大会連覇中のチリだが、3年前のセンテナリオかで見せた力強いチームの面影は……。 (C) Getty Images

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 現地時間6月14日に開幕を迎えた通算46回目のコパ・アメリカは、ホスト国のブラジルがボリビアに3-0で快勝して華々しくスタートした。

 この南米王者を決める戦いに20年ぶりに招待国として参加するのが日本だ。レアル・マドリー移籍が決まった久保建英や成長著しい冨安健洋など、東京五輪世代の若手中心のメンバーが、異国の地でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、注目が集まっている。

 森保ジャパンがグループステージで相まみえるのが、南米でも指折りの名手たちを揃えるチリ、ウルグアイ、エクアドルだ。そのライバルたちのチーム状況を、現地記者に訊いた。まず、初戦で対戦する王者チリから紹介する。

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 2015年大会とセンテナリオ(100周年記念大会)を連覇したチャンピオンとして、その王座を防衛することが目標となる。しかし、現在チームは多くの問題を抱えており、ポジティブな展望は描きにくい。

 アルトゥーロ・ビダルとチャルレス・アランギスを除く主力選手が軒並みクラブで不振に陥り、なかにはレイナルド・ルエダ監督が英断を下してメンバーから外れた者もいるほどだ。中盤の頭脳、マルセロ・ディアスが最たる例で、GKクラウディオ・ブラーボに至っては、連覇の立役者でありながらそもそも指揮官の構想に入っていない。

 そうしたなかで一番の気がかりは、アレクシス・サンチェスの状態だ。所属のマンチェスター・ユナイテッドで、キャリアワーストと言える不甲斐ないシーズンを過ごし、しかも故障を抱えている。

 かといって、前線で敵に脅威を与えられるタレントは他に見当たらず、このエースに頼るほかない。ルエダ監督が就任以来、一貫して招集を見送ってきたエドゥアルド・バルガスを呼び戻したのも、前線のパンチ不足を少しでも解消したいと考えたからだろう。

 このところは親善試合の結果・内容も芳しくない。連覇した当時とは比較にならないほどチーム力が落ちており、ルエダ監督にとっては困難なチャレンジとなる。

文●ダニーロ・ディアス text by Danilo DIAZ
訳●チヅル・デ・ガルシア translation by Chizuru de GARCIA

※『ワールドサッカーダイジェスト6月20日号』より転載