弁護士役を演じたクリストファー・ジャクソン
 - Gary Gershoff / Getty Images

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 ブロードウェイ・ミュージカル「ライオン・キング」ではシンバ役、「ハミルトン」ではジョージ・ワシントン役を演じた舞台俳優クリストファー・ジャクソンが、6月5日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催のイベントで、Netflixのミニシリーズ「ボクらを見る目」について語った。

 1989年にハーレムに住む黒人とラテン系の少年5人が不当逮捕された冤罪事件、セントラルパーク・ジョガー事件を基にした本作。婦女暴行事件の容疑者として逮捕された5人は、現場で見つかったDNAが一致しなかったのにも関わらず、警察の圧迫尋問により罪を認め、有罪判決が下された。しかし事件から13年後、真犯人が事件について自白したことで5人の無実が証明され、当時大きな話題を呼んだ。彼らが最初に事情聴取を受けた1989年から、無実が明らかになった2002年、さらにニューヨーク市との和解までの25年を丁寧に描いた注目作だ。映画『グローリー/明日への行進』のエヴァ・デュヴァネイがメガホンを取った。

 事件が発生した1989年、まだ少年だったクリストファーは、イリノイ州の南部に住んでおり、この事件もローカルニュースで少し取り上げられる程度だったので、事件当時は本件をほとんど知らなかったそう。ニューヨークには1993年に移り住み、ほかの人と同様2000年代初頭にニュースで彼らの無罪を知ったそうだが、さらにこの事件をより認識することになったのはヒップホップのおかげだと語る。「多くのアーティストたちがこの事件に影響を受け、語っていた。そして事件当時、僕の妻はユセフ・サラームと同じ学校に通っていた。彼女の友達は、彼と友達だったんだよ。少し関わりがあったんだ」と明かし、エヴァのチームがこの事件に関し、多くのリサーチを事前にしてくれていたことも語った。

 「セントラルパーク・ファイブ(冤罪の5人の少年のこと)」の判決を下されたシーンでは役に入り込みすぎ、シーン終了後、セットから離れた自分の車の中で20分くらい泣いていたそうだ。何がそこまでさせたのだろうか。「それは、エヴァが愛を込めてセットでの環境を構築しているからだと思う。決して、僕は陳腐な表現をしているわけではなく、セットでは誰一人評価されていない人がいないほど、みんなが平等だった。そして彼女は、とても高水準でわれわれ俳優陣に期待していた。もちろん、俳優陣は様々な懸念をしているものの、その懸念を取り払ってこそ、ベストな演技が生まれるんだ。僕らは演じていたのではない。本当に感じていたんだよ」と話した。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

ミニシリーズ「ボクらを見る目」はNetflixにて独占配信中