キリンチャレンジでの中島は、ボールをもらいに下がってくる傾向が強かった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 22歳以下の東京五輪世代を中心に参戦する今回のコパ・アメリカ。U−22日本代表の主戦システムは3−4−2−1だから、今大会も3バックで臨むことが予想されるが、U−22日本代表において、人材が最も充実するポジション――それが2シャドーだ。
 
 これまで三好康児、伊藤達哉(いずれもコパ・アメリカに招集)、岩崎悠人、旗手怜央(いずれもトゥーロン国際大会に出場)といった選手たちが務めており、3月のミャンマー遠征からは久保建英も選出されている。
 
 今回のコパ・アメリカでは20歳の安部裕葵が飛び級で招集され、ポジション争いに参戦。すでにA代表の中軸を担う堂安律も、シャドーの担い手である。
 
 そんな充実したポジションに今回、24歳の中島翔哉まで招集されたのだ。果たして、ここに"オーバーエイジ"の選手を呼ぶ必要はあったのだろうか。
 
 もちろん、今回のオーバーエイジに関しては、所属クラブが参加を許してくれた選手だけを集めたのかもしれないが、その一方で、選ばれた5人――FW岡崎慎司、MF中島翔哉、MF柴崎岳、DF植田直通、GK川島永嗣――が各ポジションに散らばっていることを踏まえると、それぞれのポジションの選手に年長者から何かを学んでほしい、あるいは、来年の東京五輪で自身のポジションにオーバーエイジが加わる可能性を感じ取り、より競争意識を高めてほしい――そんな狙いもあるのかもしれない。

 オン・ザ・ボールにおける仕掛けやゴールを狙う意欲が突出する中島とともにトレーニングを積むことは、とりわけ同じ右利きで、左シャドーのポジションを争う伊藤や安部にとって、大きな刺激や学びを得られることになるのは確かだろう。
 
 一方、先のキリンチャレンジカップで初めてA代表に3−4−2−1が導入された今、中島にとっても、このブラジル合宿はシャドーの“いろは”を学ぶ格好の場となるのは間違いない。
 
 というのも、先発したキリンチャレンジカップ第1戦のトリニダード・トバゴ戦では、サイドに開いたり、中盤に下がってきたりと、シャドーのポジショニングのツボを抑えられていないように見えたからだ。
 
「(シャドーが)引いちゃダメなんですよね。僕も『引くな、引くな』って言ったんですけど、彼(南野拓実)も(ボールに)触ってリズムを作りたいと思うし。1戦目に関しても、翔哉がすごく引いていたけど、もうちょっと我慢して、本当に崩すっていうとき、あそこ(前線)に人数を掛けたほうがいいと思うので」
 
 2戦目のエルサルバドル戦後にそう語ったのは、左ウイングバックに入った原口元気だ。浦和レッズ時代に、森保式の原型であるミシャ式、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督のもとで左シャドーを務めた原口は、その役割を十分理解していた。
 
 シャドーの立ち位置で重要なのは、相手SBとCBの中間ポジションに立つこと。SBが見るべきか、CBが見るべきか。そんな状況を作って相手を困らせ、自身の隣のレーンにいるウイングバックとセンターフォワードをプレーしやすくさせる。それが引いてはゴール前でのワンタッチのパス交換による崩しを可能にさせる――。
 
 チームメイトにメリットをもたらすようなポジションを取れれば、ウイングバックやセンターフォワードと連動した攻撃を生み出せるはずなのだ。
 
 おそらく、現在のチームで、そうしたことを最も理解しているのが、三好だろう。もともと中間ポジションでプレーすることを得意とするうえに、U−22日本代表で主軸を担い、昨季はミシャの元でプレーしたのだ。戦術理解度やタスクの把握において、一日の長があるのは明白だ。

 逆に、中島と同じように、足下でボールを受けてドリブルで仕掛けることを武器とする伊藤は、U−22日本代表(当時U−21)に初招集された昨年3月のパラグアイ遠征でシャドーを任され、「もともと中でボールを貰うプレーが課題なんですけど、動き方や立ち位置はもっと理解を深めないといけないと思っています」と、戸惑っていた。
 
 今回のコパ・アメリカでは、中島がチームにもたらす化学反応が期待されるが、実は中島がこのブラジル合宿で学ぶことも多いのではないか。
 
 中島がシャドーを自分のモノにできれば、9月からスタートするカタール・ワールドカップのアジア予選でこれほど心強いことはない。
 
取材・文●飯尾篤史(スポーツライター)