「ダメだと分かっているけれど、止められない…」 。既婚者を好きになった29歳女の悲劇
私たちはこれまでに散々、LINEやデートのHow toを学んできた。
しかし、やっとの思いでLINEやデートに漕ぎ着けても、失敗の可能性は常につきまとうのだ。
あんなに盛り上がったはずなのに、突然の既読スルーに予期せぬ別れ。 恋人同士になれたかと思ったのに、いつまでたっても一進一退を繰り返す関係性。そんな経験、無いだろうか?
男女の関係を次に繋げる方法を学ぶため、あなたに宿題を出していこう。
許されないことだとは分かっていた。
でも、私はどうしても和樹への思いを止めることができず、そして結果として、奥さんがいるとわかっていながらも、彼のことを必死に追いかけるようになってしまっていたのだ。
「今奥さんとは別居状態で、夫婦関係は破綻している。だから、信じてほしい。僕が好きなのは、あゆみだけだから」
私は、和樹のその言葉を信じていた。
実際に彼とは週に3回くらいは会っており、仕事で朝が早い和樹は、早朝には家を出て行くけれど、私の家へ泊まることもよくあった。
それに、土日でも平日の昼間でも頻繁にLINEをくれて、夜は電話もする。
だから私は、彼と奥さんは仲が悪いという話や、“子供が小学校に上がるまで待ってほしい”という言葉を鵜呑みにして、そしていつかは離婚すると信じ、結果として2年もダラダラと待ち続けていた。
しかし、友達が見つけてきた彼の奥さんのInstagramで、残酷な真実を知ることになる。
和樹本人は”SNSはしない“と言っていたが、奥さんは随分SNSに熱心なようで、頻繁な投稿を行っている。そしてそこには、6歳になる長男の入学式で、彼と長男、そして奥さんの三人で幸せそうに写っている家族写真がアップされていたのだ。
-別居状態でいずれ離婚するって、嘘だったの・・・?
目の前が、真っ暗になる。
私は、このまま待っていても良いのだろうか?それとも、彼は最初から離婚する気なんてなかったのだろうか・・・?
既婚者の“離婚する”はどこまで信じて良いものなのか?
宿題1:平日夜中、週末にも連絡する=別居状態なのか?
和樹と知り合ったのは、食事会だった。
後から考えると、“どうして既婚者が食事会にいたんだ”と言ってやりたいところだが、幹事として参加していた和樹は、イケメンで爽やかで物腰が柔らかく、なんだか心惹かれてしまったのだ。
元大手総合商社勤務で、現在は経営者の35歳。
左手の薬指に、指輪はなかった。
「俺、あゆみちゃんのことすっごいタイプなんだけど・・・よければ、今度二人で食事でも行かない?」
そう誘われ、私は舞い上がった。
“可愛い”と連呼してくれるし、どんなわがままを言っても“いいよ”と許してくれ、他の男性と違って余裕がある。その余裕がまた魅力的で、どんどん好きになっていった。
私は27歳で、ちょうど結婚願望が高まっていた矢先の出会いだった。
しかし3回目のデートで、私は信じられない事実を知ってしまった。
実は和樹は、既婚者だったのである。
「え?う、嘘でしょ・・・?」
あまりのショックで、言葉を失ってしまう。
既婚者は御免だし、奥さんに申し訳ない。昔から“不倫”に対して嫌悪感を抱いていたタイプの私は、すぐにでも彼を切り捨てようと思っていた。
しかし、和樹は心底悲しそうな顔をしながら、とても真面目な顔をしてこう言ったのだ。
「隠しててごめん。ただ、あゆみに嫌われたくなくて・・・。でも、もう嫁とは子供が生まれてから男と女ではなくなっているんだ。子供の受験が終わるまで離婚は出来ないんだけど、今はもう半別居状態だし、夫婦関係は完全に破綻しているから」
最初は絶対に、嘘だと思った。
しかし、彼のことを知れば知るほど、あながちそれが嘘ではない気もしてきたのだ。
例えば平日は忙しいはずなのに、絶対に時間を作って会いに来てくれる。平日の昼間だって仕事の合間に電話をくれたり、夜はうちへ来て泊まって行き、早朝に帰っていくこともある。
会えない日は、夜中に電話をくれることもあった。もし仮に奥さんと一緒に住んでいたら、さすがに夜中の電話はできないだろう。
そして本来は家族で過ごさないといけないであろう週末でも、LINEをくれた。
「俺、信じてもらえるように頑張るから。俺はあゆみを愛しているし、もし仮に夫婦仲が良かったら、こんな平日の夜遅くや週末に連絡とかできないじゃん」
「まぁ、言われてみればそうなのかも・・・」
和樹の言う通りかもしれない。半別居状態というのは嘘ではないのだろう。そうでなければ、こんなにも頻繁には会えないだろうし、自由に連絡もできないはずだ。
「嫁と子供は、向こうの実家に帰っていて」
「そうなんだ」
こうして、私は和樹を信じることにしたのだ。
既婚者の言葉はどこまで本当なのか!?
宿題2:既婚者の“夫婦関係は破綻している”の言葉はどこまで本当?
しかし交際期間が1年を過ぎたあたりから、当然だが私は和樹に対して焦りと怒りが溜まり始めた。
“離婚する”と言っていたはずなのに、事態は一向に進展していないように見えたからだ。
「ねぇ、いつ離婚するの?本当に、話は進んでいるの?」
「もちろん。ただ、子供の受験があるから、もう少し待ってほしい。子供に、罪はないから・・・」
そう言われると、何も言えない。こちらには罪の意識がある。子供のことを考えると本当に申し訳ないと思っているのだ。
だから私は、ただ黙って耐えていた。そして、彼の子供の受験が終わるまで待とうと決め、彼を信じていた。
しかし受験は終わり、この4月には小学校に入学したはずなのに、和樹はまだ離婚をしていなかった。
「話が違うじゃない!結局、奥さんと仲良いんでしょ?私だって、いい年齢だし、もう待てない。ひどいよ、和樹」
とある火曜の23時。何も態度で示してくれない彼に私はついにブチ切れ、二人で行きつけのbarで、酔った勢いで詰め寄った。
彼の子供が小学校に入学して、もうすぐ3ヶ月が経つ。そろそろ本格的に、離婚の話が進んでも良いはずだ。
「離婚って、あゆみが考えているような、簡単にできるものじゃないんだよ。結婚の何十倍という体力も使うし、今このまま離婚したら財産分与だって大変だし。あゆみも、結婚したら分かるから」
そう言われると、何も言えなくなる。
だって私は、結婚をしたことがないから。
実際にどれほど離婚が大変なことなのかも分からないし、財産分与のことだって無知である。
私はただ、彼の言葉を信じるしかなかった。“夫婦関係は破綻している”というのがどこまで本当なのか、確かめる方法もないからだ。
「それに、本気じゃなかったら、こんな店にも連日連れてこないし、何よりも俺の友達にも会わせないよ」
和樹は、頻繁に私を、彼の友達との食事や飲みの場に誘ってくれていた。たしかに社会的立場を考えれば、本気でない限り、むやみに友達を紹介しないだろう。
「俺の友達、嫁とも繋がってるし・・・だけどみんな応援してくれてて、“あゆみちゃん良い子だね”って言ってくれるよ?」
◆
けれども奥さんのInstagramで幸せそうな姿を見たときに、彼の夫婦関係は実は破綻なんて一切しておらず、普通に“良い旦那”だったのではないかと思った。
そうでなければ、こんな幸せそうな家族写真は撮れない。
だが実際に、和樹は頻繁に私と会っており、週末も連絡が取れる。彼の友達も公認の仲で、旅行にも一緒に行ったことがある。
本当に仲の良い夫婦だったら、私とここまでのことはできないはずだ。
-実際は、どうなの?本当に、夫婦仲は悪くて、離婚の可能性はあるの?
「もう、これ以上は続けられない」。別れを決意し、私はメールでそう伝えた。
しかしその前に、実際のところはどうだったのか知りたい自分がいる。
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本当はどうだったの?既婚者・和樹の本音とは