディー数(19)は、出場選手の中でトップタイ。ほんの少し流れがよくなれば、頂点に立つチャンスは必ず巡ってくるはずだ。本人が言うとおり、状態が上がっていることは間違いなく、今季最後のメジャー、全英オープン(7月18日〜21日/北アイルランド)へ向けて、楽しみが膨らむ。