食品 値引き強要なお 協議は不十分 半数断れず…

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 食品製造業者が、取引先の小売店から不当な値引きや買いたたきなど不公正取引を強要されている実態が、食品産業センターの2018年度調査で明らかになった。不当な値引きの要求件数は前年度に比べ減ったものの、要求を受けた製造業者のうち5割が要求に応じている。十分な協議がないことや、取引中止の懸念から応じざるを得ない状況だ。不当な取引は、農家の手取りにも影響するため、公正取引の順守が必要だ。

 同センターが食品製造業者を対象に取引実態を毎年調査。2月に354社から回答を得た。

 商品購入後に不当な値引き要求が「あった」と回答した割合は前年度から1ポイント減の8%。業態別でドラッグストアが最も高く15%。ディスカウントストアが14%、スーパーが10%となった。

 不当な値引き要求を受けた業者のうち、「全て応じざるを得ない」(17%)「ほとんど応じる」(5%)「ケース・バイ・ケースで応じる」(26%)が計48%。前年度から35ポイント減ったが、依然高水準だ。

 具体的な事例として「事前協議がなく、事後値引きが行われている」との指摘が多い。「商品の取引が中止になる」ことを恐れ、要望を断りにくい状況であることが明らかとなった。返却や取引条件の見直しについても「80%は聞いてもらえない」という。

 特売などを理由に低い価格で納入させる買いたたきが「あった」との回答は12%で、前年度から1ポイント増えた。要求への対応は「全て応じざるを得ない」「ほとんど応じる」「ケース・バイ・ケースで応じる」が計51%。値引き要求同様に、不当取引が横行している。

 同センターは「不当な要求実態を告発することは、将来の取引への影響が強く懸念され、非常に難しい。取り締まりの強化が必要だ」と訴える。

 政府は、公正取引を促す「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」を18年10月に施行。農水省は同法律に基づき、食品などの取引状況と流通に関する調査を行う。調査で不公正な取引があった場合、公正取引委員会に通知することになっている。だが、現在は、「調査の準備をしている段階」(同省食品流通課)と遅れている。