久保の代表デビューは、間違いなく良いニュースだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

“3バックの導入”と”久保建英の出現”により、続いていた停滞感を払拭。森保監督が描いていたキリンチャレンジカップでのテストは思惑通りに進めることができました。
 
 トリニダード・トバゴ戦に続いてエルサルバドル戦でも3バックを使ってきたのは、トリニダード・トバゴ戦で出た課題をここで解決しておきたかったからでしょう。
 
 フィードやボールの持ち運びができるセンターバック、高い位置で仕掛けられるウイングバック、ライン間にポジションを取りながら背後への抜け出しができるシャドー、背後への動きでラインを押し下げられるセンターフォワード。
 
「こういう選手をここに配すれば、3−4−3はうまくいくはずだ」という方法論は、森保監督は当然持ち合わせていますから、そこに実際に選手を置いて成功体験を作らせて、今後につなげていくという狙いが前半で形にできたと思います。
 
 そのために修正されたポイントも的確でした。
 
 原口選手、伊東選手はより高い位置を取り、相手サイドバックと並ぶような位置から、背後や斜めへのアクションを繰り返しました。そのことで立ち上がりは縦横にコンパクトに作れていたエルサルバドルの守備陣形を横に広げることができました。
 

 冨安選手、畠中選手の両センターバックは真ん中の昌子選手の斜め前にポジションを取り、より前線の選手と近い距離でパスを出せる位置取りを意識していました。実際、1点目は冨安選手から、2点目は畠中選手からゴールが生まれました。
 
 ウイングバック、センターバックがそれぞれ5から10メートルずつ高い位置を取ったことに連動して、シャドーに位置した南野選手、堂安選手はボールを受けに下がってくるのではなく、1トップの永井選手の近くでポジションを取り続けました。そこから相手センターバックとサイドバックの間に走り込むアクションをより増やしたことで、エルサルバドルは対応に苦慮していました。
 
 永井選手も1点目は背後への抜け出し、2点目は抜け出した原口選手の折り返しをフィニッシュと、高い位置を取り続けることで生まれた得点でアピールに成功しました。
 
 前半で2点取れたこと以上に、森保色がよく見えた戦いぶりはまさに狙い通りで、「こういう選手をここに配すれば、3−4−3はうまくいくはずだ」の確認は充分にできたと思います。
 それもあってか、後半に入ると早々に4バックへのシステム変更。この狙いは様々な見方ができて、実際に様々な思惑のもとでの総合的な判断だと思われますが、久保選手をデビューさせることからの逆算が理由のひとつでしょう。久保選手の周りに大迫選手、中島選手、堂安選手を置いてこの4選手の同時起用による絡みが見たかった。そのために先にシステムを変え、そのうえで中島選手と同時投入という選択をしたのだと思います。
 
 久保選手のプレーぶりは言わずもがな。見事としか言いようがありません。決定的な仕事ができたわけではないので、大げさな表現で賞賛するのは違う気もしますが、彼の場合は何より”サッカーが上手い選手”。そう考えると、これから成功する可能性より成功しない可能性を探す方が困難でしょう。この試合に日本サッカーの未来を見た気がしました。
 
 さて、「今」を見て良かった点を並べてきましたが、「未来」を見ると手放しで喜んでばかりもいられない現実もあります。

 守備でトライした5−3−2で構えて、ウイングバックの原口選手、伊東選手が高い位置までプレスに出てくるやり方は、日本のプレスを外してもその後のスピードアップがないエルサルバドルに対しては非常に有効でした。しかし、より強い相手に対しては絶対的に必要になる、プレスに”行くところ”と”行かないところ”の繊細なさじ加減を活動期間の限られた代表チームで構築できるかは、まだ分かりません。