日本共産党の志位和夫委員長は13日、インターネット動画サイト「ニコニコ生放送」に出演しました。インタビューしたジャーナリストの鈴木哲夫さんの質問に対し、志位氏は、参院選のたたかいや、安倍政権に代わる「新しい政治」の姿、「天皇の制度と日本共産党の立場」、「くらしに希望を―三つの提案」などについて語りました。

野党共闘から4年――いまの政治を変えるために「トコトンやる」

 志位氏は、全国32の1人区すべてで野党統一候補の擁立で合意に至り、「共通政策」も「グレードアップ」し、消費税、憲法、原発、沖縄など国政の根幹問題で共通の旗が立ったと強調。2015年に「戦争法廃止の国民連合政府」を提唱してからの4年間を振り返り、決意をあらためて表明しました。

 鈴木 4年間、ずっと腹を決めてやってきましたね。

 志位 ええ。第1ラウンドは16年の参院選でした。このときは一本化で最後はまとめて、11(選挙区)で勝ったんです。第一歩を踏み出しました。それで17年の総選挙ですが、ここは難しい問題が起こってしまって、例の(当時の民進党の希望の党への)合流問題が起こって、野党共闘にとってはなかなか厳しくなりました。ただ、こういう難しいもとでも野党共闘をあきらめるわけにいかない、共闘の意思のあるみなさんとは(共闘を)やろうじゃないかと呼びかけたところ、立憲民主党がつくられ、共産、立民、社民で共闘をやって、次につなげる結果をつくった。なかなか難しいながらも、17年の総選挙は大事な意味があって、あのときああいう対応をやってなかったら、今の国会はもっと大変だったと思います。

 いろいろ複雑な中でもやってきて、今度の選挙で3度目なんです。過去のどの選挙よりもいい結果を出したいと思っています。もう私は、この道しかないと、この4年間やってみて思います。やっぱり安倍政治を倒さなければならない、いまの政治変えなければならない、そのために野党が一つにまとまらなかったらできないじゃないですか。いろいろと紆余(うよ)曲折あったけどこれしかない。私は、トコトンやると言っています。

 そして共闘を成功させながら共産党も伸びなければならない。両立させるということでいまたたかっています。

議論から逃げる安倍政権の行き詰まり――野党は「本気の共闘」で日本を変える覚悟を

 第198回通常国会が26日に会期末を迎えるなか、鈴木氏は今通常国会の特徴について聞きました。

 鈴木 まだ終わっていませんがこの通常国会はどういう国会なんですか。

 志位 一言でいうと、どの問題でも安倍政権がいよいよ行き詰まってきたと(思います)。経済でいえば、消費税10%増税をやるというけれど景気が悪い。とてもできるような状態じゃないですよ。原発輸出が行き詰まった。沖縄は県民の(新基地反対の)審判で行き詰まっている。憲法だって(9条改憲を狙う安倍政権の)思うように進まない。全部行き詰まっています。

 行き詰まっている中で“まともな議論やったらまずいな”と、こんなに議論というものから逃げ回っている国会というのは初めてだと思います。衆院では(予算委員会を)3カ月やっていない。ともかく国民のみなさんに見えるテレビの論戦はやらない。こんなひどい状態というのはないですよ。年金の問題あり、日米貿易交渉の問題あり、いろんな問題が山積みじゃないですか。たださなければならないこともたくさんあるのに、全部逃げ回っているわけです。これだけ議論というものに対して不誠実な態度をとっている政権というのはかつてない。これはもう参院選で審判を下すしかない。

 鈴木 僕もそう思う。だけど内閣支持率はそこそこ(一定の支持率が)出る。

 志位 そこは野党いかんです。やっぱり野党がどれだけ本気の共闘をやって、本気で日本の政治を変えるか、この覚悟が見えるかどうか。

 鈴木 そうなんですよ。そこを僕は言いたいんです。

 志位 これからの1カ月間で、そういうたたかいがやれるかどうか。共闘を真剣にやる。もちろん共産党を伸ばす必要があります。野党が自民党に代わってこの国の政治を担うんだという迫力が出るようなたたかい方をやらないといけません。そこにかかっていると思います。つまり、自民党政治にはいろいろと不満がある、安倍政権に対しては不信の塊だと。しかし他に代わるものが見えないというだけのことなんです。他に代わるものが力強く見えてきたら、ガラッと変わる。僕はいつもそう言っているんです。

野党で合意した「共通政策」――政権をつくれるくらいの政策合意

 安倍政権を倒した後にどんな政治をつくるか―。志位氏は野党が本気で共闘し、新しい政治の姿を示す必要性を力説しました。

 志位 野党が13項目の「共通政策」を市民連合の皆さんと合意しました。国政の根本問題でも共通の旗が立っています。安保法制の廃止から始まって、憲法9条改定の発議をさせない。10月からの消費税10%は反対。辺野古新基地は中止して普天間は返せと。日米地位協定の改定も入っています。原発再稼働はいまの条件ではできない、原発ゼロ、これも入っている。暮らしの切実な問題も入っています。

 これだけの内容があるわけだから、本気になってやれば政権だってつくれますよ。参院選で勝って、総選挙に追い込む。総選挙にも勝って、衆参で多数をとって、政権だってつくろうと思えばつくれるくらいの政策合意のところまで来ているんです。そこを、野党が本気になって取り組むということです。本気になって倒して、倒した後にこういう政治をやりますよということが国民のみなさんに伝わるかどうかなんです。

 鈴木 志位さん、熱いですね。理論家で街頭演説なんかでも、もっと論理的じゃないですか。今日、熱いじゃないですか。(笑い)

 志位 聞き手が熱いんじゃないですか。(笑い)

モラルハザードの根源に憲法解釈の改ざん――安保法制廃止、立憲主義の回復を

 統計不正や、公文書改ざんなどが相次いでいる問題に話が進み、志位氏は、安倍政権のモラルハザード(倫理喪失)の根源について指摘しました。

 鈴木 三権分立の基本的なところが壊れてきている感じがする。怖くないですか。

 志位 本当に危ないですね。

 去年の通常国会のときに、行政に対する立法府のチェック機能が弱くなっているという提起が議長の側からあったんです。今年それを踏まえてよくなったかというと、ますます悪くなっている。予算委員会そのものを開かない。一番チェックする場所が予算委員会なのに。審議拒否を与党がやっているわけで、これは始末に負えないわけです。たとえば今度の年金のような事態が起こったら、行政をチェックするというのは与野党超えて、立法府としてやらないといけないはずです。大事な問題が起きれば起きるほど、審議をすべて与党の側がつぶしにかかっている。国会をガラガラポンにして変えないといけない、選挙で勝つしかありません。

 それで、ここまでモラルハザードになったきっかけは安保法制だと思います。なんといっても、「集団的自衛権は行使できません」という憲法解釈を一夜にして変えたんですから。つまり、憲法解釈という国の根幹の問題で、最悪の改ざんをやった。そのことが、他の改ざんなんて怖くもなんともないと、あちこちで改ざんをやる。森友・加計問題がそれに拍車をかける。総理のお友達だったら忖度(そんたく)していろんなものを書き換える。平気で文書を書き換える。

 ここまでモラルハザードを起こしちゃったのが安保法制で、ここは、安保法制を廃止する。(集団的自衛権行使容認の)「閣議決定」も撤回する。立憲主義を回復することが野党共闘の一丁目一番地です。

 鈴木氏は、天皇の制度をめぐる日本共産党の立場についても質問。志位氏は、天皇が「国政に関する権能を有しない」とした現行憲法を守ることが大事だと強調。現行憲法のもとでは国民が主権者であり、「主客転倒」するような過度な天皇とその制度に対する礼賛、祝意の押しつけは許されないと指摘。安倍晋三首相が自らの野望のために“令和の時代に新しい憲法を”と最悪の政治利用を行っていると批判しました。

政府の政策をのみ込んだ「三つの提案」――財源は「消費税に頼らない別の道」で

 参院選で訴える柱について聞かれた志位氏は、消費税10%増税の中止、「くらしに希望を―三つの提案」、大企業・富裕層の不公平税制の是正などによる財源7・5兆円の確保について、安倍政権の消費税増税前提の政策と対比しながら語りました。

 鈴木 自民党とか公明党も公約をかなり練ってくるのではないか。

 志位 実は、まともな部分は、全部取り込んだんです。

 安倍政権が消費税を10%にする、それを“全額返す”と言っている。全額返すと言っているうち、たとえば幼児教育とか保育の無償化、これ自体はやる必要があるわけです。学費の一部だけれど減免をやる、低年金についても底上げと言えないものだけれどちょっと手をつけますというのはあるんです。

 要するに、消費税10%の「見返り」で政府が打ち出している、2・6兆円の規模の暮らしの支援になるものがあるんです。それを全部、(共産党提案の)7・5兆円プランの中に取り込んでいるんです。

 鈴木 のみ込んじゃったと。(笑い)

 志位 のみ込んだ上で、(政府施策の2・6兆円の)3倍にしているんですよ。しかも消費税に頼らない。10%なんてやらない。

 鈴木 共産党の公約のイメージというのは、今の政府のものは全てNOだと。今回、のみ込んじゃっている。(笑い)

 志位 ただ、のみ込んだということで大事なのは、全部、消費税に頼らないでやるということです。安倍政権がやるといっている2・6兆円は、すべて消費税増税とセットですから、暮らしの応援にも何にもならない。

 鈴木 (10月に10%への増税は)やると思いませんか。僕が取材している限りではやりそうな気がする。

 志位 私たちとしては、参院選で敗北に追い込んで止める。参院選の後だって間に合いますよ。選挙で国民の審判を与える機会があります。

 鈴木氏は、参院選の複数区でのたたかい、とりわけ、日本共産党の現職、吉良よし子(東京=改選数6)、倉林明子(京都=同2)、辰巳孝太郎(大阪=同4)各氏のたたかいについて質問。志位氏は「選挙区で勝つ上でも、比例でがーんと共産党を伸ばして、そのうえに、吉良さん、辰巳さん、倉林さんの魅力を乗せる。比例で伸ばすことが重要です」と強調。同時に、「いま全国的には野党共闘をやっている中で複数区をたたかうわけです。落とす相手は自民、公明と補完勢力。ここが大事なところです。自民、公明、補完勢力を落とすと。そのためには共産党が勝つしかない」と述べました。

安倍首相には憲法を変える資格はないし、語る資格もない――野党一致してたたかう

 ユーザー(利用者)からは、安倍首相が2020年の「新憲法施行」を狙うなか、どう対決していくのかとの質問が寄せられ、志位氏は次のように答えました。

 志位 彼がやりたいのは唯一これです。

 9条に自衛隊を書き込むだけだから変わりませんというんだけれど、そうはいかないんですよ。それが一番よくわかるのは、自民党がまとめた9条改憲の条文案です。これをみると、9条1項の戦争放棄と2項の戦力の禁止をそのままにして、新しい項目で、「前条の規定は…自衛の措置をとることを妨げない」として自衛隊の保持を書いているんです。「前条の規定」は「妨げない」、つまり前条というのは2項で、2項が自衛隊を制約しませんよということなんです。つまり、2項を残しても立ち枯れになっちゃう。死文化する。海外での武力の行使が、自由勝手になります。まさにそこが狙い目で、絶対に許しちゃいけないと強く言いたいですね。

 鈴木 安倍さんは本気でやろうとしているんでしょうか。

 志位 彼は、それが唯一といっていい目標だと思うんですよ。やりたいのは本当はそれだけ。経済(政策)は要するにその手段ですよね。

 鈴木 要するに国民の支持を含めてムードを盛り上げるための手段にそういうものがあって。

 志位 何でも手段に使う。元号を変えたのだって使う。「令和の時代にふさわしい新しい憲法を」という。改元と憲法改定は関係ないじゃないですか。天皇の制度の政治利用です。何だって利用できるものは利用する。ともかく改憲をやりたい。

 だいたい安倍首相が、憲法を変える資格があるのかという問題です。平気で安保法制は通す。秘密法は通す、共謀罪は通す。みんな違憲立法です。これだけ憲法をないがしろにした政権はない。そもそも憲法を変える資格はないし、語る資格もないというところで、いま野党は一致して、安倍政権のもとで9条改憲には反対だと、発議もさせないということを共通政策で確認しています。

 鈴木 厳しい言い方かもしれないけれど、せめて議論を国会ですればいいじゃないか。憲法審査会、これすら入れない。

 志位 憲法審査会というのは一般的な議論の場じゃないんですよ。一般的な(憲法の)議論は私たちは大いにしている。予算委員会でだってしている、党首討論でだってしている。しかし憲法審査会は、憲法改定の発議をする機関です。いったん議論にのっちゃったら、あとは多数決で発議となる。だから一般の委員会とは違うんです。

年金問題――まずは「マクロ経済スライド」の廃止、低年金の底上げを

 年金だけでは老後の生活資金がまかなえないとして2000万円の貯金が必要とした金融庁の報告書について、鈴木氏は「若者に限らず、貯蓄できていない国民が少なくない」(東京都・女性)との声を紹介。志位氏は次のように答えました。

 志位 金融庁の報告書というのは、ある意味では真相を書いたわけです。試算は厚生労働省がやったものです。年金暮らしのご夫婦で収入と支出の差額が5万5千円生じるとあります。これは事実の問題なんです。いくら「報告書を受け取らない」といったって、事実は変わらないわけです。事実が明らかになったんだったら、それを踏まえて年金制度どうやってよくするか。

 鈴木 議論すればいいのに。

 志位 必要なのに、まるで土の中に穴を掘って埋めちゃうみたいな形で、報告書を亡き者にしちゃおうと。「焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)」みたいなものです。本当に野蛮なやり方、真実を隠ぺいしようというやり方で、選挙をやりすごすなど許されるものじゃない。ですから今度の党首討論では、この問題をきちんとたださねばならないですね。

 鈴木 厳しい時代に高齢者の社会保障のプランというものもぜひ提言してほしい。

 志位 年金削減の「マクロ経済スライド」を発動すると、今41歳以下の夫婦で1600万円も年金が減額になります。「マクロ経済スライド」という削減の仕組みはやめる。それから、低年金の方には年間6万円を一律で底上げする案を私たちは出しています。

 まずはそれに手をつける必要があるけれど、将来的にはもっと公費をどーんといれて、最低保障年金をつくって、土台部分をしっかりさせて、ぐーんと底上げすることをやらないと持続可能なものになりません。これは数兆というお金がかかるんです。それをどうやってまかなうかの財源論としては、まず大企業や富裕層への不公平税制の是正から始めるけれど、大企業や富裕層だけに財源を求めるというのでは成り立たない。所得税の累進全体を強くするということによって、中堅以上のサラリーマンの方も含めて負担をお願いしていくということが、最低保障年金をつくっていく場合にはどうしても必要になるということも具体的に提起し、6兆円くらいの財源をつくるという提案もしています。その場合であっても負担のあり方は、消費税はよくない。消費税は弱い者いじめの税金だから。そうじゃなくて、所得税の累進強化によって負担をお願いするということが私たちのプランの中に入っています。

日本の命運がかかった参院選――野党共闘の勝利、共産党躍進を

 最後に参院選の意義について問われた志位氏は、「日本の命運がかかっています。安倍政権をこれ以上続けていいのか。あらゆるところで行き詰まっているけれど、しかし改憲の野望は捨てていない。この政権をやめさせて新しい政治に切り替えるということができるかどうかの選挙です。どうしても野党共闘勝たせないといけない。共産党を伸ばしてほしい」と訴えました。