72分に、チーム最初の得点を挙げた相馬。今大会2試合目の出場で輝きを放った。写真:サッカーダイジェスト

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[トゥーロン国際 準決勝]日本2(5PK4)2メキシコ/6月12日/スタッド・ド・ラットル
 
 自らの存在をアピールするには、十分すぎる一発だった。

 U-22日本代表の一員として、トゥーロン国際大会に参加している相馬勇紀(名古屋)。過去にはクリスチアーノ・ロナウドらも出場した歴史ある大会で、確かな爪痕を残した。
 
 現地時間6月12日に行なわれたメキシコとの準決勝。0−1で迎えた72分、ペナルティエリア手前でテンポの良いパス回しで崩すと、田中碧(川崎)が右足でゴールを狙う。惜しくもバーに弾かれたものの、相馬がこぼれ球に反応した。
 
「左ウイングバックのポジションで何度も上下動していた中で、あの位置にポジションを取れたことがゴールにつながった」
 
 終盤戦に入ろうとする苦しい時間帯に最前線まで駆け上がり、右足で同点弾をねじ込んだのだ。
 
 相馬は多くの局面で自身の特長を発揮してみせた。得意のドリブルで何度も敵の守備網を切り裂き、多くの決定機に絡んだ。
 
 初のトゥーロン国際大会決勝進出に大きく貢献した相馬は、早稲田大に所属していた昨年5月に名古屋入りを決め、大学4年生ながらJ1で9試合に出場して1得点。今季もルヴァンカップなどで結果を残すなど、着実に力を付けてきた。だが、日の丸には縁がなく、東京五輪を目指すU-22代表にこれまで呼ばれた実績はない。
 
 結果を残しても声が掛からない――。代表への想いが強ければ強いほど、モチベーションの維持に苦労しても不思議ではないだろう。だが、相馬は代表に呼ばれなかったとしても、常に前を向いていた。
 
「結果を出しても呼ばれないのは、それ以外に足りないことがあるからだと常に思っていた。なので、スタッフの方が選んでくれなかったと言うよりは、自分の能力が低かったから呼ばれなかったと思う」
 
 相馬の実直なスタンスは今大会でも見て取れる。グループリーグで唯一の出場となった2戦目のチリ戦では1アシストをマークしたものの、チームのやり方に馴染むのが精一杯だった。当然、本人も自身の出来に納得できていない。だが、代表に呼ばれなかった時期と変わらず、気落ちすることなく、ポジティブな姿勢で次のチャンスを窺っていた。
 
 練習でも積極的に仲間とコミュニケーションを取り、横内昭展監督代行が求めるタスクを理解しようと意欲的にトレーニングに励んだ。
 
 そして、巡ってきた先発の機会。見事に結果を残し、自らの足で可能性を示した。
 
「東京五輪は18人しか(登録メンバーに)入れない。個人としてゴールという結果を残せたのは、一番のアピール」とは相馬の言葉。メキシコ戦の勢いそのままに、15日に行なわれるブラジルとの決勝でも期待に応えられれば、A代表に帯同中の森保一監督の耳にも届くに違いない。
 
「結果を出せば、使われるようになる。なので、僕は積み上げていくしかない」
 
 東京五輪世代の主軸候補がコパ・アメリカに挑む一方で、相馬は南仏の地で未来を切り開く。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部