熊谷商vs和歌山東vs鶴岡東

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鶴岡東が東北大会ベスト4の力を示し熊谷商も納得の内容、和歌山東は課題残す注目を集める和歌山東・落合秀市君

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 地元熊谷商の新井茂監督が中心となって声をかけて、立正大出身の指導者たちが、母校の立正大グラウンドに集まって交流を深めつつ夏を目指してお互いの今の力を試し合う。通称「立正大学リーグ」と呼ばれている交流試合。

 新井監督と大学は入れ違いの先輩にあたるという米原寿秀監督の和歌山東と、さらに米原監督が入学した時に4年生だった佐藤俊監督が率いるのが山形県の鶴岡東だ。いずれもプロ球団も注目しているような好選手を擁している近畿と東北の有力校である。ことに、和歌山東の落合 秀市君を目当てに、この日は日本ハム、読売巨人、埼玉西武など数球団のプロ野球のスカウトが15人以上も集まっていた。

 西武ライオンズ前監督の渡辺久信GMの姿もあった。それだけ注目の逸材とも言えるのだが、実は鶴岡東の影山 雄貴君、熊谷商の関口 航太君も指名リストの俎上に乗ってもいい好投手である。

 今の時期は梅雨時でもあり、前日は1日雨が降り続いて、一時はかなり強く降った時もあった。それだけにグラウンド状態も心配されたが、立正大学関係者の尽力もあって予定よりも早く8時30分には試合を始められる状態になった。

 多くのスカウト等が見守る中で、和歌山東の落合君の投球が始まったが、重そうなストレートがズドーンと投じられているが、「制球にはかなりばらつきがある。あまり調子はよくなさそうだけれども、そういう中でどういう投球が出来るのか」という声も聞かれた。そんな落合君に対して鶴岡東がいきなり襲いかかった。

 先頭の河野君が中前打で出ると、竹花君は粘って四球。山下君のバントが安打となり無死満塁。そして4番大井君の一打は少し泳ぎ気味だったが、左翼柵越えの満塁本塁打となった。いきなりの4点が入った。さらに続く丸山君も右中間二塁打と鶴岡東は攻撃の手を緩めなかった。

 その後、やっと落合君はバントを含めて3人を抑えたが鶴岡東は2回にも失策絡みで大井君のタイムリー内野安打で追加点。さらに4回にも二死二塁から3番山下君が中前打で追加点。こうして、鶴岡東がさすがに東北地区大会ベスト4という力を示す形となった。投げては、東北大会では背番号11だったという影山君が左腕から切れ味のいい投球で4イニング7奪三振で1失点のみ。

 さらに2人目の相川君も5回から登板して6、7回は3人ずつで抑えるなどで8回、岡野君の二塁打と3番佐々木君の安打などで1点を許したところで降板。3人目として、東北大会では1番を背負っていた池田君が、四死球を与えつつも、要所は抑えた。

熊谷商・関口航太君

 それでも、落合君も7回を投げて、失点こそしたものの随所に「おおっ!」と見ている者を驚かせるような球も投じていた。ただ、全体的には力みもあってかバラつきがあったことは否めなかった。また、和歌山東としては、バッテリーエラーも含めて守りのミスが多かったのも反省材料だろう。

 1週間前から、夏を目指しての強化期間として校内合宿を続けていた熊谷商は、その最終試合としてこの日の試合が組まれていた。「選手達も、疲労はピークになっているとは思いますが、そう言った中でよくやったと思います」と、新井監督は選手たちの頑張りを評価していた。

 ことに、和歌山東線で完投したエースの関口君に関しては、「スピードだけではなく、緩急を上手に使い分けていくという投球が出来ていたと思います。ただ、守りで(併殺や邪飛などで)取れるべきアウトをしっかりと取り切れていないなど、記録に現れていないエラーなどもあって、それが却って自分で抑えなくてはいけないという投球になっていったところはあったようだ」とも見ていた。

 それが、3回の岡野君に本塁打を浴びた後、押し出しに結びついた4四死球などにも表れていたのかもしれない。それでも尻上がりの投球ぶりで、4回以降は回を追うごとに内容がよくなっていっていた。

 夏の戦いを見据えれば、関口君の負担を出来るだけ軽くしていきたいという熊谷商、もう一人の投手を作っていくことも大事なテーマとなるが、その一番手としての左腕三浦君も、鶴岡東に対して4イニングで2失点はしたものの期待には応える内容だった。スピードがあるわけではないので、上手にかわしていくタイプだが、スイングの強い鶴岡東打線に対して、4イニング2失点で何とか切り抜けた。

 あとは外野手の松君から左腕山中君、島崎君、そして最後はワンポイントと的に星名恒君が投げた。また、守りでは2年生ながら三塁手の岡村君のふとワークのよさと肩の強さが印象的だった。リードオフマンとしてはこの日はもう一つだったが、それでも和歌山東との試合では四球で出て同点となるホームを踏んでいるし、左越二塁打も放っていた。

 鶴岡東は、東北大会ベスト4らしい戦いぶりを示したとも言えよう。佐藤俊監督は、「内容的にはまだまだ、詰めていかないといけないところもある」と厳しかったが、3年ぶりの甲子園出場へ向けて感触は悪くないといった手ごたえのようだった。

 鶴岡東のユニフォームは立正大のそれに似たタテジマだが、ラインはグリーンで入っていて、地色は陽に当たると薄いピンク色のように見える。シルバーグレーという色だということだが、独特の色で、それはそれで見る者の目を奪う。

 こうして梅雨の合間を縫って好天気に恵まれた日曜日、東都大学連盟一部校の立正大学熊谷キャンパスにある野球部グラウンドで行われた。多くのスカウトなども訪れたので、しっかりとしたスタンドのある休場だったことは幸いしたともいえる。きちんと整備された立正大グラウンドは、マネージャなども運営に協力していた。また、坂田精二郎監督や立正大関係者なども多く訪れていた。

(取材・写真=手束 仁)