特殊詐欺対策に乗じ京都府警の現職警察官が高齢者から現金をだまし取った疑いが浮上した。

 高齢者を中心に特殊詐欺被害が後を絶たず、全国の警察組織を挙げて被害防止に向けた取り組みを続ける中、その信頼を失墜させかねない重大な不祥事といえる。

 警察庁によると、「オレオレ詐欺」をはじめとする特殊詐欺の平成30年の認知件数は、未遂を含め1万6496件。前年を1716件(9・4%)下回り、22年以来8年ぶりに減少に転じた。被害額も前年比30億8千万円(7・8%)減の363億9千万円と、4年連続で減少。しかし、認知件数、被害額ともに高水準で推移しており、警察庁は「依然として深刻な情勢」としている。

 最大の課題は、被害者の78・1%を占める65歳以上の高齢者に対する対策だ。

 全国の警察では、だまされたふり作戦や現金などを被害者宅に受け取りに来る「出し子」の逮捕など、犯行グループの壊滅に向けた検挙対策を進める一方、関係機関との連携による被害防止対策を進めている。

 中でも効果的なのは、金融機関による高齢者に対する声掛けや、多額の現金を下ろした場合の警察に対する通報といった活動で、声掛けによる被害阻止率は約5割とされている。

 しかし、巡査長はこの連携を逆手に取り、被害者宅に多額の現金があることを把握したとみられる。

 「警察官が現金などを受け取りに行くことはない」と、全国の警察が注意を呼び掛けている中で浮上した今回の疑惑。捜査上知り得た事実を犯罪行為に利用し、なおかつ、警察官であるという立場を悪用して現金をだまし取った可能性が高い。事実なら警察官全体に対する信頼を失墜させる事態で、こうした犯罪を防ぐことができなかった京都府警の管理態勢も強い批判を浴びそうだ。