小説の映画化だがキューブリックの影響も大きい『ドクター・スリープ』
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 スティーヴン・キングの小説「シャイニング」の続編を基にした映画『ドクター・スリープ』の予告編が、現地時間12日、アメリカ・ロサンゼルス市内で行われたイベント内で初披露され、出席したマイク・フラナガン監督と、プロデューサーのトレヴァー・メイシーが、本作への思いを語った。

 『ドクター・スリープ』は、「シャイニング」において衝撃的な体験をした少年ダニーの40年後を描いており、ユアン・マクレガーが大人になったダニーを演じている。“かがやき”(シャイニング)と呼ばれる能力を持つダニーは、幼い時の悲惨な経験から、その力を使わないようにしてきた。「しかし、今はホスピスの雑用係として働いており、その力を使って、患者が死ぬ瞬間に安らぎを与えるようになる。それで “ドクター・スリープ”というあだ名で呼ばれているんだ」と監督は語る。

 ユアンのキャスティングは、フラナガン監督にとって特に重要だったようだ。「本作は、ダニーがどん底にいる状態から始まるので、ユアンのように人間性を感じさせてくれる人物を起用することが重要だったんだ。僕は直感的にユアンのことが好きになり、信頼ができた。ユアンも『シャイニング』の大ファンだったしね」 

 物語は、ダニーと同じ能力を持つ少女アブラと彼の関係を中心に展開するようだ。アブラ役に抜擢されたのは、カイリー・カランという新人。「カイリーは全く(演技の)経験がなかったけど、自分で撮影したテープを送ってきた。オーディションでは、予告編にも出てくるユアンとの共演シーンをやってもらったんだけど、あまりの素晴らしさにショックを受けたよ。900人の女の子たちを見たけど、ユアンも『誰にするべきかは明らかだね』と言っていた」。

 また、『ミッション・インポッシブル』シリーズのレベッカ・ファーガソンも出演。監督は彼女のことも絶賛し「キングが書いたもっとも素晴らしい悪役にふんしている」と明かした。

 ところで予告編には、「REDRUM」の文字や三輪車をこぐダニー、血があふれるエレベーター、不気味な双子など、スタンリー・キューブリック監督の傑作『シャイニング』(1980)で描写されたイメージが登場し、非常に大きな影響を受けているのは明らかだ。本作は、キングの小説の映画化なのか、それともキューブリックの映画の続編なのか? 監督は「製作が発表されてから、一番よく聞かれたのがその質問だよ。これは小説『シャイニング』の続編を忠実に映画化したもの。だけど、同時にキューブリックが『シャイニング』の映画化で確立したシネマティック・ユニバースに存在している。この調整が実は最も大変で、ワクワクする部分だったんだ」と説明する。

 キューブリックのキングが『シャイニング』に複雑な思いを持っていたのは有名な話だが、キング原作のNetflix映画『ジェラルドのゲーム』(配信)も手掛けている監督は、今回の映像化についてキングに話をしたことろ、励ましをもらったという。「僕のキャリア史上、最も神経がすり減る思いを2度したよ。まず脚本の第1稿をキングに送った時。ものすごく恐ろしかったけど、とても気に入ってもらえた。そしてごく最近、編集中の映画をキングとキューブリックのエステート(相続財産管理団体)に送ったんだけど、それもとてもうまくいったんだ」と満面の笑みを浮かべた。

 キング原作の映画化というと、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)が世界的なヒットを記録したことが記憶に新しい。予告編を見る限り、『ドクター・スリープ』は熱狂的なキングファンもキューブリックファンもかなり期待ができる、話題作となりそうだ。(取材・文:吉川優子)

映画『ドクター・スリープ』は2019年冬、日本公開