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マーガリン市場は縮小が続くが、バター市場は堅調な動き

 バター市場が伸びている。2018年のバターの市場規模は304億円。前年比106%、容量ベースでも同105%だった(インテージ全国小売店パネル調査〈SRI〉調べ 各年4月〜3月)。バターとの代替性が高いマーガリンは、アメリカでのトランス脂肪酸規制強化の報道の影響もあって縮小傾向にある一方で、バターは需給がタイトになりやすいために特売もほとんど見られないなどの特殊要因が背景にある。その結果、2018年はバター・マーガリン合算で金額ベース前年比102%、容量ベース同99%、ここ数年の中でも比較的良好な年であったといえる。

 商品タイプ別では、スタンダードな長方形のバターも売上げは堅調だったが、バターの風味やコクはそのままに、使用時の固さや塗りにくさを解消したホイップ・スプレッドタイプや、チューブなど容器に工夫を施した商品の売れ行きが特に好調だった。

 なおマーガリンに関しては、各社はトランス脂肪酸の低減の取り組みを商品パッケージに明記し、さらにバター風味やカロリーカット、コレステロールゼロなど、トランス脂肪酸低減以外の付加価値を訴求した商品を展開するなどして、マーガリン需要減への対策を継続している。

図表 バター・マーガリン類市場の推移
                   (データソース:SRI/期間:2009年〜2018年 各年4〜3月/ベース:金額)

 

マーガリンからのスイッチユーザーをリピーターに

 次にバター購入者をリピート層、マーガリンからのスイッチ層、新規層(前年バター、マーガリンいずれも非購入)に分けて見てみよう(図表◆▲ぅ鵐董璽諺換饐暖饉團僖優訥敢此SCI〉調べ)。バターの購入率は35%前後だが、2016年〜2018年は上昇傾向にある。バター購入者はリピーターが圧倒的に多く、購入率の上昇トレンドに連動して増えつつある。

 また、マーガリンからのスイッチはマーガリン市場の落ち込みが激しかった2015年をピークに減少傾向にあるが、新規層は年々増加している。これは緩やかではあるが、スイッチ層や新規層がリピート層に転化してきているものと考えられる。

 SCIデータからは新規層の獲得に、前述の新商品だけでなく既存品も貢献していることが分かっている。新商品の利便性だけでなく、バター自体が受容され、市場の伸びになっていると考えられる。

図表 バター購入者におけるリピーター、スイッチユーザーの推移
                                  (データソース:SCI/期間:各年4~3月)

 

バターを使ったメニューが広がりを見せる

 バターを使ったメニューの食卓登場頻度は堅調ながら上昇している。マーガリンのそれがこのところ減少しているのとは対照的で、近いうちに逆転する可能性もあり得る(図表)。

図表 バター/マーガリンを使ったメニューの食卓出現率の推移
                     (データソース:インテージキッチンダイアリー/期間:2014年〜2018年 各年4~3月)

 

 また、図表い魯丱拭爾鯆翰に使ったメニューを大分類・中分類単位でまとめたもの。主食のパンでの利用を中心としているが、米(オムライスやドリア等)、麺・パスタ、おかず系のメニューに使われる割合もマーガリンに比べて多い。

 例えば、カレーライスではバターチキンカレー。麺類ではパスタだけでなく、焼きそばのバターしょうゆ味などもある。おかずでは肉のソテーやムニエルがオーソドックスだが、汁物ではポタージュだけでなく、豚汁、みそ汁にも使われていたりしている。最近ではバターコーヒーなどがマスコミで紹介されたこともあり「飲み物」にも登場した。このようにマーガリンに比べてバターのメニューは幅が広い。

図表 バター/マーガリンを使ったメニュー構成比(大中分類単位ごと 単位:%)
(データソース:インテージキッチンダイアリー/期間:2018年4月〜19年3月)

 

潜在需要を喚起することでさらに市場拡大できる

 バターは幅広い料理に使われていることから、ユーザーは料理や食、おいしいものへのこだわりが比較的強い可能性が考えられる。例えば、店頭でのメニュー提案などが購買の刺激になるのではなかろうか。昨今、店頭でタブレットなどを設置して1分レシピ動画を流している店も増えてきている。バターの容器にはせいぜい1つしかレシピを記載できないが、1分動画ならば複数のレシピを流すことが可能だ。

 また、料理をするときはバターを“さっと”取り出せる状態が理想的。容器や固さ・塗りやすさを工夫した商品開発にも期待をしたい。

 バターは、生乳不足時には生産が制限されるなど、需給が常にタイトになりやすいまれなカテゴリーだ。それ故に、これまでは商品開発や販売促進にそれほど注力する必要がなかったかもしれない。バランスの良い食事が健康には一番であることは言うまでもないが、料理の仕上げにバターを入れるとおいしさが格段に上がる。洋食から和食まで幅広く使える特性を考えると、まだまだ潜在需要を喚起でき、今後さらに市場拡大していくものと思われる。

(株式会社インテージ パネルビジネス推進部 石戸 綾)