冨安は森保監督の要求を確実にこなした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 エルサルバドル戦は森保一監督が理想とする「3バック」の形が明確に見えた試合になった。トリニダード・トバコ戦は25本シュートを打って得点ゼロ。大迫勇也と堂安律、中島翔哉の距離が遠く、連係して打開するシーンが少なく、ウィングバックに入った長友佑都、酒井宏樹が低いポジションを取っていたため、本来の良さである攻撃力がもうひとつ発揮できなかった。

 エルサルバドル戦では本職ではない原口元気が左ウイングバック、伊東純也が右ウイングバックに入り、シャドーと同ポジションの高い位置を取っていた。相手が4バックだったので、ピッチ上では5対4という数的優位が展開されており、原口、伊東ともに前を向いてボールを受けることが多く、ドリブルで仕掛けたり、クロスを入れたり、ウイングバックとして必要とされるプレーを見せていた。その姿は躍動感にあふれ、かつて広島が3連覇を達成した時に活躍したミキッチのようだった。
 
 守備では高い位置にいるのでボールを奪われてもすぐにアプローチして奪い返し、ショートカウンターを展開し、相手にボールを保持された時は素早く自陣に戻るなど、攻守に激しいアップ&ダウンを繰り返していた。ベンチにいた選手たちは「こんな感じか」とウイングバックとして求められるプレーを把握できたはずだ。

 試合は、永井謙祐が2ゴールを挙げたが、そのゴールにつながるパスを出したのは、冨安健洋、畠中槙之介のセンターバックだった。
 
 冨安は昨年、森保監督にA代表に抜擢された時、「監督が求めている縦パスをどれだけ自分から出せるかが重要。一番奥(FW)にパスを入れるのがベスト」と語っていた。その際は4バックだったが、今回3バックでも同じ要求をされているということは、システムに関係なく求められるプレーは同じだということだ。
 
 1点目は、その要求を具現化したものだった。
 冨安が動き出した永井に縦パスをつけ、それがゴールに繋がった。冨安のプレーは「ビルドアップからゴールにつながるパスを出す」という森保監督の要求に完璧に応えるものだった。
 
 永井の2点目は、畠中が起点になった。
 畠中は、3月のボリビア戦でデビューしたが、その試合でも横浜F・マリノスで見せていたように前線へ鋭い縦パスを繰り出していた。東京ヴェルディユース上がりらしく視野が広く、技術が高い。それをビルドアップで活かし、今回も原口の動きを見ながら縦パスを繰り出し、永井の2点目に結びつけた。
 
 3バックの中央に座した昌子源は、ラインコントロールを指揮し、ふたりが左右に釣り出された後のカバーリングをこなすなど、リベロの適応力を見せていた。
 
 センターバックが攻撃に絡み、失点ゼロという結果を出したことは森保監督にとって「3バック」構想をさらに前に踏み出す自信になったはずだ。実際、彼ら3人を見て、イメージが重なったのが森保監督が指揮していた時の広島の3バックだ。
 
 3連覇を達成した「広島前期型」は水本裕貴、千葉和彦、塩谷司の3人だったが、千葉と塩谷は前線に縦パスを付けるのが非常にうまい選手だった。「広島後期型」は左センターバックに佐々木翔が入った。佐々木はパスだけではなく、自ら相手のサイドバックとセンターバックの間に侵入し、攻撃参加するなど豊富な運動量と精度の高い左足のキックを武器に3バックの攻撃力を増した。
 
 トリニダード・トバコ戦、エルサルバドル戦ではセンターバックの畠中と冨安が相手の深いところまで攻撃参加するシーンがなかったが、慣れてくれば前に行くタイミングを掴めるようになるだろうし、冨安も畠中もそういうプレーができるタイプ。エルサルバドル戦では3人が幅を使いながら相手を揺さぶり、持ち上がったところで縦パスを出すタイミングが良く、トリニダード・トバコ戦よりもだいぶ整理された感があった。もともと3人はスピードがあり、対人にも強く、DFとしての能力が高い。普通は4人で守るところを3人で守るのは大変だが、彼らにはそれがやれるだけの力がある。