67分からの20数分間に、この試合の見どころが詰まっていた。6月9日に行われた日本代表対エルサルバドル戦である。

 前半に永井謙佑が奪った2ゴールのリードを保ち、日本代表は後半途中から久保建英を迎え入れることができた。トリニダード・トバゴ戦を受けて3バックを整理しつつ、森保一監督がシステムを問わず大切にするサッカーの原理原則──攻守の切り替えを早くする、攻守にコンパクトな距離感を作る、球際で戦う、といったことの精度を上げていったチームは、格下エルサルバドルとの力関係をスコアに反映することができていた。

 そこで、久保が登場してきた。

 最初のビッグプレーのインパクトが鮮烈だった。登場から6分後の73分、大迫勇也のパスを受けて右サイドからドリブルで仕掛ける。ふたりのDFを引き連れながらペナルティエリアへ差し掛かると、相手の動きが重なった瞬間に内側へ持ち出し、得意の左足を振り抜いた。低くて強い一撃はしっかりとワクを捕えたものの、GKの正面を突いた。

 4−2−3−1のトップ下のポジションに入る久保は、その後もチームの攻撃に関わっていく。秀逸だったのはプレーの使い分けだ。自らボールを持ち出す場面とシンプルにさばく場面の判断に戸惑いも誤りもなく、攻撃をスムーズに展開させていった。18歳とは思えない大人びたプレーである。

 北中米カリブ海地区からやってきたエルサルバドルは、率直に言って強豪ではない。ホームなら勝って当然の相手であり、日本の選手の良いところが出るべき一戦である。

 そういったことを差し引いても、久保のパフォーマンスは評価できる。日本代表でも十分に戦力となることを、20数分間で証明したのである。

 しかも彼は、緊張で汗だくになっていたわけではない。FC東京でのプレーと同じように、最初から最後まで落ち着いた。

 どちらかと言えば右サイドでの関わりが多かったのは、所属クラブが同じ室屋成が右サイドバックに、2列目右サイドに17年U−20W杯のチームメイトだった堂安律がいたことも関係していたのだろう。そのうえで、左サイドバックの山中亮輔のパスに反応してダイアゴナルに飛び出したり、2列目左サイドの中島哉とのパス交換も成立させたりしている。周囲とのコンビネーションがさらに深まっていけば、エルサルバドルより高いレベルの相手とも十分に戦っていけるはずだ。

 森保一監督の采配にも触れておきたい。

 トリニダード・トバゴ戦に続いてこの日も3バックを採用したのは、オプションとしての精度アップを狙ったものだ。指揮官が野心的だったのは、後半途中から4−2−3−1へ変更したことだ。

 クラブチームで標準装備となっているシステムの併用は、いまや代表チームにも要求される。アジアカップを制したカタールも、ふたつのシステムを使い分ける現代的なチームだった。試合途中でも3バックから4バックへ、あるいは4バックから3バックへ変えることがあるとの意思表示は、日本代表をひとつ高いレベルへ押し上げるきっかけになるだろう。 エルサルバドルとのホームゲームという条件設定のなかで、やるべきことはやった。国内でのテストマッチは勝ってもどこか満たされないものだが、今回の2試合はスッキリとした味わいがある。