川村元気とマーク・ウェブ監督のスペシャル対談が実現!

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『モテキ』(11)や『君の名は。』(16)など、数多くの大ヒット映画を企画・プロデュースしてきた日本を代表するフィルムメイカー、川村元気が「いきなりハリウッドに呼ばれて、巨匠たちと企画会議をすることになったら?」というテーマのもと、スティーヴン・スピルバーグやクエンティン・タランティーノら空想上のハリウッドの巨匠たちと繰り広げてきた“空想会議(ブレスト)”をまとめた書籍『超企画会議』が、『ブレスト』に改題され、文庫版として本日より発売された。

「ブレスト」は本日6月14日より発売となる/※電子書籍(フルカラーバージョン)同日配信 定価:720円+税 KADOKAWA刊

このたび本書の文庫版特典として収録される、マーク・ウェブ監督とのリアル対談の一部を、Movie Walkerで特別に公開。監督デビュー作『(500)日のサマー』(09)で映画ファンの心を掴み、その後「アメイジング・スパイダーマン」シリーズや『gifted/ギフテッド』(17)などを生みだしたウェブ監督は、ハリウッド随一のヒットメイカーとして知られるJ.J.エイブラムスがプロデュースを務めるハリウッド版『君の名は。』でメガホンをとることが決まっている。

オリジナル版に続いてハリウッド版『君の名は。』にもプロデューサーとして参加する川村。この対談を読めば、いまだその全貌が明らかになっていないハリウッド版がどのような作品になるか見えてくるかも…?全映画ファン必見の対談の一部をとくとご覧あれ。

■ 『君の名は。』のどこが好きですか?

川村元気(以下、川村)「マーク監督と初めてお会いしたのは2018年10月だから、ちょうど半年前でしょうか。サンタモニカのレストランでしたね。どんな巨匠が来るのか、と身構えていたら、リュックサックを背負ってTシャツ姿で、たったひとりで来られて驚きました。最初から、すごく気さくに話ができて嬉しかったです。僕はマーク監督の『(500)日のサマー』が大好きだったので。プロデューサーのJ.J.エイブラムスと脚本家のエリック・ハイセラーとともに一年かけて作ってきたハリウッド実写版『君の名は。』の脚本を、JJがマーク監督に送ってくれて、マーク監督が気に入ってすぐに引き受けてくれました。そのとき原作となるアニメ『君の名は。』のどんなところが面白いと思われたのかについて、聞きましたよね」

マーク・ウェブ(以下、マーク)「作家E.M.フォースターの墓石に刻まれている言葉で、『Only Connect=つながりあるのみ』というものがあります。これほど響く言葉はないです。ですが、本作における『結び』というテーマは、より詩的でかつ特定された、あるつながりの具現です。結ばれたいという気持ちは世代も文化も性別をも超えます。真に普遍的なのです。『君の名は。』はこの想いを全く新たなエンタテインメントとしてはっきりと表現したのだと思います。世に残る物語は生きることを教えてくれます。本作はまさに人と人のつながりを描き、人を深く動かしたのだと思います」

川村「ちなみにオリジナルの『君の名は。』のなかでマークさんが好きなシーン、キャラクターってありますか?」

マーク「なにか一つ選ぶことは、それ以外がよくなかったと言っているようで気がひけるのですが。やはり冒頭のシーンが思い浮かびます。作品におけるフラッシュフォーワード、いわば全編の予告のような映像部分です。『ずっと何かを、誰かを探している』。このものうげな言葉の余韻がアップビートで高揚する音楽に昇華される。これにはぞくっときました。この熱望と喪失の対照、期待と不安の共存というものに惹かれます。キャラクターについては、ありきたりですがほんとうのことなので言いますが、瀧(たき)です。理由は明らかすぎてわざわざいう必要ないですよね(笑)」

■ キャスティングはどうする?

川村「先日ハリウッド・レポーター誌、バラエティ誌などでもハリウッド実写版の情報が発表されました。シカゴに住む少年と、ネイティブアメリカンの少女が主人公になるということですが、二人のキャスティングについてはどのようなイメージを持っていますか?これについても毎回、バッド・ロボットでの打ち合わせは白熱しますよね」

マーク「簡単に言い表すのは難しく、とにかく慎重にイメージを膨らませているという感じでしょうか。主人公の二人は実際に同じシーンで一緒に演じることはきわめて少ないのに、お互いの身体を共有するので、ばらばらにキャスティングはできません。二人の相性がよくないとだめです。同じ雰囲気なのか、それこそ縁のようなもので結ばれているような、波長が合う二人。例えるならば、会ったこともないのに、踊らせてみたらぴったりと息が合ったりする。そんな二人が理想ですね」

川村「その例えは素晴らしいですね。J.J.もエリック・ハイセラーもマーク監督も日本的な『結び』の概念には深く共感していただいていると感じます。ハリウッド版において、劇場に来る観客にどういう感情を持ち帰って欲しいと考えてますか?」

マーク「一概に言うのは難しいですね、観た人の捉え方はそれぞれだと思うので……としつつ、願いは、なにか温かい気持ちと人と繫がることができたと感じて帰ってもらうことです。私たちはみな、誰かに認めてもらいたいし、結ばれたいと思う。そしてそれは素晴らしいことなのだと、観客の心に残せるとよいな、と」

川村「それはまさに新海誠監督も本作を作るときに、望んでいたことだと思います。僕はいつも『集合的無意識』を大切にして映画を作っています。『みなが感じているけれども、なぜだか言葉になっていない』ものを表現したいと思っているんです。『君の名は。』はまさにそこを突けた映画だと思っています。国境や人種を超えても、同じような事を皆が感じていることを信じて、実写版も作っていきたいですね」

■ 音楽はどうする?

川村「マーク監督は『撮影中に音楽を聴いている』とインタビュー記事で読みました。本作ではどんな音楽を流すイメージを持っていますか?」

マーク「音楽はいつも欠かせません。例えば一切音楽のない映画を観たとしても、音楽のことを考えませんか?なぜこの映画には音楽がないのかと気になるはずです」

川村「本当にそう思います。僕は小説も書くのですが、いつもその時に感じるのは『音楽の不在』です。だからこそ映画において音楽というのは、最大のアドバンテージだとも感じます」

マーク「『君の名は。』では、RADWIMPSが音楽の持つ物語性と旋律の美しさを絶妙に調和させています。これは再現できるものではなく、すべきでもありません。歌詞とは台詞よりも伝えたいことを直接的に明らかにすると日頃から感じています。台詞では言葉外の意味が重要ですが、歌詞では含みを持たせるというよりも意図していることをありのままに表現することが多いです。ハリウッド版での音楽を定義する上でこの考えこそが鍵になると思います。これはニードルドロップ(既成曲挿入)でもスコアでも同じです」

川村「まさに『君の名は。』を作るときにRADWIMPSに期待したのがその部分でした。歌詞が、ときに台詞よりも雄弁に登場人物の心情を語る。その部分を彼らに担ってもらったと思っています。マーク監督の『台詞においては言葉外の意味が重要』というのは心に響きます。それと同時に、僕がマーク監督にお願いしたかった大きな理由がまさに『音楽を使って心情を語る』ということが本作において重要だと思っていたからなんです」

この続きは、是非とも本書を手に取り確認していただきたい。川村は『君の名は。』につづいて新海誠監督とタッグを組む『天気の子』(7月19日公開)など、今後も話題作が目白押し。川村流の企画想像法のすべてが明らかになる本書を読めば、なぜ川村が次々とヒット作を生み出すことができるのか、その理由が見えてくることだろう。映画ファンやアニメファンはもちろん、新たな視点と発想を求めるすべての人の脳内をより豊かにしてくれること間違いなしだ!(Movie Walker・文/久保田 和馬)