エルサルバドル戦のスタメン。永井らの活躍が光った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 この6月の2試合の総括を訊かれて、長友佑都は「3バックを試せたことは良かった」と言った。まさにその通りである。決して強豪とは言えない相手とのゲームでたとえ3バックが機能したとしても、それはそれと割り切るべき。機能しようがしまいが、3バックをテストしたことが最大の収穫で、それ以上でも、それ以下でもない。
 
 これから始まるワールドカップ予選に向け、対戦国に「日本は3バックで戦うかも」と迷わせることが大事なのだ。たとえは悪いかもしれないが、迷わせることの重要性は長友佑都が久保建英の凄さについて「正直、めちゃくちゃ嫌なタイプ。ドリブルだけならいいんですよ。でも、建英はパスも出せるでしょ」と語った内容からも窺える。
 
 「おそらく4バックで戦う」から「3バックもありそう」と相手に思わせるだけで、心理的なアドバンテージを掴める可能性は高い。その意味で、機能するかはさて置き、3バックを試した意義はあったはずなのだ。
 
 同じ3−4−2−1システムでも、トリニダード・トバゴ戦のウイングバックはどちらかと言えば守備的な長友佑都さ酒井宏樹、エルサルバドル戦は攻撃的な原口元気と伊東純也と“色の違い”を見せた。守備を固めたい場合は長友&酒井、ゴールを奪いに行くなら原口&伊東と、そういう使い分けができることが分かっただけでも収穫だ。
 
 堂安律が不完全燃焼、南野拓実もゴールに絡んでないなどネガティブな材料もあるが、3バックシステムについてはこれから突き詰めればいい。堂安をスタメンから外せとか、そういう議論は現時点でナンセンスだ。
 
 選択肢を増やしたという点では、エルサルバドル戦で2ゴールを決めた永井謙佑の活躍は見逃せない。
 
 結果を残したことはもちろん、ポストワークに長けた大迫勇也と違った持ち味──スピードと裏のスペースを狙う推進力を見せつけたのは大きいだろう。当然、「そこまでプレッシャーの強い相手ではなかったから」との見解もあるだろうが、大迫頼みの攻撃を改善できるかもしれないという期待を抱かせただけでも永井の活躍には価値があった。
 
 怪我を理由に代表招集を辞退した鈴木武蔵、その代役として追加招集された永井の特長のひとつはいずれもスピード。そこから推察できるのは、森保一監督はワールドカップのアジア予選を戦い抜くうえで彼らのような“スピードスター”も必要だと考えているのではないかということだ。
 
 その意味で、永井という選択肢がはっきりと加わったのは“大迫依存症”を解消するためにもポジティブな材料だ。強くて上手い大迫は森保ジャパンにとって唯一無二の1トップ。彼ほど最前線でボールを収められる日本人選手は現時点で見当たらないし、そんな大迫と同じようなプレーを別のCFに求めるのは酷だ。ならば大迫が不在時は攻撃そのものの手段を変えなければならないわけで、そのひとつとして永井のスピードに頼ったアタックは大きなオプションになり得る。
 
 永井の特長は分かりやすい。ひと言で言えば、とても速いのだ。活動期間が限られていて連係を築くのに苦労する代表チームにとって、この“分かりやすさ”は重要なファクターだ。永井のスピードを生かそう、ならば裏のスペースに蹴ってみるか、そういう選択肢がパッと思い浮かべられるだけで、やっている選手たちはだいぶ違うのではないか。
 
 実際、永井の1点目も、ひとつの決め手となったのは冨安健洋のスルーパス。「スピード自慢の永井なら届くだろう」というようなパスで、CFが大迫だったらあそこであのスルーパスは出なかったもしれない。