アルコールの分解にかかる時間はどれくらい?計算方法もご紹介

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ついつい飲み過ぎて二日酔い。つら過ぎて反省するのもお酒の醍醐味。ですが問題は、お酒を飲んだ翌日に、運転しなければいけないとき。自分ではすっかりお酒が抜けたつもりでも、体の中にはまだアルコールが残っているということも…

危険や罰金を避けるためにも、一度しっかり調べて、アルコールの分解にかかる時間を知っておきましょう


アルコールの分解時間、どうやって計算する?

そもそも「アルコールの分解」とはどういうことでしょう? 口から入ったアルコールは、胃や小腸で吸収され、血液に溶け込み、肝臓に送られます。

アルコールは肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。アセトアルデヒドは有害な物質で、飲酒時の吐き気や頭痛などの原因にもなります。二日酔いになるのもこの物質のせい。翌朝までこのアセトアルデヒドが分解されずに残っていると、二日酔いの不快な症状が出てくるというわけです。

肝臓はさらにせっせと働き、アセトアルデヒドを無害な酢酸へ変化させようと頑張るのですが、体に入ったアルコールの一部は、処理されないままになることも。それらは尿や汗、呼気となって、体の外に排出されます。お酒を飲んだ人がお酒臭いというのは、このような状態の時なんですね。

この一連の分解工程に何時間かかるかというのが「アルコールの分解速度」です。これはお酒の種類や、自分の体重などの要因によって違いがありますが、一般的に、体重60~70kgの人が1時間に分解できるアルコールの量は約5〜7g。500mlのビール(アルコール度数5%)1缶分と言われています。

アルコールの分解にかかる時間=身体からアルコールが抜けるのにかかる時間になるわけですが、これは自分の体重から簡単に計算することができます。

体重(kg)× 0.1 = 1時間に分解できるアルコール量(g)

体重が50kgの人なら、1時間に分解できるアルコールの量は5g前後ということになります。次に、飲んだお酒の度数から、純アルコールの量を算出します。

お酒の量(ml) × アルコール度数/100 ×0.8(アルコールの比重)= 純アルコール量(g)

例えば、アルコール度数15%の日本酒を1合(180ml)飲んだとすると、純アルコールの量は21.6gとなります。最後に、飲んだアルコール量から、抜ける時間を計算すると…

純アルコール量 ÷ 1時間に分解できる量=飲んだアルコールの消化時間

上の体重50kgの人の例を当てはめると、アルコール15%の日本酒を1合(180ml)飲んだ場合、純アルコール量は21.6gとなり、アルコールを分解するのには約4時間半必要ということがわかります。


アルコールの分解時間の目安を、種類別に知りたい

ではその他のお酒はどうでしょう。アルコール度数が違えば、分解速度も変わってくるのは想像できますね。

それぞれのお酒のアルコール度数は、そのお酒の平均的な度数を入れてあリます。また「アルコールを1時間に分解できる量」は、体重約50kgの、お酒に強くも弱くもない人として計算した、5gで計算しています。

・日本酒:1合=180ml(アルコール度数15%)

口当たりの良い辛口の冷酒。美味しくてグイグイいってしまう気持ちはわからなくもないのですが、水で割ったりすることがなく、そのまま飲む日本酒。この1合分を分解するのに約4時間半もかかるのだそうです。つまり、2合飲めば9時間後まで、体のどこかにアルコールが漂っているということに。これは気をつけないといけませんね。

・焼酎:30ml(アルコール度数25%)

30mlというのは、コップ一杯の焼酎水割りに含まれる焼酎の量。この量のアルコールを分解するには約1時間強が必要です。日本酒と比べると、飲む速さに比べて、摂取アルコールは少ないと言えますが、それも5倍程度の量の水で割って飲むから。オンザロックなどで飲むときは、ちびちびと舐めるように、ゆっくり飲むことを心がけましょう。

・赤ワイン:120ml(アルコール度数14%)

レストランなどでグラスワインとして出てくるものの1杯分が約120ml。赤ワインと白ワインを比べると、白のほうが度数低めのものが多いのですが、それでも共に1杯のワインに含まれるアルコールを分解するには2時間半かかります。

・ウイスキー:30ml(アルコール度数40%〜)

ウイスキーのシングルは1オンス=30ml。店によって多少の違いはあれど、水割りでもロックでも、基本はこの量です。分解するまでの時間は約2時間。ダブル(2オンス=60ml)1杯で4時間はかかってしまいます。


アルコールの分解を促す飲み物ってある?

レモン、グレープフルーツ、キウイ、アセロラのジュースなど、肝臓のアルコール分解機能を助けるビタミンCを摂取すると、アルコールを多少は早めに分解してくれるようです。

お酒の中でということなら、焼酎をレモン果汁と炭酸水で割ったレモンサワーなどは、ビタミンCがたっぷりで理想的です。

レモンサワーのレシピもお店によってだいぶ違いますが、日本蒸留酒酒造組合の黄金比率で作ると、焼酎60cc、強炭酸水150cc、レモンが2個だそうです。この割合で作ったレモンサワーを体重50kgの人が飲んだ場合、計算すると、

60ml x 0.25 x 0.8=12 (純アルコール量)

12÷5=2.4時間

肝機能は人それぞれ、またお酒を飲んだ日の体調にもよるので断言はできませんが、1杯のレモンサワーの分解に、約2時間半かかることになります。ただこのレシピの場合、レモン果汁が2個分入ってビタミンCが豊富なので、アルコールの分解にかかる時間はもう少し早まるかもしれませんね。

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そして、もう一つ注目したいのはハチミツ。肝臓の働きを助ける効果があるので、ハチミツと、これまたビタミンCの豊富なゆずのドリンクなども、アルコールとアルコールの合間に飲んだり、また焼酎などを割ったりするのにベストと言えるでしょう。

まとめ

アルコールの分解にかかる時間はアルコールの度数が高いほど長くなることがわかりました。ちなみにどこでも簡単に手に入る、アルコール分解のための最良の薬は、水です。チェイサーとして、お酒を1口飲んだら次は水を飲むなど、立て続けに大量のお酒を飲まないようにすることがいちばん大切です。


まとめ/伊波裕子

参考:DRINK SMART お酒との正しい付き合い方を考えよう(サントリー)https://www.suntory.co.jp/arp/alcohol/