都立紅葉川vs都立小松川

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東東京の都立校シード同士のナイター対決、紅葉川が小松川に守り勝ちマウンドに集まる都立小松川の選手達

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 この夏の東西東京大会の組み合わせ抽選はこの週末の土曜日15日に行われる。その3日前の12日に、江戸川区球場が取れたということで、江戸川区平井の都立小松川と臨海町の都立紅葉川が18時過ぎからのナイターで対戦した。地元対決だが、今春の東京都大会ではともに健闘して夏のシード権を獲得している。つまり、夏本番前のシード校同士の対戦ということになったのだ。

 都立小松川はブロック予選で都立四商を下し、本大会では国際基督教大高に大勝し強豪の安田学園、都立八王子北に競り勝って、4回戦では日大三に敗れはしたものの序盤は対等に戦った。都立紅葉川はブロック予選1回戦では昨秋に敗れた攻玉社に28対0とこれでもかというくらいの大勝で雪辱を果たすと、広尾にも打ち勝って進出した本大会では東京都市大等々力にはコールド勝ち。そして、宿敵ともいえる都立城東に田河清司監督も初めて競り勝って歓喜した。さらには、都立府中工にもコールド勝ち。4回戦は昨夏の準優勝校で苦杯を舐めさせられた都立小山台にまたしても敗れたものの、ブロック予選から5連勝でのベスト16進出で大いに自信となった。

 そんな両校の対戦なので、好試合が期待されたが、その期待通りというか、好試合と言っていいだろう。

 前半はロースコアで、都立紅葉川が4回に内野安打の4番藤川君が盗塁して二死二塁となって、6番に入っている主将の鈴木大凱君の中前打で帰して1点を先取。その後も内野安打が続いて満塁となったが、ここは都立小松川の左腕松村君が何とかこらえた。松村君は、多彩な変化球が持ち味で、ことに変化の大きなカーブとゆっくりと落ちてくるチェンジアップは有効だった。西山翔監督も、「球はそんなに速いわけではないんですけれども、どういうわけかそこそこ抑えられるんですよ」と言うように、走者を出しながらも、粘りの投球で6回まで7安打されつつも、そこからしっかりと踏ん張っていた。まさに、持ち味を発揮した投球だった。

 7回からは都立小松川の継投パターンでもあるが、遊撃手の水橋君がリリーフのマウンドとなったが、一死後四球の走者を盗塁と悪送球で三塁まで進めてしまう。2番齋藤大陽君は三塁へぼてぼてながら内野安打で2点目。さらに、4番込山君が左中間へ都立紅葉川としてはこの日、最もいい当たりで二塁打して3点目を挙げた。水橋君としては失策での進塁に、ちょっと冷静さを失い、そこを巧みに突かれたという形になってしまった。

ベストピッチを見せた田中颯君(都立紅葉川)

 一方、都立紅葉川の田中颯君はベストピッチと言ってもいいくらいの出来で、当初の予定通りの5回を無安打無失点、四死球3という内容で、田河監督も「今日の投球ならば合格ですよ」と、ここへきて調子を上げてきたことを喜んだ。都立紅葉川の田河監督も、「ここからは夏のメンバーと使い方のことも頭に入れながらのテスト」だということで石田君と桜井彪君、永田君、名倉君を1イニングずつと予定していた。しかし4人目の永田君が一死後9番の大関君に右中間に運ばれて三塁打を浴びると、この回を抑えきれないと見た田河監督は予定より早く名倉君を投入。名倉君は内野安打を一本許したものの、何とか抑えた。

 そして、8回の打順で代打を送った関係もあって、9回には当初は予定していなかった田中君と並んでもう一人のエース格砂川君を投入することになった。都立紅葉川としては、スパッと抑えて勝っておきたいというところだったが、ここで都立小松川は食い下がる。先頭の5番石井君が左前打で出ると、水橋君が四球で一二塁。さらに、ナイター照明で目があまりよくない砂川君に捕手の鈴木君が合図を送ったところを岩永球審にボークを宣告(高校野球では、捕手のブロックサインは禁止されている)され無死二三塁。都立小松川としては願ってもない同点のチャンスとなった。

 しかし、ここから砂川君はギアが入って三振、一邪飛、三振と3人を抑えた。このあたりは、春季大会で勝っていった自信から得たピンチでの強気の投球ともいえようか。

 東京下町の両校、梅雨の合間のナイター試合。試合時間は2時間5分。前半は好テンポ、終盤には僅差の攻防という見どころもあった。試合後には、田河監督と西山監督はお互いに相手について気付いたことも語り合っていた。夏へ向けてお互いに収穫のあったいい試合だったのではないだろうか。

(撮影=手束 仁)