現場となった自宅は今も規制線が張られたままで

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「近くの公園で、美佳さんが下のお子さんと野球をやっている姿をよく見かけました」

 事件現場の近くに住む50代の女性は、そんなほほえましい母子の姿を覚えていた。

 埼玉県警草加署は、5月30日、夫の憲一さん(55)を自宅で切りつけ殺害したとして、同県草加市の無職・正岡美佳容疑者(44)を逮捕した。

夫殺害後、銭湯へ

「憲一さんの胸・首・腕には、刃物で切られたり刺されたりした傷があった。29日の午後8時ごろに帰宅した長男が発見し、草加署に通報したことで発覚しました」

 と捜査関係者。事件当日の様子について近隣の主婦は、

「救急車やパトカーがサイレンを鳴らしていっぱい来て、正岡さんの家に入って行きました。高校生の長男と小学生の次男がいるんですが、2人とも呆然とした様子で、警察官と話していました」

 と伏し目がちに話した。

 現場は東武伊勢崎線新田駅から徒歩約10分の住宅地。

 憲一さんの遺体を自宅に放置したまま姿を消した美佳容疑者は、自宅から徒歩20分ほどの銭湯を訪れていた。

 事情を知る20代の女性は、

「銭湯で働いている人に聞きましたが、警察が話を聞きに来たそうです。防犯カメラの映像を確認したところ美佳容疑者が映っていたそうですよ」

 その後の足取りはわからず、翌30日の午前4時半ごろに自宅最寄り駅から3つ先の駅付近で捜査員が美佳容疑者を発見した。

 捜査関係者によれば、美佳容疑者は「話したくない」と認否を留保しているという。

事件前夜の「死にたい!」

 周辺住民には一家はどのように映っていたのか。

 近隣に住む70代の女性は、

「奥さん(美佳容疑者)は中国出身で、セミロングの髪にぽっちゃりした体形でしたよ。憲一さんは背が低くて細身。2人とも会えば挨拶してくれるいい方でした」

 と夫婦の印象を話す。

 近隣の40代の女性は、

「奥さんが中国語で子どもを怒鳴る声がよく聞こえてきました。鹿児島から上京してきた憲一さんの母親が“孫が、お母さんが怖いと話している”と言っていました」

 と話し、数年前にはこんなトラブルがあったと続ける。

「5〜6年前に美佳さんが包丁で憲一さんを刺したことがありました。憲一さんが腕を押さえ、自力で救急車に乗り込んだ姿を覚えています。幸い大したケガではなく、刑事罰も受けなかったはず。ほかにも憲一さんが車に乗って近所で物損事故を起こしたことがありました。美佳さんは心配もせず“何やってるの!”と憲一さんをひっぱたいていました。気性の荒い人でしたね」

 激しい一面があった美佳容疑者だが、近所の評判は悪くない。ただ、事件直前の様子はいつもと違っていた。

 近隣に住む別の住民が話す。

「事件前日の28日に家の近くで“死にたい!”と騒いで、警察が来ていました。26日にも次男の少年野球の応援に行く予定だったようですが、ママ友に公衆電話から電話をかけて“死にたい”と話していたそうです」

 2人の息子はいま何を思うのか。公園には、にこやかに遊ぶ母子の姿はもうない。