ナメられているのか。それとも、別の狙いがあるのだろうか。

 コパ・アメリカのグループステージ初戦で日本と対戦するチリ代表のレイナルド・ルエダ監督が、6月12日にスタメンを発表したのだ。それも、試合の5日前に。


チリ戦に向けて現地で最終調整を行なう久保建英

 もっとも、南米のサッカー事情に詳しい同業者によれば、5日前はさておき、スタメンを公表すること自体は「南米ではよくあること。とくに大きな意味はない」と言う。

 たしかにジーコも日本代表監督時代、ワールドカップのアジア最終予選の前にスタメンを公(おおやけ)にして、メディアやファンを呆れさせていた。あれも南米の慣習によるもので、まったく悪気はなかったのだろう。

 発表されたチリのメンバーは、以下のとおり。おそらく4−3−3の布陣で臨んでくるだろう。右ひざに故障を抱え、出場が危ぶまれていたFWアレクシス・サンチェス(マンチェスター・ユナイテッド)も、今月11日の練習試合に出場して復調をアピール。日本戦のスタメンに名を連ねた。

【GK】ガブリエル・アリアス(ラシン)
【DF】マウリシオ・イスラ(フェネルバフチェ)、ガリー・メデル(ベシクタシュ)、ギジェルモ・マリパン(アラベス)、ジャン・ボーセジュール(ウニベルシダ・デ・チレ)
【MF】チャルレス・アランギス(レバークーゼン)、エリック・プルガール(ボローニャ)、アルトゥーロ・ビダル(バルセロナ)
【FW】ホセ・ペドロ・フエンサリーダ(ウニベルシダ・カトリカ)、エドゥアルド・バルガス(ティグレス)、アレクシス・サンチェス

 地元開催だった2015年大会でホルヘ・サンパオリ監督のもと、初優勝を遂げたチリ。翌2016年にイレギュラーで開催された100周年記念大会「コパ・アメリカ・センテナリオ」では、フアン・アントニオ・ピッツィ監督に率いられ、連覇を成し遂げた。

 ところが、2018年ロシア・ワールドカップの南米予選では6位に終わる。本大会への出場権を逃し、大きな失意を味わった。

 2018年1月、立て直しを期待してルエダ監督を招聘。とはいえ、FWサンチェス、MFビダル、DFメデル、DFイスラ、DFボーセジュールといった南アフリカ・ワールドカップ出場組は30歳の峠を越えており、チリの十八番だったハイプレス、素早い攻守のトランジション、攻守におけるシステムの可変が困難になっている。

 コロンビア人指揮官はチームに自信を取り戻させることを期待される一方で、世代交代にも迫られており、極めて困難なタスクを担わされているのだ。

 一方、今大会に挑む日本代表は、22歳以下の選手たちを中心にしたメンバー。そこに、FW岡崎慎司(レスター・シティ)、MF中島翔哉(アル・ドゥハイル)、MF柴崎岳(ヘタフェ)、DF植田直通(セルクル・ブルージュ)、GK川島永嗣(ストラスブール)の5人のオーバーエイジを加えた編成だ。

 U−22日本代表の主戦システムは3−4−2−1だから、今大会も森保一監督がもっとも得意とするこのシステムで戦うはずだ。

 A代表に3−4−2−1が初導入された先のキリンチャレンジカップでは、シャドーやウイングバックの立ち位置があいまいで、前線5人のコンビネーションも、攻撃時3−2−5、守備時5−4−1へのスムーズな移行にも課題を残した。

 だが、U−22日本代表は2017年12月のチーム立ち上げ以来、一貫してこのシステムを使い込んできたから、南米勢が相手でも、A代表との違いを見せたいところだ。

「僕に関しては、前から限定していくこと。少しずつハメていきながら、パスコースを限定していく。あとは、外に出させて、そこで圧力をかける。あくまで全員でプレッシャーをかけて、というのを意識しています」

 そう語るのは、センターフォワードでの先発か、スーパーサブでの起用が考えられているストライカーの上田綺世(法政大学)だ。そのうえで、「ハメる場合はこう、ハメない場合はこう、と臨機応変に」と、チームとして前からプレスをかける場合とブロックを敷いて構える場合を、入念に確認しているようだ。

 注目のスタメンは、以下のメンバーが予想される。

【GK】大迫敬介(サンフレッチェ広島)
【DF】植田直通、冨安健洋(シント・トロイデン)、板倉滉(フローニンゲン)
【MF】岩田智輝(大分トリニータ)、柴崎岳、中山雄太(ズウォレ)、杉岡大暉(湘南ベルマーレ)
【FW】久保建英(FC東京)、前田大然(松本山雅FC)、中島翔哉

 試合前日会見で森保監督は、チリ戦に向けてこう意気込みを語った。

「初戦に持てる力のすべてを出せるようにしっかりと準備し、チャレンジ精神を持って勇敢に粘り強く戦って勝利を目指し、最低でも勝ち点1を取れるように戦いたい」

 チリ戦の前日には、同じく招待出場でアジア王者のカタールがパラグアイと2−2のドローゲームを演じた。日本も果敢にプレスを仕掛け、素早く攻守を入れ替え、システムをスムーズに変化させるチリのお株を奪うようなスタイルで、南米のサッカーファンを驚かせたい。