日没の時間帯に死亡事故が多発している

 国土交通省は、2020年4月から販売される乗用車(新型車のみ)に対し、周囲の明るさを検知して、自動的にヘッドライトを点灯/消灯する「オートライト機能」の搭載が義務付けている。

 現時点でも「オートライト機能」がついているクルマも珍しくなく、JAFの調べでは、すでに3割のクルマには「オートライト機能」がついているとのことだが、現行車では、AUTOの他に、手動によるON/OFF機能もついているはず。

 これが来年「オートライト機能」の義務化となると、走行中は周囲の照度が1000ルクス未満になると強制的に点灯され、7000ルクス以上にならないと消灯しないというのが、保安基準の条件になるのが大きな違い。

 ちなみに照度1000ルクス未満とは、「晴天の日の日没15分ほど前の明るさ」が基準。なぜこのような義務化が導入されるかというと、それは日没の頃の「薄暮時間帯」に、交通死亡事故が集中しているため。

 警察庁の資料によると、死亡事故は、一日の中で日没時刻と重なる時間帯である17時台〜19時台においてもっとも多く発生している。

 そして死亡事故を当事者別に見てみると、薄暮時間帯には、自動車と歩行者が衝突する事故がもっとも多く発生しており、とくに65歳以上の高齢歩行者が死亡する事故が多く、男女別では、男性に比べて女性が事故に遭う件数が多いことがわかっている。

◆警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html)

日没の30分前にはヘッドライトを点灯すべき

 なぜ、この薄暮時間帯に事故が集中しているのか。

 警察庁では、「この時間帯は、周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れたり、距離や速度が分かりにくくなるため」と分析している。

 つまり、薄暮時間帯は、ドライバーにとって歩行者が見えづらく、歩行者にとってクルマの接近が気づきづらいので、むかしから「魔の時間帯」と呼ばれてきた。

 こうした事故を防ぐには、日没前からヘッドライトを点灯し、他車や歩行者に自分の存在をわかりやすくするのが非常に有効。ヨーロッパでは、2011年からオートライトが義務化されていて、成果を上げている。

「薄暮時間帯」の事故を減らす要諦は、「おもいやりライト運動」(日産自動車が実施)の合言葉、「見るためだけではなく、見られるための光を」に尽きる。

 オートライト機能の有無にかかわらず、安全のために、日没の30分前には、スモールランプではなく、ヘッドライトを点灯することを心がけよう!

 参考:5月30日の全国各地の日没30分前の時間

 北海道18;20 関東18:00 関西18:20 九州18:40 沖縄18:30