紫外線による肌ダメージ評価法の比較(花王発表資料より)

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 花王は、紫外線照射を受けた直後の1〜3分後に肌が発するバイオフォトン量を計測することで、肌ダメージを定量化する新技術を開発した。バイオフォトンとは、生体が発する微弱な発光現象である。

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 紫外線による肌ダメージは、紫外線照射で肌に生じた活性酸素種が体内物質を酸化させ、過酸化脂質などを産生させて起きることはわかっていた。だがこれまでは、過酸化脂質量を測定する方法はなかった。

 肌への紫外線の照射は、日やけを引き起こすだけでなく、ダメージの蓄積で将来のシミ、シワ、たるみといった光老化を招くことが知られている。しかしこれまでの紫外線による肌ダメージは、翌日に日やけで赤くなった肌状態を観察することでしか評価手法がなかった。この方法は、紫外線による急性の肌ダメージが観察できるだけで、日常に僅かながら浴び続ける紫外線の蓄積による肌ダメージなどは評価できなかった。

 花王は、バイオフォトンを高感度検出できる装置を用いることで、過酸化脂質の産生過程で発生するバイオフォトンを計測し、肌ダメージを定量化する評価法を開発した。開発した評価手法は、肌に赤みを生じさせる急性の肌ダメージの評価法と高い相関が得られることが確認され、肌に赤みを生じさせない微弱な紫外線ダメージも高感度に検出できることを明らかにした。

 今回、紫外線照射直後の肌ダメージを定量的に計測することを可能としたことで、今後の光老化につながる微小な肌ダメージの蓄積を防御する技術開発に繋がるという。

 本技術は、4月4日から7日の間で開催された第9回アジア酸化ストレス学会で発表された。