寺井広樹著『電車を止めるな!』(PHP文芸文庫)

写真拡大

千葉県のローカル鉄道「銚子電鉄」が、今年8月公開の映画『電車を止めるな!──呪いの6.4Km』を制作中。寺井広樹氏による原作本が6月8日に発売された。

千葉県銚子市の銚子駅〜外川駅間を走る銚子電鉄は、全長が6km程度という小さな鉄道会社。その経営状況は決して芳しくなく、地元名産の醤油を使ったぬれ煎餅や、スナック菓子の「まずい棒」などの売上によって経営を続けており、今回の映画製作プロジェクトは、老朽化した変電所の改修費用2億円を捻出するために企画された。

クラウドファンディングによって資金を募り、制作にこぎつけた同作の舞台は、当然のことながら銚子電鉄。

〈倒産寸前の銚子電鉄が起死回生の心霊電車イベントを実施するが、ライブ配信中に社員によるヤラせが発覚し、ネットで大炎上してしまう。しかしその時、突然かかってきた携帯電話から、子供の幽霊の声が……!? そして運転手が倒れ、電車は暴走し始める。本物としか思えない心霊現象が次々と起きる中、このまま終着駅まで到着すると、大参事は必至。乗客と銚子電鉄の運命は!?〉

というストーリーの物語だ。

6月8日には、原作の小説『電車を止めるな!』(寺井広樹・著/PHP文芸文庫/680円税別)が発売された。寺井氏は、意識的に泣くことでストレスを解消する「涙活」や、ケーキ入刀の代わりに結婚指輪を叩き割る「離婚式」の仕掛人。銚子電鉄のエンタメ路線を牽引する「お化け屋敷電車」「まずい棒」もプロデュースしている。

原作小説について、銚子電鉄の竹本社長は「決して読まないでください!」「寺井さん、ずるいよ〜。これは映画がこけて、本だけ売れちゃうパターンじゃないですか!」という、“非推薦のことば”を寄せたが、小説と映画はそれぞれ別の結末が用意されており、原作を読んでから映画を観てもネタバレすることなく、2倍楽しむことができる仕組み。原作の印税の一部は制作費に充てられるという。

原作本『電車を止めるな!』は2019年6月8日発売(寺井広樹・著/PHP文芸文庫/680円税別)。映画は8月3日に先行公開し、9月以降の全国ロードショーの予定。