去年(2018年)12月19日、広島県三原市の大型スーパーの駐車場で衝撃の事故映像が撮影された。駐車中の車に突っ込む事故を起こしたワゴン車だが、衝突後もエンジン音が高らかに鳴り響き、駐車場には煙が立ち上がる。

駆けつけた人が「降りた方がいいですよ」と声をかけるが、運転していた高齢男性は放心状態。衝撃で開いたエアバッグに埋もれるような姿勢のままでアクセルを踏み続ける。「アクセルを止めましょう」と声をかけてもクラクションを鳴らし、再びアクセルをふかす。

さらに「これ、どうやってバックするの?」とパニック状態。ようやく車から降りた高齢男性は足元もおぼつかない状態。目撃者によると、何が起きているのかわからない様子で、固まっているようだったという。

高齢者はパニックの連鎖からなかなか抜け出せない

事故のきっかけは、駐車場内の横断歩道での急発進だった。車はその後歩道に乗り上げ暴走、歩道に置かれた自動販売機に激突する直前でハンドルを右に切り、別の車に衝突してようやく停止した。

脳神経外科医の楠木司さんは「パニックの連鎖が起きていた」と指摘する。急発進にビックリしたドライバーが、歩道に乗り上げてパニック状態に。さらに、車や自動販売機にぶつかりそうになり興奮状態に陥った。ブレーキを踏むという認識がなくなり、最終的に車に激突することで思考が止まってしまった。

高齢ドライバーの運転能力を研究する山梨大学の伊藤安海教授も「高齢者は今の動作をやめて別の動作に切り替えることが難しい。何をしているのかわからない混乱状態に陥ると、踏んでいるペダルから足を外すのが難しい」と指摘する。

母娘2人の命が失われた池袋暴走事故では、当初「アクセルが戻らなくなった」と供述していた飯塚幸三元院長(88)も、13日(2019年6月)に実況見分後は「パニックになりアクセルとブレーキを踏み間違えたのかもしれない」と話した。

司会の羽鳥慎一「若者もパニックになるが、高齢者はそこからの立て直しに時間がかかってしまう」

青木理(ジャーナリスト)「事故を起こした後、バックしなければいけないというとき、バックギアを入れないままアクセル踏むのもパニックかもしれない。ただ、『免許取り上げろ』となったとき、個人差や生活環境の差を考えないといけない。ある程度のリスクを考えながら、できるだけ多くの人が安全に暮らせる社会をどう作っていくか」

羽鳥慎一「高齢者だから危険というわけではない。一律に免許返納というのは難しい」

菅野朋子(弁護士)「必要だから運転する人もいる。免許返納しても無免許で運転して事故ということもある。事故を起こさないよう自動車の性能をどう上げていくかという議論が建設的」

文・みっちゃん